【連載】『新幹線変形ロボ シンカリオン』座談会(第1回)佐倉綾音×沼倉愛美×村川梨衣
TBS系にて放送中のTVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』。放送2年目に突入し、4月以降には「シンカリオン E5はやぶさ」のパワーアップや、ハヤトたちの私服のリニューアル、新キャストに浪川大輔さんが決定するなど益々の盛り上がりを見せています!
アニメイトタイムズでは本作の放送2年目突入を記念し、連載による座談会企画を実施。
第1回目となる今回は、本作のメインキャラクターを演じる、速杉ハヤト役の佐倉綾音さん、男鹿アキタ役の沼倉愛美さん、大門山ツラヌキ役の村川梨衣さんに集まっていただき、直近の放送回を振り返っての感想や、2月9日に開催された「冬のシンカリオン感謝祭」にまつわる裏話を語っていただきました。
セイリュウが大活躍!放送回の感想トーク
ーーまず直近で放送されたお話についての感想を伺っていきたいと思いますが、第55話『超・超・超 加速!!ブラックシンカリオン紅』はツイッターなどでも特に話題になりましたね(笑)。
佐倉綾音:ブラックシンカリオン紅の「超ダークカイサツソード」が「X斬り」みたいになっていて、特に親御さんに刺さっているみたいですね。もはやCMでは遊びすぎていて(笑)。
沼倉愛美:それはもう「紅だ!Xだ!」という(笑)。
村川梨衣:「紅だぁーーーーー!エーーーックス!!!」(笑)。
佐倉:最近のお話ではセイリュウの追い上げがすごくて、「セイリュウが好き!」というファンの方が増えたのかなという気がしますね。
ーー第56話『豆!!鬼のセイリュウ』では、運転士のみんながセイリュウに「怖い」という感情についてそれぞれの事例をあげて説明していましたが、言葉で感情を教えるというのは難しいことだなと考えさせられました。
村川:しかもそれが人それぞれの主観による説明で、誰かにとっては怖いものでも、誰かにとってはそうではないものだから共有が難しいという。
佐倉:人によるものを説明するのは結構難易度が高いですよね。
沼倉:ここまで絆を深めてきたハヤトたち三人ですら「いや、それは…」という感じになっていましたし。
佐倉:この回を家族と見ていて、例えば言葉という概念がない人に「あそこのコンビニの場所を教えるとしたらどうする?」という話をしたんです。
左右の概念もない人には「お箸を持つ方」と説明しても、それが利き手によっても違うから100%ではない。仮に文字が書けて「10」の場合「1がある方が左」と説明しようとか。
ーー単に辞書に載っている意味を説明しても伝わらないわけですからね。
佐倉:それをハヤトたちのような子どもの語彙力で伝えるとなると、なおさら難しいのかなと。
村川:でも子ども同士だからこそ伝わりやすいこともありそうですよね。辞書に載っている言葉が難しすぎる場合、子どもの言葉で噛み砕いて説明した方がいいこともありますし。
左右を説明する場合は「多くのみんながこちら側で箸を持っているよね、それが右だよ」と説明した方が良かったり。そういう子ども同士での教え合いも大事な部分なんだろうなぁ。
沼倉:セイリュウにみんなが教えていた「怖い」にも種類がありますからね。会話の流れで「なにそれ怖い!」みたいなものもあったり。
佐倉:現代語でよく使われる「やばい」ひとつ取っても色々な意味がありますからね。それがどういう感情なのかという話になって、友達が「要するに、春はあけぼのって意味だよね」と言っていたんです(笑)。
「素敵」や「好き」という意味でも「やばい」は捉えられるから、そう考える人もいるのかと。
例えば、セイリュウがギャルの中に居たら「マジ卍(まんじ)」や「バイブス」という言葉を使うようになっていたかもしれないと考えると、常識って難しいなと思いました。
沼倉:セイリュウが全然違うキャラクターになっていたかもしれない(笑)。
村川:危なかったぜ!(笑)
ーー(笑)。第58話『ファイト!!エクスプレスと青春のE2系』ではJR東海の名作CMがオマージュされていましたが、これまでの回でも様々なオマージュがありましたね。
佐倉:「クリスマス・エクスプレス」のオマージュで、本庄さんがムーンウォークしていたシーンを見るとすごくゾワッとします(笑)。彼は何かをうずかせる存在なんですよね。
沼倉:私たちからすると男性の心理は分かりづらいところがあるけど、本庄さんは赤裸々にフタバさんへの胸中を語っていたり、それを演じる古島清孝さんのお芝居がたまにものすごくリアルすぎて、聞いていられないような(笑)。
佐倉:耳と胸が痛くなるというか、他人事ではない感じがするんですよね。
沼倉:まるでドッキリ番組を見ているような気分になるというか。普段他人に見られないような姿を撮られて覗き見られていると考えると、自分まで恥ずかしくなってきて。
佐倉:共感性羞恥(ドラマの恥ずかしいシーンや他人のミスを目の当たりにした際、あたかも自分の失敗のように感じること)みたいなことかもしれませんね。
沼倉:イベントのときにお客様の古島さんへのリアクションもすごくて。そういうのも含めて、実は人気があるのかなと。
佐倉:親御さんからの人気が高そうですよね。「彼のことを放っては置けない!」というお母さんとか。あそこまでプライベートな感情がモノローグでだだ漏れなキャラクターもなかなかいないですから(笑)。
村川:『シンカリオン』では日常パートよりもバトルシーンでの心情の描かれ方が主になっているからこそ、その日常部分を本庄さんが補っている感じで。
佐倉:今のところ作中で恋をしているのは本庄さんだけですからね。スタッフさんからも「あいつは惜しいやつ」みたいな説明をされていたので、多分出世はできないタイプなんだろうなと(笑)。
村川:そこが良さでもあるんだけどね(笑)。
「冬のシンカリオン感謝祭」を振り返って
ーー2月9日には皆さんも登壇された「冬のシンカリオン感謝祭」が開催され、大変盛り上がっていましたね。
佐倉:楽しかったです!お子さんも親御さんも、男性も女性も、若い方も年上の方もいらっしゃるようなあんな現場はなかなかないですよね。
私たちも最初どんなお客様がいらしているのか計りかねていて、「皆さんのことを教えてください!」とアンケートをしてみたら綺麗に分かれて。あと笑いどころも人それぞれだったことが面白かったですね。
ーー『シンカリオン』は池添隆博監督をはじめ、スタッフの皆さんも作品ファンの方々から愛されているんだなとイベントの雰囲気の中で感じました。
沼倉:登壇された池添監督とシリーズ構成の下山健人さん、キャラクターデザインのあおのゆかさんは三人とも仲がいいんですよね。
その制作側のお話を聞きたかったお客様も来てくださっていたと思いますし、私たちキャストも知らなかったようなお話も聞けて。
佐倉:私は夏のイベントでも一緒に登壇させていただいたんですけど、三人ともとてもトークがお上手なんですよね。りえしょんは初めてだった?
村川:私は下山さんとあおのさんとは先日のイベントで初めてお会いして、人物像は伺っていたんですけど、やはり三人とも仲が良いんだというのが伝わってきて。
例えば、仮にあおのさんが緊張していらしたときに他のお二人がフォローしていたり。そういうチームワークも見えて素敵だなと思いましたね。
沼倉:制作スタッフさんの仲が良くないとあんな朗読劇は書けないよね。「それOKなの!?」という(笑)。
村川:もちろん仲が良いからこその冗談だと思いますけど、池添監督も「朗読劇の内容が攻めすぎていて怖い」と仰っていましたね。下山さんがここぞとばかりに鬱憤を晴らしているのではないかと(笑)。
佐倉:以前、池添監督と対談をさせていただいた際に「僕は、新幹線と電車のことが大好きな下山少年が、楽しい楽しい夢物語を楽しく楽しく書けるように『シンカリオン』を作っているんです。」と仰っていたんです。
だから池添監督にとって下山さんは少女漫画のヒロインのような、愛おしい存在なんだろうなと(笑)。
村川:めちゃくちゃ仲良しだ!下山さん、罪深いなあ…(笑)。
沼倉:キュンとする!下山さんは本当に大好きなものに対する熱量も知識量もすごいですし、池添監督もそこに一目置いて信頼されているんだろうなと感じますね。
ーーイベントの最後には会場の皆さんで『進化理論』を歌われていましたね。
佐倉:短い時間だったので、あっという間に過ぎ去ってしまったんですけど「やっぱりこの作品の曲なんだな」と改めて思いました。
村川:『進化理論』と言えば、タカラトミーさんのツイッターが毎回可愛いんですよ(笑)。
おはよー!!!起きてー!!ガンガンズダンダン!!!ガンガンズダンダン!!!朝だよ!!!外明るい!!!ねえねえ!!!見て見て!!すごい!!!遮二無二!!本能解放中!!ワイルドズダンダン!!大きな栗の!!木の下で!!!あなたと!!!!私!!!仲良く!!!!!ガンガンズダンダン!!!
— タカラトミー (@takaratomytoys) 2019年2月15日
佐倉:タカラトミーの方もイベントにいらしていて、みんなの第一声が「あのツイッターのうるさい人!」って(笑)。他の企業の方々からも『シンカリオン』にまつわる差し入れをいただいて。
沼倉:『シンカリオン』では商品名をそのままアニメに出させていただいたり、CMの音楽も使わせていただいたりと色んな方々が協力してくださっているなと感じますね。
村川:他のアニメ作品では商品名や企業名を似ている名称にもじったりすることがデフォルトになっているので、『シンカリオン』もそうなのかと思いきや、実在する名称をそのまま使わせていただいていて。その現実とのリンク性にハッとさせられるんですよね。
運転士キャストの新幹線内での習慣は?
ーー次は「冬のシンカリオン感謝祭」の質問コーナー「#おしえてシンカリオン0209」に寄せられていた質問で、まだ答えられていなかったファンの方からの質問にお答えいただければと思います。まず一つ目は「新幹線に乗るときに必ずしていることを教えてください」という質問です。
佐倉:私はいつもお菓子やご飯をいっぱい買って、乗ってから着くまでずっと食べています。
村川:乗車時間が短くても?
佐倉:「東京ー新横浜」間でも駅弁を買って乗る。
沼倉:すごいね(笑)。私はイベントの移動で新幹線に乗ることが多いんですけど、帰りに来てくださったファンの方からいただいたお手紙を読んでいます。
佐倉:周りの人から「あの人何通もお手紙読んでるな…」と思われているかも(笑)。
村川:めっちゃ文通相手いるのかな?と思われてる可能性もあるね。私は逆に皆さんから教えて欲しいですね。でも絶対にやることと言えば、人に迷惑をかけないことですね。
佐倉:それは“やる”ではなくて、気をつけることでしょ!(笑)
村川:みんなも心がけよう!(笑)
ーー(笑)。もう一つ新幹線乗車時に関するもので「オススメの駅弁を教えてください」という質問が届いています。
佐倉:私は紐を引っ張ると温かくなる「牛たん弁当」ですね。『シンカリオン』のクリスマスパーティーで全国の駅弁を食べる会をしたんですけど、そのときにじゃんけんで勝ち取りました。
村川:紐を引っ張ると温かくなるというアイデアを考えた人は天才だよね。
佐倉:ただ願わくば、お弁当の厚みはあるんですけど、半分は温めるための装置として使われているからご飯の量が少なくて、2個買わないと足りないんですよ(笑)。そのお弁当の紐を新幹線に乗る前に引っ張っておくことが私の習慣になっています。
沼倉:あのタイプの鰻重は食べたことある!やっぱり温かいお弁当って嬉しいよね。
佐倉:でもたまにお母さんがお弁当箱ぎゅうぎゅうに詰めてくれた冷えひえのご飯も食べたくなる(笑)。
沼倉:確かに(笑)。あと駅弁と言えば「シンカリオン弁当」もあるよね。
村川:しかも幕の内弁当みたいに中身もしっかりしていて。皆さんにもキャラクターたちのことを思いながら食べてみて欲しいですね。
ーー三つ目はアキタ役の沼倉さんへ「方言の勉強や指導を受けたりしたのですか?」という質問が届いています。
沼倉:「方言は勉強できるものではないな」というのがこれまでアキタを演じてきての感想ですね。育ってきた環境で染み込んでいるものというか。
地方出身の方も仕事では標準語でも、実家に帰ると一瞬で戻ると言いますし。やはりその場所で生きないと自然には出てこないもので。音は多少近く出すことはできても、その土地に住んでいらっしゃる方が聞いたら全然違うものなんだろうなと。
山形出身の吉村那奈美さん(月山シノブ役)や、秋田出身の真坂美帆さん(男鹿モミジ役)がいる中で「浮いていないかな…」と毎回思っています。
佐倉:全然浮いていないですよ。方言ってイントネーションやアクセントが大切じゃないですか。ぬーさんの方言を聞いたときに「歌がうまい人って方言に向いているんだな」と思ったんですよ。音がとれる人にはできるんだなと。
沼倉:参考資料としてその地方のアナウンサーさんの音声をいただくんですけど、発音は標準語寄りなんですよね。その辺の実際の息の抜け方は吉村さんや真坂さんの発音や口の形を観察しながら探っていって。
やはりアキタのように方言を話すキャラクターを演じる機会はなかなかないことなので、得だなと思いますね。
目撃すると幸せになれる「ドクターイエロー」に遭遇!
沼倉:はっ!全然関係ないこと言ってもいい!?
佐倉:ぬーさん!? どうぞ!
沼倉:この前「※ドクターイエロー」を見たの!
※新幹線電気軌道総合試験車。区間や走行時刻が公表されないため「ドクターイエローを目撃すると幸せになれる」という都市伝説がある。
佐倉:いいなあ〜!どこで見たんですか?
沼倉:品川のあたり。19時くらいの結構遅い時間にスーッって!「えー!携帯どこ〜!?」って慌ててうまく撮れなかったけど。
佐倉:流れ星みたいなものですからね(笑)。
沼倉:これで幸せになれると思った!でも一緒に歩いていた友達からは「え、あの黄色いの?そんなに好きだったの?」みたいな反応をされて。
佐倉:知らない人からするとそうなりますよね(笑)。私たちも『シンカリオン』に関わって変わったことですね。
沼倉:私たち三人が揃うと、こうしていつも話が脱線するんですよ。
佐倉:ぬーさんが秩序かと思いきや、そうでもないという(笑)。
ーーとても面白かったです(笑)。素敵なお話をありがとうございました!
インタビュー・文:吉野庫之介
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『新幹線変形ロボ シンカリオン』とは
<STORY>
鉄道博物館、京都鉄道博物館、リニア・鉄道館の地下深くに存在する特務機関「新幹線超進化研究所」は、“漆黒の新幹線”が生み出す巨大怪物体から日本の平和と安全を守るため「新幹線変形ロボ シンカリオン」を開発した。
「シンカリオン」とは、実在する新幹線から変形する巨大ロボット! その「シンカリオン」と高い適合率を持つ速杉ハヤトら子どもたちが運転士となり、研究所員ら大人たちと力を合わせて強大な敵に立ち向かう! 果たして“漆黒の新幹線”の目的は・・・!? 子どもたちは日本の平和と安全を守れるのか・・・!? チェンジ! シンカリオン!