「光へ」進むためには「ラクに行こうぜ!」ーーアーティスト活動してきたらかこそ見えた世界|豊永利行さんニューアルバム「光へ」インタビュー
最終的に「まあいっか」になる
――楽曲についてもお伺いできればと思います。リード曲「光へ」はどのように制作されましたか?
豊永:今年で35歳になるんですけど、30代も半ばに差し掛かったところで「一度、自分自身を見つめ直したいな」と思ったのが経緯ですね。
役者としてお仕事をさせていただくにあたって、人に何か言っていただけたり、演出やディレクションをしていただくことは、もちろん勉強になるんですけれど、そんな中で自分自身の信念やポリシー、いわゆる軸の部分がわからなくなる瞬間があったんです。
なので、「光へ」は「自分を見つめ直して、一度初心を思い出そうぜ!」みたいな感じです(笑)。そういった意味合いが込められていますね。
――「光へ」はMVも公開されています。ライブでお馴染みのバンドメンバーのみなさんなども一緒だったと思うのですが、撮影はどんな雰囲気でしたか?
豊永:まさかバンドメンバーのスケジュールが合うとは思わず(笑)。相変わらずの雰囲気ですね。中には初めてMVの撮影の為に来ていただいた方もいたんです。交流を図りつつ、お馴染みのメンバーとも和気藹々としていて、非常に居心地のいい場所でした。関わったみんなが楽しんでもらえてたら嬉しいなと思います。
――Twitterにメッセージ動画をアップされていましたが、バンドメンバーさんが後ろで……(笑)。
豊永:あれも僕が「バンドメンバーのみなさん、もし良かったら動画撮影中に後ろを通過してくださいよ」って言ったら、まさかあんなバリエーションを出してくれるとは思わなくて(笑)。
配信シングル「光へ」のPV撮影時に収録致しました豊永からのメッセージを公開致します!!
— 豊永利行INFO (@toyonaga_info) 2019年2月27日
バンドメンバーも友情出演していますよ~。是非お楽しみください!! pic.twitter.com/XmbRSAlLqc
――豊永さんよりも後ろに目が言っちゃいますよね。
豊永:そうですね、話の中身入ってこないですよね(笑)。面白がるのが好きなメンツが揃ってるなと個人的には思っています。
仲が良すぎて崩壊してしまうバランスもあるじゃないですか。そこをプロとしての線引きをちゃんとするメンバーのみなさんは本当に大人だなと感じますね。
――収録曲8曲のお気に入りのポイントはどんなところでしょうか?
豊永:どれも気に入っていますね。アルバムのトラックの順番を決めるのにも関わらせていただいているんですけど、1曲目の「光へ」とラストトラックの「ラクにいこうぜ!」は最初に聴いた段階からこれは1曲目とラストだなっていうのは決めていました。
今まで強いメッセージ性を込めた楽曲がコンセプトとしてあったんですが、自分の中に「まあ、何とかなるでしょ?」という楽観視する側面もあったんです。
人にものを申せる人間ではないなと自分自身で思った時に、ラストトラックは「まあいっか」で終わらせればいいじゃないかと思ったんです(笑)。
「ラクにいこうぜ!」は、僕が作詞作曲をしていない曲なんですが、非常に僕らしいと感じました。
――レコーディングや楽曲制作の際に大変だったことはありますか?
豊永:制作で1番難産だったのは「未来との約束」でした。僕は自分が書く曲はノンフィクションにするんですけど、この曲だけは全部フィクションで書こうと思ったんです。
どの曲を作るにしても全部挑戦ではあるんですが、「未来との約束」は作詞家としての挑戦をしたいと思って作りました。
ノンフィクションでは今まで自分の人生の中にヒントがあったんですけど、フィクションにしたので……まぁ〜詞が出てこない! お話が作れなくて結構悩んでいたというのが制作段階の苦労ですね。
レコーディングはインディーズの時からお世話になっているディレクターさんが、スタイルや段取りを僕に合わせて準備してくださるので全然苦労は無かったですね。
なおかつ、僕がやりたいものだけじゃなく、客観的な意見やアイディア出しというものをしていただけています。
「それは違うな」って思う時ももちろんありますし、でも逆に「それいいかも!」って思う時もあるので、そういう意味では非常に有意義なやりとりをさせていただいてますね。
――ご自身で作詞作曲を手掛けているときに意識していることはありますか?
豊永:「作らなきゃ!」って思わないこと(笑)。そう思っちゃうと作れなくなっちゃうので、基本的にはあまり意識しないようにしています。
その上で「あ、このフレーズ、曲に使えるかも」とか「この情景、詞に使えるかも」とか思いついた時だけメモをしておく感じです。
そうやって気づくと締め切りが差し迫っていて……(笑)。最終的には「作らなきゃ!」になって焦って書くことが多いですね。
あとは曲によってはスッと出てくることもあるので、そういうものはサササッと勢いで書けちゃうんですけど、難産なものはとことん難産です。
そういった意味でも今回の曲のコンセプトと同じで、最初焦って最終的に「まあいっか」になるみたいなところは、作詞作曲にも通じるものがあるんじゃないかなと。
8トラック目の「ラクにいこうぜ!」でこのアルバムは終わっていますけど、僕の人生では9トラック目に「そろそろ焦れ」っていう曲が待っているんじゃないかなと思います(笑)。