![僕は『WUG』のライブを初めて見るのが、SSAという方が羨ましい](https://img2.animatetimes.com/2019/02/5c75fcf4c7da5_63a3e1672f307c8ab47cc4643a730630.jpg)
僕は『Wake Up, Girls!』のライブを初めて見るのが、さいたまスーパーアリーナという方が羨ましい
「川野さん WUGさんのライブレポ読んだんだけど、『土曜日のフライト』凄く素敵な曲ねぇ」
2019年1月12〜14日の3日間に開催された『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART III KADODE~』大阪公演のレポートを読んだアニメイトタイムズの編集長・内田さんからこうメッセージが届いた時、心の底から「それな!」と思った。
勿論、大人として「ありがとうございます!恐縮です!」と返信した訳だが。
今日は2月26日、アニメイトタイムズの編集部に月末のご挨拶をした際に、『Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~』についてのコラムを書いて欲しいというオファーが届いた。
どうやらあの日から編集長も『WUG』さんにハマってきたみたいだ。心の底から嬉しい。
アニメイトタイムズは『Wake Up, Girls!(以下、WUG)』の7人がお披露目されたデビュー当時から、メディアとしてその活躍を報じてきた。
僕は“途中から”携わってきた身ではあるが、最後まで精一杯彼女たち7人のためにできることをしたい。今回、この想いだけを胸に筆を取ってみた。
2019年3月8日に開催される『Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~』で彼女たちの目に広がる光景が最高の景色となるように。青葉が美しい花になる瞬間のために。そして、彼女たちが何の悔いもなく「土曜日のフライト」を迎えるために。
さて、何から書こうか。
まずは僕が『WUG』さんのことを世の中に伝えたいと思ったことからはじめてみよう。
一歩踏み出す勇気
僕はアニメ『Wake Up, Girls!』で彼女たちを知り、作品、声優としては勿論だが、その音楽性に惹かれた。
ライブの人気ナンバーである「16歳のアガペー」や「極上スマイル」を初めて聴いた時、自分の気持ちを抑えるため、足をトントンと叩いていたことを今でも覚えている。
楽曲自体は爽やかで瑞々しい印象なのに、僕はどうして「泣きそうになってるのだろう」と。
ガラス細工のように繊細で儚い。ただし、弱い訳じゃない。この何とも表現できない魅力は一体何なのだろうか。
そもそもエンターテインメントとは、人々に元気と幸せを与えるものである。
ただし、人々の心の琴線に触れることは、そんな簡単にできることではない。
アーティストは舞台裏で、血の滲むような努力や、仲がいい友だちにも話せないような葛藤と戦っている。だからこそ、スポットライトの光がよく似合うのだと思う。
『WUG』さんは自分たちが「タチアガル」ことで、その光景を見た人々に何かを伝えようとしてきた。
平均身長157.5センチの小さな身体で、『WUG』らしさを追い求め、フアンに何かを伝え続けてきたように思う。
山下七海さんは今でもステージに出る前に凄く緊張すると語った。
吉岡茉祐さんは、デビュー以前、人前で歌うのが嫌いだったと胸中を明かした。
『Wake Up, Girls!』吉岡茉祐さん「人前で歌うことが嫌いだった私を変えてくれたのは、ファンの皆さん」『Green Leaves Fes』開催記念インタビュー
数秒後の自分を信じる勇気。一歩踏み出す勇気。
新しい家族となった7人は様々な壁を乗り越えてきた。
そんな彼女たちのデビューから歩んできたパレードが終わろうとしている。
ラストライブのタイトル「想い出のパレード」は、彼女たち7人で決めたタイトルだ。
これまで過ごしてきた『Wake Up, Girls!』という時間こそが「想い出のパレード」。
最後のお祭りに、その列に加わるチャンスがあるということは、なんと贅沢なことなのだろうか。
WUGのライブとは何なのか
「仕事しろ!」
こう言われると思うが敢えて書く。僕は『WUG』さんのライブ中にレポートを書かない。
何が起きるか分からない。一瞬の表情やステージから発せられる熱を目に焼き付けた上で執筆してきた。だからいつも速報になっていないわけだが。
「都会に染まり切れないお芋ちゃん」
アニメ『Wake Up, Girls!』で7人のプロデューサーを務めた早坂相ではないが、「『WUG』の本気を見たい」から、ライブ中に記事を書かない。
そして、常に本気でパフォーマンスを魅せてきた彼女たちのスキルは、既にお芋ちゃんの域を超えていた。
アコギ1本による伴奏・イヤモニ無しの環境でハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウスケールのコーラスをハモりながら歌えてしまう女性声優7人による日本の声優ユニットとは一体…… #ヨルナイト #WUG_JP
にも関わらず、テクニック以上にハートで彼女たち7人はぶつかって来る。常に生歌でダンスも全力投球で今の自分たちを表現し続けた。
メンバーそれぞれの個性は、パフォーマンスからも滲み出てくる。
吉岡茉祐さんは、ノッてくると、明らかにダンスを崩してくる。そして、本気の本気になった時は左ではなく右手でマイクを持っている機会が増える。彼女の情熱的で繊細な歌声。「もっと来いよ!」という挑戦的で澄んだ瞳に一瞬で心を奪われることも珍しくない。そして、彼女はライブ会場が大きければ大きいほど燃える。その姿を僕は何度も目の当たりにしてきた。
永野愛理さんは、いつも隣のメンバーと笑顔を交換する。彼女が発する唯一無二の声、そして遠くにいても一目で見て分かるほどのキレのあるダンスは常にライブを牽引している。4thライブ以降、そのパフォーマンスは顕著になった。作品、キャラ、ファンを心から愛する彼女はいつも可憐である。
田中美海さんは、常に真っ直ぐで素直でシンプルだ。最も都会っぽい雰囲気がありつつ、洗練されたパフォーマンスがウリである。一方で、ライブでは一番最初に泣いている人情味が堪らない。
青山吉能さんは、艶のあるファルセットと伸びやかな歌声、ステージ上での所作の美しさが持ち味。リーダーとして、MCでもいつも端から笑いと感動を巻き起こすサプライズメーカーである。
山下七海さんは、プロフェッショナルだ。常に120%を出してくる。ライブ映像を見返していただくと分かるが、常に美しい表情をしている。勿論、アクセントを与える歌声にも甘美な魅力がある。
奥野香耶さんは、自身が演じた菊間夏夜ではなく、奥野香耶さん本人が全面に出るようになった2018年以降が特に素晴らしい。パフォーマンスや歌声、MCにも本当の魅力である「可愛らしさと優しさ」が溢れ出すようになった。
高木美佑さんは、太陽のようにステージに華やかさを与えている。彼女の持つ、天性の声の明るさと長い手足から来るダイナミックなパフォーマンスがあるからこそ、「儚い」だけに留まらないのだ。
これまでも多くの名曲を生み出してきたMONACAのクリエイター陣や作詞家が生み出す楽曲、最高の振り付けとヘアメイク、スタイリスト、ステージ演出という土台に、この7人の個性が加わったのが『Wake Up, Girls!』のライブである。
勿論、ステージを全力で盛り上げるファンも忘れてはならない。
エモーショナルという言葉だけでは足りない。
「これが『Wake Up, Girls!』のライブだ!」
この感動を1人でも多くの人に伝えたいと思い、僕は執筆活動を続けてきた。
“MONACA組曲”という最終章を彩る神曲たち
「海そしてシャッター通り」、「言葉の結晶」、「土曜日のフライト」、「さようならのパレード」。
2019年1月23日にリリースされた「Wake Up, Best!MEMORIAL」。これまで『WUG』さんの音楽を支えてきた最強のクリエイターたちが、最後の最後にこれから旅立つ7人にお守りとなる最高のプレゼントを手渡した。
僕はこの4曲を移動中に聴こうと思って失敗した類の人間である。
“MONACA組曲”は究極の4曲に仕上がっていたため、掛けていたメガネを何度も外した。そして、「さようならのパレード」2番Aメロで青山吉能さんと吉岡茉祐さんのパートを聴いた時に電車を降りる決意をした。
ここからは、「Wake Up, Best!MEMORIAL」に収録された“MONACA組曲”について少しだけ語りたい。
海そしてシャッター通り
まずは、「海そしてシャッター通り」。
TVアニメ『Wake Up, Girls!』のBGMなどを出掛けてきた高橋邦幸さんが生み出したメロディは、子どもの頃を懐かしむ大人になった世代に響く、暖かなご褒美のようである。
ふっと地元が恋しくなる。そんな楽曲。
非常に残念なことだが、同曲にはMVが存在しない。だが、その情景が自然の脳裏に浮かんでくるから不思議だ。
メンバーそれぞれの故郷や仙台を歩きながら、可憐に歌っている。地元から旅立ち数年が経った彼女たちが恥ずかしそうな笑みを浮かべている。なんだったら、それぞれのご家族も出演している。
目を閉じるとそんな光景が広がってくる。
フルートやバイオリン、ハープなど様々な楽器が生み出す調和は“MONACA組曲”の1曲目に相応しく、いつか未来に聴いた時でも、彼女たち7人が一緒にいる時の優しい笑みを思い出させてくれるような旋律となっているように思う。
言葉の結晶
続いては「言葉の結晶」。
『I-1club』では「シャツとブラウス」や「運命の女神」、「止まらない未来」の王道のアイドルソングから「君とプログレス」と「Jewelry Wonderland」など挑戦的な楽曲を手がけてきた広川恵一さん。
今回は、『WUG』さんのアーティスティックな魅力を引き出すプレゼントを届けた。
サビ手前の7拍子、メンバー7人が一文字ずつ歌うパートはメンバーの並び順となっていたり、2分29〜30秒に訪れる静寂など、遊び心が満載。
アーティスト『Wake Up, Girls!』のクールな魅力を最大限に引き出す楽曲は、ライブでのパフォーマンスが加わると更に映える。
カッコいい『WUG』さんも最高である。
土曜日のフライト
3曲目は「土曜日のフライト」。
レトロな雰囲気漂うポップスを現代風にアレンジ。どこか古き良き時代の香りのするメロディは、「彼女たちの歌をもっと色々な世代の方に届けたい」と優しく微笑む田中秀和さんからのギフトのようだ。
田中秀和さんはこれまでも「『WUG』と言えば?」という楽曲を作り上げきた。これが最後の楽曲なのだと思うと、何だか胸が熱くなってくる。
「土曜日のフライト」の歌詞は中盤以降、特に終盤にかけて緊張感に包まれる。
「忘れないで でも 上手に忘れて」
7人の歌声に悲壮感が漂ってくる。
その裏でサウンドはストリングス中心に変化してくる。
まるで、彼女たちの心からの叫びに対して、暖かく見守っているかのように。これまで『Wake Up, Girls!』の音楽を作り上げてきた田中秀和さんにしかできない極上の一曲が「土曜日のフライト」なのである。
ちなみに作詞を担当した只野菜摘さんが、さいたまスーパーアリーナでのライブが金曜日に開催されることを知ったのは、楽曲が完成した後のことらしい。
まさに、運命。デスティーノ。『Wake Up, Girls!』はやはりもっているユニットである。
さようならのパレード
そして、「さようならのパレード」。
CD音源を聴いて泣いたのは何時ぶりだろうか。ひょっとすると初めての経験だったのかもしれない。
『WUG』さんのはじまりの曲である「タチアガレ!」を手掛けた神前暁さんが最後に書き下ろしたのは、大円団の雰囲気漂う至高の一曲である。
『Wake Up, Girls!』という物語が終わる。そんな一抹の寂しさを明るく彩る一曲。まるで、超大作ゲームのエンディングで流れる楽曲のよう。聴くものの涙腺を緩くするのも無理はないと思う。
これまでの彼女たちの歴史を知っている、いないに関わらず胸に響いてくる神曲である。
明るい雰囲気なのに、儚く、結末を感じさせるような儚さがある。。でも、不思議なことに悲壮感はない。
サビのコード進行や最後の歌詞。その全てが終わりではなく、新しいはじまりを暗示させるものになっているのも印象的だ。
「さようなら、ごきげんよう」
『Wake Up, Girls!』最後の楽曲が「さようならのパレード」で本当に良かったと思う。いや、最後ではないか。
「さようならのパレード」は新しいはじまりを祝福する歌だ。
ここまで素直に旅立ちを祝う気持ちにさせてくれる音楽は、彼女たちにとって最高のお守りだ。
そして、この“MONACA組曲”の作詞を全て務め上げたのが、これまでにも多くの歌詞を提供してきた作詞家の只野菜摘さんである。
彼女たちの人間性をしっかりと理解した上で、一つひとつの言葉に意味を込めた詞は『Wake Up, Girls!』の7人が心に秘めていたフレーズをそっと優しく形にしているかのよう。
只野菜摘さんの深い愛で紡がれた詞の世界観が、『Wake Up, Girls!』らしさを表現する大きな大きな鍵だとずっと僕は思ってきた。
「さようならは 嫌だよ」
彼女たちの心の底にあるであろうこの言葉を見つけてくれたこと、この時代に、このタイミングでこの歌詞を書いてくれたこと、僕は誇りに思う。
高橋邦幸さん、広川恵一さん、田中秀和さん、神前暁さんがメロディに、只野菜摘さんが歌詞に込めた彼女たち7人への深い愛のこもった4曲が“MONACA組曲”。
こんなにも素敵なクリエイターに愛される7人が、楽曲に相応しい最高のパフォーマンスを披露するのだから、3月8日のさいたまスーパーアリーナには価値があるのだ。
初めてのライブがSSAという方が羨ましい
1月30日に放送された『鷲崎健のヨルナイト×ヨルナイト』に『WUG』さんが登場した。この番組に耳を澄ましている時、僕はふとこう思った。
「『Wake Up, Girls!』のライブを初めて観るのがさいたまスーパーアリーナになるという方がすごく羨ましい」と。
初めての体験や衝撃に勝るものを僕は知らない。勿論、何度も繰り返し体感する素晴らしさもあるのだが、初体験に勝るものはないのである。
一生色褪せない初めてのライブが彼女たちがずっと待ち望んでいたステージになるって、例えようがないほどに素敵なことだと思うのだ。
僕自身、初めてレポートを書いたライブのことは今でも鮮明に覚えている。
吉岡茉祐さん、永野愛理さん、田中美海さん、青山吉能さん、山下七海さん、奥野香耶さん、高木美佑さんの7人が、さいたまスーパーアリーナのステージに立つ。
歴史的な瞬間を目の当たりにするチャンスは、全員平等に一度しかないのである。
応援すること、推すこと、愛することに時間なんて語るのはナンセンスだ。
あなたと『Wake Up, Girls!』の物語が始まることに、遅いも早いもない。
だって、それがあなたにとって、『Wake Up, Girls!』と巡り会う最高のタイミングだったのだから。
必ず「想い出のパレード」は大成功のライブになる。
その結果、SNSのタイムラインは「最高だった」という彼女たちへのラブレターで埋まるだろう。
僕も35歳になって後悔していることはたくさんある。その大半が「やっておけばよかった」である。
物質的なの後悔は、後から何とかなることもあるが、体験の後悔は二度と手に入らない。
だからこそ、その瞬間、瞬間で大切なことを選ぶ必要があるのだ。
勿論、不安もあると思う。もしも、初めてライブに行く方であれば、本当に楽しめるのかと、勘ぐってしまうとも思う。
お金を払ってチケットを買うのだから当然だ。ましてや決して安い買い物でもない。
ただ、これだけは断言できる。
僕が3年間観続けてきた『Wake Up, Girls!』のステージは、一度も後悔した気持ちにさせるものではなかった。
その証拠に僕はよく終演後の会場を見渡すのだが、満足した表情の方しか見たことがない。
熱くなって、笑って、熱くなって、泣いて。感情の機微に、五感に訴えてくるのが『Wake Up, Girls!』のライブだ。
もしも、友だちから誘われて当日さいたまスーパーアリーナに足を運んだ方はきっと終演後こう言うと思う。
「今日は誘ってくれてありがとう」と。
人生の中で「想い出に残る」数時間を過ごすことは、とても贅沢な事だと僕は思う。
チャンスを受け取った7人に会いに行く日
2月24日に彼女たちは「Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART Ⅲ KADODE ~」を終え、「想い出のパレード」への最終準備に入った。
アニメ『Wake Up, Girls!』の作中、アイドルの祭典でもう1人の彼女たちは満員の『I -1アリーナ(さいたまスーパーアリーナ)』に立った。
今度はアニメではない。現実の世界で『Wake Up, Girls!』が約束の場所 さいたまスーパーアリーナで輝く番だ。
2019年3月8日、日本中いや世界中で一番美しく輝く「Polaris」をあなたと、大勢の方と一緒に観たい。
[文・川野優希/写真・Re-Zi、Wake Up, Girls!オフィシャル]
公演概要
■タイトル
Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~
■日 時
2019年3月8日(金)
開場17:30 開演18:30 ※開場・開演時間は変更になる場合がございます。
■会 場
埼玉・さいたまスーパーアリーナ
■主 催
エイベックス・ピクチャーズ株式会社
■内容
声優ユニット「Wake Up, Girls!」によるFINAL LIVE
※内容は変更になる可能性があります。
■出演者
Wake Up, Girls!
(吉岡茉祐、永野愛理、田中美海、青山吉能、
山下七海、奥野香耶、高木美佑)
※出演者は予告なく変更となる場合がございます。
出演者変更に伴うチケットの払戻しはいたしません。
【各プレイガイド一般販売】
2019年2月25日 (月) 10:00~ 発売再開!
■楽天チケット
受付URL:http://r-t.jp/wug_final
■ローソンチケット
受付URL:https://l-tike.com/wug0308
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