『デビル メイ クライ 5』伊津野英昭ディレクター・河森正治監督インタビュー前編|メカニックファン必見! デビルブレイカーのデザインにまつわる数々の制作秘話
2019年3月8日に発売を迎えたPS4ソフト『デビル メイ クライ 5』(以下、DMC5)。本作は、全世界のゲーマーから圧倒的な支持を得るスタイリッシュアクションゲーム『デビル メイ クライ』シリーズ待望のナンバリング最新作です。
そんな『DMC5』ですが、実はその主人公の一人である、ネロの使用する新たな力「デビルブレイカー」のデザインを手がけているのは、なんと『超時空要塞マクロス』シリーズなどで知られる、河森正治監督なんです。
2019年5月31日からは、東京ドームシティ Gallery AaMoにて、そんな河森監督のクリエイター歴40周年を記念した「河森正治EXPO」の開催も決定しています。
今回は、それらの発売及び開催を記念して、河森正治監督と開発を担当したカプコンの伊津野英昭ディレクターの異色の対談が実現。
オファーの経緯やデザインができるまでのエピソードはもちろん、ゲームとアニメの業界の違いや、完全なゲーマー目線から伺った『DMC5』についての話など、その話題は多岐にわたり、最終的には約1時半にも及ぶロングインタビューとなりました。
ここではその模様を、前後編でたっぷりとお届けしていきます!
アニメ業界とゲーム業界では、時間の流れが違う!?
――最初に、河森監督へのオファーの経緯についてお聞かせください。
伊津野英昭ディレクター(以下、伊津野):『DMC5』の企画を最初に立てた時、前作で最も強かった武器であるネロの右手(デビルブリンガー)を奪おうとまず決めたんです。その代わりに付け替え可能な義手(デビルブレイカー)を用意しようと。
何人かのデザイナーの候補の方がいたのですが、僕が個人的にお仕事をしたかったのもあり(笑)、真っ先にアプローチさせていただいたのが河森さんでした。『マクロスΔ』でのコネ(※1)も活用しながら(笑)。
※1:『マクロスΔ』でのコネ
『マクロスΔ』でキャラクター原案を務めた実田千聖氏は、カプコンに在籍しているクリエイター。
――時期的には、『マクロスΔ』の放送よりも前だったのでしょうか?
伊津野:そうですね。第1話の放送前くらいの時期に、2回目の打ち合わせがあって、河森さんが本当に忙しそうにしていたのを覚えています。
本当は『マクロスΔ』の方が一段落ついた時期にお願いする予定だったのですが、予定が後ろにズレた結果、一番忙しい時期にぶつかってしまったという……。
河森正治監督(以下、河森):後半に入ってからは大丈夫だったんですが、スタートの時期に被ってしまったんです。『DMC5』は長いスパンで関わっていたので、その間にもTVシリーズ2本と劇場版をやっていました。
基本的にアニメとゲーム業界では時間の流れが違うんですよね。
――具体的には、どのくらいの違いがあるのでしょうか?
伊津野:『DMC5』の場合は、実製作に3年半、企画も含めると4年くらいの時間が掛かっています。ゲーム業界のこの規模のプロジェクトとしては、特別に長い製作期間というわけではないと思います。
河森:アニメーションの場合、原作がある作品であれば、半年~1年くらいの準備期間で作られる作品が多いですね。オリジナルの場合は、企画が立ち上がるところから2~3年くらい掛かって、実製作に半年~1年半という形でしょうか。
実製作の期間はそこまで変わらないのですが、やはりオリジナルは時間がかかります。
伊津野:実制作には差がありますが、企画が立ち上がってからの期間を含めると、実はあまりゲームもアニメも変わらないのかもしれませんね。
ただ『DMC5』の場合も、『DMC』シリーズというベースがあったので企画から半年くらいで製作に入れていますが、これがゼロベースから作るオリジナル作品だとやっぱりもっと時間がかかります。最初の半年~1年くらいの間が一番しんどい時期ですね。
――河森監督は、これまで数え切れないほど作品のデザインを提供されてきたと思うのですが、武器デザインのみというのはあまりなかったのではないでしょうか?
河森:おっしゃる通り、実は今回が初めてなんです。
メカ本体とセットでということがほとんどでしたし、ゲーム作品だと武器の種類がすごく増えるので、むしろ本体のデザインをしたら武器のデザインは他の方にお願いするというパターンが多いくらいで。だから武器のみを担当するというのは新鮮でしたね。
武器だけでどれだけのバリエーションを作れるかというのは自分にとっても挑戦でしたし、『DMC』はすごく人気のあるシリーズですから、参加させていただけて光栄でした。
――河森監督ご自身は、『DMC』シリーズに対してどのような認識を持たれていましたか?
河森:いつも作品創りに追われているため、あまりゲームプレイはできていないのですが、やっぱりすごくスタイリッシュでカッコイイ作品だという印象はありましたね。
ゲームの映像もどんどん綺麗になって、昔だったらムービーの中だけの映像だったものが、実際のリアルタイムのゲーム画面で動きますから。
それでありながら、リアル系なのにほぼ不気味の谷(※2)を超えているというのもすごいなと。これは僕自身も映像作品を作っていてハードルが高かったことです。
※2 :不気味の谷
人間に形を寄せた造形物に対して抱く否定的な感情。人間に寄せた像は、ある程度までは親近感が沸くものの、一定のラインを超えると急に嫌悪感を催すようになる。主に人間に似せたロボットや、写実的なCGなどに対してこの現象が発生する。いわゆる「リアルすぎて気持ち悪い」というもの。
――ゲームだと写実的なCGというのは一般的ですが、アニメだとあまり使われません。この違いというのはなぜなのでしょうか?
河森:まずアニメは元々手で書くものでしたから、まず実写的なものは描きにくいですよ。
それに加えて、いわゆるアニメ的なデフォルメというのが、省略された絵に向いた動きになっていたんです。
それがだんだんハリウッド映画とかも、日本のアニメから映像ノウハウを取り入れるようにもなっていって……最近ではその境目がなくなりつつある印象も受けますね。
あとは少し前までは、3Dはどれだけ作りこんでもパーツとパーツの関係がぎこちないことが多かったのですが、すごく馴染むようになっていると感じます。ライティングなどの技術が向上した成果だと思いますが、本当にすごい進化だなと。
伊津野:ゲームも2Dの時代は、秒間10何枚のアニメーションで作っていたんですが、今では30、60フレームくらいが普通になってきましたね。
河森:秒間60になると、人間の目をかなり騙せるようになるので、そこはすごく大きいんですよね。60フレームになると、2D画面なのに奥行きを感じ始めるのが、なんでだろうと僕の中でも気になっていて。
伊津野:それについては僕らも若い子に講義をすることがあるのですが、人間の脳は最大200フレーム以上の動きに対応していて、30フレームまでだと間の動きを脳が補完することになるので、見ていると疲れてしまうそうなんです。
それが60フレームを超えて、120フレームとか大きくなると現実と同じように脳が錯覚し始めるそうですよ。
――なるほど……私もゲームをプレイする方なので分かるのですが、30フレームと60フレームで快適性の差が大きく感じるのには、そういう理由があったんですね。
河森:付け加えるなら、アニメの3DCGには実写に寄せずにわざとアニメルックを保っているものもありますが、アニメルックを保っているからこそやりやすいストーリー展開というのもあるんです。
もしかすると、ゲームは長時間プレイすることが多いと思うので、実写に近い映像の方が疲れにくいという理由もあるのかもしれません。
デビルブレイカーには知られざるもうひとつの形態が!?
――デビルブレイカーについて、どのような流れでデザインが固まっていったのでしょうか?
伊津野:まずカプコン側で何10、何100というネタ出しを行い、その中からゲーム中のバランスや見栄えなどを加味して、8個まで絞った段階で河森さんにデザインをお願いしました。
この頃はまだ正式な名称が定まっていなくて、ガーベラなら「衝撃波義手」みたいな感じで仮の名称になっていましたね。
河森:その頃って、今と違ってカートリッジ状のものから腕の形に変形して、その後でまた武器の形になるっていう3段変形だったんです。
ただ、最初の形を同じにしてしまうと、その後の形がかなり制約を受けるので難しいというお話はしましたね。
伊津野:カートリッジというのは、僕らが子供の頃に使っていた、いろいろな面が開いたり変形したりする筆箱のようなイメージだったんです。それが展開して腕の形に変形する……といった感じの。
河森:ゲーム中に出てくる剣や銃って結構大きめに作られていますが、人間の腕ってそこまで大きくなくて、ギミックが見えにくいんですよね。
最初にカートリッジにしてしまうと、変形後のサイズも大きくし辛くなるので、すでに腕になっている状態から武器を展開させるギミックの方が良いんじゃないかということは、最初にご提案させていただきました。
伊津野:そのあたりは僕たちも勘違いをしていた部分ですね。
こういう義手のギミックって、漫画とかだと手のひらの部分がアップなって強調されたりするので、結構大きいイメージを抱きがちです。ところが実際の画面に出してみると、人間の手って予想以上に小さい。
ゲームの場合は、基本的に背中側からのカメラアングルになっているので、尚更目立ちにくいんですね。その問題への解決策として提案していただいたのが、可能な限り腕を大きくするというものでした。
河森:後ろから見た時に腕が大きく見えるギミックというのは、一番頭を絞った部分です。そのためにも、サイズが制限される3段変形よりは、現在の2段変形+αのギミックの方が良いだろうという方向で落ち着きました。
伊津野:このあたりのスケール感は、実際に作ってみないと分からない部分が大きいですよね。
実は『DMC5』では銃のデザインを変えていて、今まではデフォルメされた腕に合わせて大きな銃をもたせていたんですが、それをそのまま今回モデルに持たせたら、腕に合わせても銃身も小さくなって、すごくバランスが悪くなったということがありまして。
それにあわせて、銃身のバランスとかのデザインを細かく変更したということもありました。
――同じシリーズ作品内でも、そういった変化があったんですね。
河森:あとは、手書きアニメや漫画の場合は、作画を行う人間の線のタッチが反映されますし、書き込める線の数にも限界があるので、状況に応じてフォルムを変えていったり、個性を出しやすいんです。
これがフォトリアルなゲームでパーツもリアルに寄せていくと、だんだん誰が描いても同じように見えてしまって、面白みがなくなるんです。
そこで考えたのが、ガンスミスに作られたという設定を利用した、指先を弾丸のような形状するというアイディアです。
こういうことができるのであれば武器自体にもキャラクター性を持たせられるなと。
世界中の方々がプレイされるゲームですから、銃が身近にある国の人たちにも届くような要素を入れるというのも意識していました。
河森監督のアイディアがゲーム内にも反映
――河森監督から上がってきたデザインを見て、ゲーム内の性能が変わったりしたこともあったのでしょうか?
伊津野:これは僕自身のゲームのつくり方なのですが、例えば「これを作って下さい」とガチガチに指定してお願いするのではなく、大まかな方針や目指すもの、どうしても押さえて欲しい要素だけを伝えるようにして、大部分はデザインされる方にお任せするようにしています。
前者の場合は指定された100%のものしか上がってこないのですが、後者の場合は120%のものができる可能性がある。ちょっとおこがましいのですが、河森さんの120%を頂きたかったんですね。
そういう作り方をしているので、こういう会話をしていく内にいろいろなアイディアが出てきて、それはゲーム中に反映させています。
例えばパンチライン。当初は腕を発射する純粋なロケットパンチ的な武器でした。それが、発射した腕の上に乗れるようになったのも、話し合いの中で生まれたギミックでしたね。
河森:インスパイアはされているとしても、やっぱりロケットパンチそのままになってしまうのは避けたかったんですね。
そこから+αとして思いついたのが、空中での機動力を高めることと、より見栄えをよくするために翼をつけたこと。そうなるとサイズも大きくなるので、上に乗ることもできるんじゃないかというプランに発展したんです。
ただ、その時はさすがに「一度持ち帰らせてくれ」と保留して、かなり悩みましたね(笑)。人間が上に乗るとなると、大きさの問題が出てきますから。
伊津野:本当はその部分は、発射したときに大きくしたり、いわゆる映像的な嘘をつこうとも思っていたんです。結果的には、河森さんが最大限まで腕を伸ばせるギミックを考えてくださったこともあり、実際に乗れるサイズに変形できるものになっています。
やっぱりそういういいアイディアが出ると現場も相乗効果で盛り上がるので、大変でも頑張ってくれるんです。
そこからチームが悪乗りして、今では乗った状態でトリックを決められたり、パンチラインにのったまま移動することを想定したポイントがあったり、好き放題やらせていただいています(笑)。
河森:そういうキャッチボールができる仕事っていうのが一番楽しいんですよね。やりとりなしでOKをもらえるのは、かえってあまり面白くない(笑)。
――確かに、パンチラインは河森さんのテイストが一番出ている武器だなと感じていました。LFO(※3)のような動きもありますし(笑)。
河森:そこはどうせならということで(笑)。
パンチラインの翼の部分には穴が空いているのですが、これは少しでも翼を大きく見せるためです。
腕がロボットのように長ければ、幅の広い翼も出せるのですが、収納翼の部分を収納できる箇所も限られますから。いろいろなところを伸ばしに伸ばしたり、拳の部分に素材となった悪魔的なモチーフを入れたりもしています。
※3:LFO
正式名称はLight Finding Operation。河森監督がメインメカデザインを担当したアニメ『交響詩篇エウレカセブン』に登場した人型機動兵器の総称で、トラパーと呼ばれる波に乗り、サーフィンのような軌道で高速戦闘を行うのが特徴。
――ゲームを普通にやっているだけだと気づきにくい、かなり細かいところまでこだわりが込められているんですね。
河森:義手のバリエーションを考えるのは、やりがいがありましたね。義手のデザインというのは、他作品を含めても数が限られていますよね。
これが銃器とかだと、あまりにも膨大な数の種類があるので、差別化が難しかったと思います。義手だけに特化したアイディアをいくつも考えるというのは新鮮で面白かったです。
――デザインのモチーフとなったものを見ていくと、ドリルやロケットパンチなど、ロボットアニメに登場する武器が多いと感じたのですが。
伊津野:そこはやっぱり、漢のロマンですから(笑)。そこに異論を挟む人はいますかと。
河森:そのドリルになっているヘルタースケルターについても、ただのドリルだと面白くないので、それをどうやって大きく見せるかというギミックを工夫しました。
こうした隙間のある構造だと、普通はドリルの側が持たないのですが、ヘルタースケルターに関しては、遠心力で強度を補うような設定になっています。
こういう構造のドリルは他でもあまりないと思いますし、個人的にもとても気にいっています。
あとこういうのは、CGの時代だからこそできる形状ですね。もし手書きで書くとなったら気が狂いそうになる(笑)。
――ドリルはロボットアニメのお約束的な武器ですが、河森監督の作品だとあまり出てこないイメージもあります。
河森:実際、そこは他と似ているものを極力避けるという意味で、意識しているところはあります。もちろん今回のようにオーダーとして来た時は別ですが。
普段自分の作品ではやらないであろうことができるというのは、オーダーの仕事の楽しみでもありますね。ただ、その場合でもすでにあるものそのままではなく、何かしらの+αは考えたいなと。
伊津野:ユーザーにとって、実際に変形できると信じられる説得力のあるデザインが欲しかったんです。
だからもし全部が玩具になっても成立するような構造にしたいということは、最初の段階からずっとお願いしていて。
途中、全部は難しいから完全変形できるのは一つくらいにしようという話がでたこともあったのですが、最終的にはすべて実際に変形が可能な形でデザインしていただきました。
「カッコイイかどうか」が、最優先するべきもの
――デビルブレイカーの中で、とくにデザインが大変だったというものはありますか?
河森:先ほどお話したヘルタースケルターと、あと時間が掛かったのはラグタイムですね。
時間を操作する腕なので、腕全体が時計の中身のようなフォルムになるようにデザインしつつ、真空管的なモチーフを組み込んでいます。
収納する時も、ただの円形にしてしまうと展開時の時と同じで面白みがないので、ロータリーエンジンのローターのような形が変わるように折り畳む部分を考えるのは大変でしたね。
最後の方は時間がなかったので、「この形で変形できるはずです!」と、細かい調整の部分はお任せしてしましましたが(笑)。
伊津野:そうですね、細かいギアの数とか、ゲーム内に組み込む際に少し調整した部分はあります。けど、これもきちんと実際に変形できるようになっているんです。
――河森監督は、手書きの時代から実際に変形ができるメカニックデザインをされています。CGが当たり前になった現在では、手書きの時代よりも変形合体の構造に嘘がつきにくくなっている面もあると思いますが。
河森:おっしゃる通りです。とくに大変なのが、CGだとプロポーションの嘘がつけないという部分ですね。
変形のギミック自体を考えるのは意外とどうとでもなるのですが、それぞれの形態でしっくりくるように各パーツの長さが合うかなども考えないといけません。
あと今回の場合、八本の腕すべてで変形の仕方も変えているんです。同じバリエーションは作りたくありませんでしたから。
例えばバスターアームは、手を大きくする時に手のひらではなく、前腕のパーツを使いました。
伊津野:僕は今回これが一番感動しましたね。『DMC4』での、ネロの悪魔の右手に近いコンセプトは初期の段階から固まっていたのですが、手のひらだけを使って迫力を出すのが難しくて。
そんなときに、「腕を大きくして迫力を出すのなら、いっそ前腕をすべて使いましょう」とアイディアを河森さんから頂けて。
河森:収納している時は、爪の部分がちょうど手に見えるようになっていて、展開すると、それまで前腕だった部分が手のひらに変化します。
腕を少しでも大きく見せるため、他のデビルブレイカーにもいろいろな方法論を使っているのですが、バスターアームはその中でもとくに大きくデザインしています。
伊津野:これは本当にうまくできましたよね。実は親指以外の爪のモデルは共通なので、モデルを製作する開発側にも優しいというオマケ付きでした。
一同:(笑)。
――個人的にも、バスターアームで『DMC4』の時のネロのような動きもできたのが嬉しかったです。腕がなくなったと聞いて悲しかったのですが、それが別の形で楽しめる。ネロといえば、掴んで叩きつけるという一連の動作がすごくかっこよかったので。
河森:一回腕をなくさせるというアイディアはさすがでしたね。一番の切り札を無くしたところから進行していくわけですから。
伊津野:やっぱりそのシチュエーションは燃えるかなと。最後の最後には悪魔の腕も返ってきて、それにデビルブレイカーが合わさったら「もう最強じゃん!」という感がありますよね(笑)。
河森:ローハイドとかは、実際に作った時にどのくらいまで腕が伸ばせるかという話もよくやっていましたよね。
伊津野:やりましたねぇ。そういえば打ち合わせの際、河森さんが実際の変形機構を再現したレゴを作ってきてくださって。「本当にレゴで作るんだ!」と、完全にファン目線で感動していました(笑)。
――それは大変貴重な経験を……! 個人的に、デザイン面はトムボーイもすごく好きなんですよね。でかい剣と銃っていう、まさにロマン! って雰囲気の義手で。
河森:トムボーイは、どうやって武器を持たせるかで紆余曲折がありましたね。
伊津野:そうですね。僕の方からもラフを描いてお送りしたこともありました。
トムボーイは、強力すぎるあまり制御が効かない武器を、パワーで強引に押さえ込むというコンセプトの義手で、実は最初はモンキーレンチ的なものを先端につけて、そこに持たせるという形式も考えていたんです。
最終的には普通の指の形になったのですが、親指の部分はレンチ状になって受け継がれています。
河森:個人的に、どうしてもモンキーレンチでやってみたかったんですよね。あとは、ターボチャージャーも。
やっぱり、単に装置がついているだけだとどうやって強化しているのかが分からないので、パワーアップする仕掛けも含めて考えています。
伊津野:トムボーイは、通常時に加えて、剣と銃をそれぞれサポートする形態があり、三段変形なんです。
遠距離攻撃時にはバレルを展開して、加速した銃弾を打ち出すレールガン的な形態になるのですが、近接攻撃時に剣に接続する時は、バレルの部分がエネルギーを送り込むケーブルの役割を果たすようにもなっています。
――デビルブレイカーというと、この手のシステムとしては珍しい「付け替えができない」のが変わっているなと思いました。
伊津野:これは最初から決めていた部分で、付け替えながら戦いたいのも分かっていたのですが、腕を壊したかったんです。
敵の攻撃を受けて破壊されても、「まだ切り札は残っている!」という展開って熱くないですか? やっぱり、『DMC』シリーズは、カッコいいかどうかが何よりも重要なんですよ。
前編はここまで。後編では、伊津野ディレクターの河森監督作品の思い出や『マクロス』シリーズの秘話など、こちらもファン必見の内容が飛び出しました。後編をお楽しみに!
[インタビュー/米澤崇史 石橋悠]
後編はこちらから!
◆『デビル メイ クライ 5』伊津野英昭ディレクター・河森正治監督インタビュー後編
「デビル メイ クライ 5」商品内容
■通常版
【パッケージ版】 6,990円+税
【ダウンロード版】 6,480円+税
■デラックス エディション(ダウンロード版のみ販売)
7,400円+税
<PC(Steam)>
7,436円+税
◆「デビル メイ クライ 5」公式サイト
◆「デビル メイ クライ 5」公式Twitter
『河森正治 EXPO』イベント情報
■開催日
2019年5月31日(金)~6月23日(日)
■開催時間
10:00~20:00(最終入場 19:30)
※期間中毎週月曜10:00~19:00(最終入場 18:30)
※5月31日(金)は13:00開場
■会場
東京ドームシティ GalleryAaMo(ギャラリーアーモ)
■入場券
2019年3月23日(土)より販売開始
【券種】
一般入場券 前売1,800円/当日2,000円
K-40シアター付き入場券 前売2,200円/当日2,400円
※「K-40 シアター」は、新作映像を含む河森正治 EXPO限定の特別映像を上映します。
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