一切妥協をしてこなかったアルバム――東山奈央さん2ndアルバム『群青インフィニティ』全11曲をなおぼう自身が徹底解説【後編】直筆コメント付き！

声優で歌手の東山奈央さんが、2019年4月3日に2ndアルバム『群青インフィニティ』をリリース！　アニメイトタイムズではアルバムの発売を記念して行ったインタビューで、東山さん自身が全11曲を徹底解説中です。

　
後半となる今回の記事は、7曲目から11曲目までの5曲を解説。さらに、8月12日(月・祝)から行われるツアーライブ「東山奈央 1st TOUR "LIVE Infinity"」の構想についても語っていただきました。

2ndアルバム『群青インフィニティ』の後半を徹底解説

Living Dying Kissin'

――6曲目の雰囲気から、ガラッと変わった7曲目の紹介をお願いします。

東山奈央(以下、東山)：6曲目の『さよならモラトリアム』で個性的な曲が終わりかな……と思いきや、7曲目も別の意味で個性的な『Living Dying Kissin'』です。略称は「LDK」です！

――「LDK」だと呼びやすいですね。

東山：この曲はTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDさんが書いてくださった曲です。アニメ『トリニティセブン』や『叛逆性ミリオンアーサー』でお世話になった方で、私が大ファンなので「新しいアルバムで曲を書いていただけないでしょうか？」と、アプローチさせていただきました。

――歌詞が英語でかっこいいです。

東山：『トリニティセブン』で英語の歌詞を歌わせていただいた経験から、今回も「英語の詞にしようと思うんだけど、どうですか？」と提案してくださったんです。英語は好きですし、いままであまり英語の曲がなかったので、「ぜひチャレンジさせてください」とお願いしました。

――『LDK』で東山さんが気に入っている部分はどこですか？

東山：いろんな音が入っていて、聴き所がたくさんあるところが好きです。曲の雰囲気は、色っぽくて毒のある感じにしたいと思って、テクノボーイズさんにお願いさせていただきました。

また、ちょっとしたギミックもありまして、実は「LDK」というタイトルは、略したら偶然そうなったのではなく、最初からテーマを「部屋」にしているんです。ルームシェアをするイメージで、「愛という鍵があれば、誰かと人生の部屋を分かち合うことができるのさ」というメッセージを込めています。

――英語の歌詞がお好きな理由は？

東山：メリハリがあるところですね。やっぱり日本語と英語だと、メロディやフレーズの捉え方が違うのではないかなと思います。たくさん練習して歌いました。

ゆれる

――そして次の『ゆれる』も、ガラリと雰囲気が変わった曲ですね。

東山：一段とダークな曲です。ここまでの曲はロックとかテクノとか、エネルギーを感じられる曲が多かったので、「ガクンと落ちていく曲を歌いたいです」とお願いして作った曲です。まるで「詩」のような歌詞だと思いました。

――このような曲は、アルバムだから可能になったのでしょうか？

東山：そうですね。ずっとこのようなダークな曲を歌いたかったんです。落ちていくような内容ですが、最後は暗い闇の中に、まだ残されている闘志みたいなものを感じる曲です。演奏の音に情熱を感じられて、とてもかっこいい曲になったと思いました。

――この曲は、演奏もかっこいいですね！

東山：実はピアノとベース、ドラムを同時にレコーディングしているんです。ジャズなので音の応酬があったほうがいいということで、ディレクターさんがそのようにしてくださったんです。なので、音でしのぎを削り合っている様が、とてもかっこいい曲に仕上がりました。

奇跡

――東山さんがお好きなバラードです。

東山：こちらも『LDK』と同じく、私から川崎里実さんにお願いして作っていただいた曲です。川崎さんは『神のみぞ知るセカイ』の中川かのんちゃんの仮歌を、すべて担当してくださった方です。さらに、かのんちゃんの代表的なバラード『らぶこーる』を作曲してくださった方です。

――そうだったのですね！

東山：私は川崎さんに、「バラードを書いていただきたいです」とだけお伝えしました。それ以外はなにもお願いしていません。川崎さんのバラードなら、どんな曲でも歌いたかったんです。川崎さんはとても純朴な方で、飾らない人柄なんです。でも、作られる曲は大人っぽいのが魅力です。

――『らぶこーる』を作った方が、今度は東山さんのためにバラードを書いてくださったなんて感動します。

東山：かのんちゃんプロジェクトは、4年前に開催した舞浜アンフィシアターが最後でした。あのステージ以来、かのんちゃんはかのんちゃん、私は私として、私だけの星を目指して、違う道を歩んでいきました。

あれから4年が経ったいま、川崎さんが『奇跡』を作曲してくださいました。この曲は、かのちゃんと別々の道を歩いている私のためだけのバラードを、他でもない川崎さんの作曲で歌いたいという経緯で生まれました。私にとって、またひとつとても大切な曲ができました。

未来YELL！

――2ndアルバムは本当にバラエティ豊かですね！　バラードの次は元気な応援ソングです。

東山：これで2ndアルバムの最後を飾ってもいいくらいの、大団円なイメージの曲です。

――どことなく「Rhodanthe*」の楽曲をイメージしました。

東山：私もです！　ブラスがRhodanthe*っぽいのかもしれませんね。でも、作ってくださった方は違いますし、意識していません。『Jumping』の振り付けが、そのまま踊れるかもしれませんね。ちょっとやってみますね。

(ここで曲に合わせて振り付けを実演)

東山：あ、ピッタリでした！(笑)

一同：(笑)

東山：やっぱりブラスのサウンドが、Rhodantheを連想させるのかもしれませんね。この曲が誕生したきっかけは、ディレクターさんと「ブラスの曲を作りたい。カラットした青空を表現できるんじゃないか」と、話し合ったからです。あのときは、まさかRhodantheっぽい曲になるとは思いませんでした。

――曲のタイトルの通り、元気な曲ですね。

東山：めちゃめちゃ元気になれる曲です。コール＆レスポンスが楽しいパートがあります。羽ばたいていけそうな曲になりました。

――ブラスの曲なので、イメージソングやテーマソングに使えそうと感じました。

東山：そうなんです！　甲子園(全国高等学校野球選手権大会)とかですよね？　「YELL」なのでピッタリだと思います。

あ、でも高校野球とかスポーツの応援でしたら、『群青インフィニティ』もいいと思います。どこかの高校の吹奏楽部が、『未来YELL！』か『群青インフィニティ』を演奏してほしいです。やってくれないかなぁ～。

――聴いてみたいですね！　間違いなく書いておきます。

はじまりの空

――全11曲のラストを飾るのが、東山さんが作詞作曲をした『はじまりの空』です。

東山：『未来YELL！』は吹奏楽でやってほしい曲ですが、この『はじまりの空』は合唱部で歌ってほしい曲です。私自身も合唱部でしたし、この曲を合唱してみたいですね。

『未来YELL！』でガッとあがったテンションを、『はじまりの空』クールダウンします。そして、気持ちよく眠れます(笑)。

――1曲目の『群青インフィニティ』と共に、ダブルリード曲なのですね。

東山：はい。私が大好きなバラードです。この曲は、私が初めて作詞作曲にチャレンジした『Rainbow』を作っている最中に、すでに構想はできていたんです。気に入ったフレーズができたのですが、『Rainbow』に入れるのは難しかったので、もう1曲にしてみようと思ったんです。

――かなり前から完成していたのですか？

東山：いや、頭の中だけで作っていたので、完成はしていませんでした。作詞はまったくしていなくて、メロディーと和音だけフルコーラスで作っていました。そのときから『Rainbow』よりも明るい曲になりそうだったから、アンサーソングという立ち位置で作ろうと決めていました。

――では、2ndアルバムの制作で完成させたのですね。

東山：2ndアルバムを作ることになってから、頭の中にあったメロディーに詞をつけて誕生しました。

――東山さんが曲を作るときは、どのように作るのでしょうか？

東山：『群青インフィニティ』はベースとなるコード進行をWEST GROUNDさんが作ってくださっていましたが、それ以外の『はじまりの空』と『Rainbow』、『Winter Melody』は、自分でコードから曲を作って、詞を載せていきました。『はじまりの空』はとても大変で、半年くらいかかったと思います。『群青インフィニティ』の歌詞は三週間くらいでできたのに。

――それはなぜでしょうか？

東山：私はもともと、作詞よりも作曲のほうが作りやすいタイプなんです。作曲といっても、ちょこっとひくくらいですけどね。私は声優になる前に、趣味でインストの曲を作っていたから、歌詞を考えるよりも曲に想いを込めるほうがやりやすいんです

――歌詞を考えるのは難しいですか？

東山：作曲をするときに、伝えたい想いは「メロディー」に込めたのに、その想いを今度はもう一度「言葉」として表現しなければいけません。私にとって、同じ作業なんです。

――想いを音で伝えるのと、言葉で伝える作業ですね。

東山：作曲は輪郭がないけど、確かにある感情をメロディーにする作業です。しかし作詞は、感情に輪郭を持たせなければならないんです。これは私にとって、とても難しく感じます。『はじまりの空』は、特に考えて作りました。

作詞は自分だけじゃなく、みなさんに伝わる言葉を選ぶ必要があります。私が伝えたい感覚、それこそ色や風、空気を感じられるような歌詞にしたいという思いがありました。さらに音やメロディーと、歌詞の言葉のイメージが乖離しないような、そんな言葉を見つけるのに苦労しました。

――東山さんの言葉を聞いていると、一曲一曲を丁寧に作っているのが伝わってきます。

東山：本当に難しかったです。2ndアルバムでダントツに苦労したのが、『はじまりの空』でした。あまり強すぎるワードを使ってしまうと、等身大の私から離れてしまいます。これでは共感してもらえません。

多少ポエミックな言葉を使ってはいますが、なるべく遠くにいかないように、地に足がついている感じを大事にしました。ああでもない、こうでもないと、半年間悩んで作りました。

――では、曲ができた後のレコーディングは達成感？

東山：それが……レコーディングはもっと大変でした。私はインストを作ることに慣れていたので、歌うことを前提としていない曲を作ってしまうんです。自分で作っておきながら、歌ったらキーが高くて歌うのが難しかったです(笑)。

2ndアルバム『群青インフィニティ』がついに完成！　その瞬間、東山奈央さんが思ったことは？

――全曲紹介ありがとうございました！　たくさんの想いが詰まった1枚が完成したときのことを覚えていますか？

東山：もちろんです！　マスタリングまで立ち会わせていただいたので、ディレクターさんと「本当に完成の日が来たんだ！　ついにできあがった！」と、喜び合いました。肩の荷が降りた感覚でしたね。半年間と聞くと長く聞こえるかもしれませんが、ものすごいスケジュールでやっていたと思います。

――声優業との両立ですからね！

東山：去年(2018年)はありがたいことに声優業がとても充実していたので、昼は声優、夜はアルバム制作の毎日でした。3～4時までアルバム制作をしていたこともありました。そのため、ディレクターさんとのやり取りは、深夜の2～3時がメインでした。いま思うと、お互いに体力面できつかったかもしれないです。

ですが、絶対に妥協はしたくなかった。途中で「このへんでいいかな」なんて思ったことは一度もありません。「あと1回聴いたら変わるかもしれない」とか、「この曲は聴きすぎてゲシュタルト崩壊しかけているから、2日置いてもう一度聴いてから判断をしよう」とか。時間をかけることに一切妥協をしてこなかったアルバムです。

――1stアルバム『Rainbow』とは違いましたか？

東山：そうですね。まったく違いました。もちろん1stアルバムも妥協はしていませんが、まだ自分がどれくらい音楽的なことに意見を出していいのかわかりませんでした。ソロ活動の曲は、キャラクターソングと違って、突然曲が生まれるんです。

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――どういう意味でしょうか？

東山：キャラクターソングの場合は、私がそのキャラを演じているため、歌うまでに至った経緯や、バックボーンがわかります。ずっと共にしているキャラクターですから。でも、ソロの曲はなんの背景もなく、突然その曲が生まれます。

――それは大きな違いですね。

東山：だから、ソロ曲をいただいたときの初めの作業は「なぜこの子はそう思ったのか？」とか「なぜこの音色？」、「なぜこのテンポ？」など、曲と歌詞から想像を膨らませるんです。1stアルバムは、この作業に苦労した記憶があります。

――2ndアルバムは、いかがでしたか？

東山：2ndアルバムは、それぞれの楽曲がまだデモだったときから、全部聴かせていただいてきました。デモ曲は、キャラクターソングのバックボーンの代わりとも言えます。なので、曲が生まれた経緯をすべて把握できたので、レコーディングのときは満を持して挑めました。

――時間がかかりそうですが、結果的には正解だったですね。

東山：いろいろな調整をしてくださったスタッフさんには、とても苦労をかけてしまったと思います。でも、私はすごくよかったなと思います。これだけ関わらせていただいたので、胸を張ってみなさんにお届けできる1枚になりました。

2ndアルバムを引っさげて夏のツアーライブ開催！

――最後に2ndアルバム『群青インフィニティ』を楽しみにしているみなさまにメッセージをお願いします。

東山：2ndアルバム『群青インフィニティ』が4月3日に発売されます。ちょうど新生活がスタートするタイミングにピッタリな、みなさんの新生活を応援するような1枚です。夢に向かって進むみなさんの背中をグッと押せるアルバムを、これからの生活のお供にしてくださったら嬉しいです。

――8月12日から、ツアーライブが開催されますね！

東山：はい！　ツアーに向けて作った1枚でもあるので、楽しく盛り上がれる曲がたくさん収録されています。言葉で説明するのは難しいですね(笑)。聴いてくださったらわかります！　一度聴いてくださったら、「ライブで楽しいって、こういうことか！」とわかってもらえるはずです。ライブまでまだ時間がありますので、それまではアルバムを聴きながらエンジンを温めておいてください。

――ライブの構想はすでに練られているのでしょうか？

東山：まだ具体的なことはお話できませんが、「この曲で、こういう演出をやってみたい！」というディスカッションは始まっています。お伝えできるのは、おなじみ「レインボードッグス」の生バンドの出演です。生バンドって楽しいですよね！　ライブ中に遊べることも多いですし。

そして、今回のツアーの会場はホールです。どこもステージが見やすい会場だと思います。なので、来てくださったすべてのお客さんに、ショーアップされたステージングを楽しんでいただけるような演出にしていきたいと思っています。眼と耳と心で楽しめるライブを開催できるように計画しているので、ぜひ遊びに来てください！

[インタビュー・文／佐藤ポン]

リリース情報

■東山奈央 2ndアルバム「群青インフィニティ」
2019.4.3 instores

【初回限定盤 初回限定盤(CD＋BD)】3,800円＋税

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【通常盤 通常盤(CD)】3,000円＋税

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店舗別購入者特典絵柄

◆アニメイト
缶バッジ（オリジナル）＋複製サイン＆コメント入りブロマイド（オリジナル）
※缶バッジとブロマイドは同じ写真を使用しています。

イベント情報

東山奈央 2nd アルバム『群青インフィニティ』

　発売記念イベント 「うぉーうぉーしようぜ！！」

【イベント概要】　※3会場共通です
出演：東山奈央
内容：ミニライブ＆特典会（会場別メッセージカードお渡し）
対象商品：4月3日(水)発売 東山奈央2ndアルバム「群青インフィニティ」に参加券封入
・BD付初回限定盤　商品番号VTZL-156／税抜￥3,800
・通常盤　商品番号VTCL-60495／税抜￥3,000

■4/7(日)14:00　東京：東京ドームシティ ラクーアガーデンステージ
■4/14(日)14:00　兵庫：阪急西宮ガーデンズ 本館4 階スカイガーデン・木の葉のステージ
■4/28(日)14:00　愛知：エアポートウォーク名古屋 3F イベントステージ

東山奈央 1st TOUR “LIVE Infinity”

≪公演概要≫
2019年8月12日(月・祝) 大阪 /オリックス劇場 17:00開場 18:00開演
2019年9月1日(日) 名古屋 / センチュリーホール 17:00開場 18:00開演
2019年9月7日(土)・8日(日) / 横浜 / パシフィコ横浜・国立大ホール 17:00開場 18:00開演

■主催：
大阪公演/キョードー大阪 (問い合わせ：キョードーインフォメーション0570-200-888)
名古屋公演/サンデーフォークプロモーション
(問い合わせ：サンデーフォークプロモーション 052-320-9100)
横浜公演/ソーゴー東京(問い合わせ：SOGO TOKYO 03-3405-9999)

≪アジアツアー(追加公演)概要≫
2019年9月15日(日) / Legacy Taipei　17:00開場 18:00開演
■主催：フライングドッグ
■企画・制作：フライングドッグ・avex taiwan inc.
※現地でのチケット販売情報につきましては、追って発表とさせて頂きます。

オフィシャルクラブ会員先行受付中!!
国内公演(東名阪)の二次先行予約＆台北公演先行予約スタート！
■受付期間：2月24日(日)19:00?3月3日（日）23:00まで
■チケット料金(国内)：7,800円（税込）　※未就学児入場不可
■購入方法：“虹のわっか”会員様限定で、1会員様につき1公演2枚まで申込可能。
※応募者多数の場合は抽選となります。
※現地でのチケット販売料金については追って発表させて頂きます。
新規入会はコチラ ⇒ http://fc.toyamanao.com/
■企画・制作 フライングドッグ ※全公演

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