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映画『プロメア』佐倉綾音(アイナ・アルデビット役)インタビュー

映画『プロメア』佐倉綾音(アイナ・アルデビット役)インタビュー|TRIGGER作品初参加で感じた現場の熱さと結束感

5月24日より全国公開予定の映画『プロメア』。今石洋之監督と、脚本の中島かずきさんという『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』など、数々の熱いアニメを生み出してきたコンビが再びタッグを組んで送り出す、全世界のアニメファン待望の最新作です。

アニメイトタイムズでは、本作のヒロインであるアイナ・アルデビット役を演じる佐倉綾音さんにインタビューを実施。TRIGGER作品に初参加して感じた現場の“熱さ”や、同じ役者目線から見た主演俳優陣の演技について語っていただきました。

映画『プロメア』のあらすじ

世界の半分が焼失したその未曽有の事態の引き金となったのは、突然変異で誕生した炎を操る人種〈バーニッシュ〉だった。

あれから30年、〈バーニッシュ〉の一部攻撃的な面々は〈マッドバーニッシュ〉を名乗り、再び世界に襲いかかる。〈マッドバーニッシュ〉が引き起こす火災を鎮火すべく、自治共和国プロメポリスの司政官クレイ・フォーサイトは、対バーニッシュ用の高機動救命消防隊〈バーニングレスキュー〉を結成した。

高層ビルの大火災の中、燃える火消し魂を持つ新人隊員ガロ・ティモスは、〈マッドバーニッシュ〉のリーダーで、指名手配中の炎上テロリスト、リオ・フォーティアと出会い、激しくぶつかり合う。

リオを捕らえることに成功し、クレイからその功績を認められ ―― ガロにとってクレイは幼き頃、命を救ってくれた恩人で憧れのヒーロー ―― 誇らしげに喜ぶガロであった。

しかし、リオは〈マッドバーニッシュ〉の幹部であるゲーラ、メイスと共に捕らえられていた〈バーニッシュ〉を引き連れて脱走する。後を追ったガロが彼らのアジトにたどり着くも、そこで目にしたものは、懸命に生きる〈バーニッシュ〉たちの姿であった。そして、リオから〈バーニッシュ〉をめぐる衝撃の真実を告げられることに。

何が正しいのか――。

そんな折、ガロたちは地球規模で進められている“ある計画”の存在を知ることになる――

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“放っておいてもらえない現場”でのコミュニケーション

ーー佐倉さんが演じられたアイナ・アルデビットはどのような印象のキャラクターですか?

公式サイトには「クールで落ち着いている」と書かれているのですが、“この世界観の中では落ち着いている方”というだけで(笑)、実際はすごく活発で、お姉ちゃん気質の果敢な女の子だと思います。

ーーアイナを演じるうえで特にこだわった部分はありますか?

今石洋之×中島かずき作品に登場する女性は“強さ”を持ったキャラクターが多いので、私の中ではアイナもその中の一人であると思っていたので、守られるだけの存在には見せたくなかったです。

あとはスタッフさんから「可愛らしさは残してほしい」というオーダーを伺っていたので、ビジュアルの可愛さも相まって、少しヒロイン感を残した女の子になったかなと思います。

ーー確かに女性の“強さ”という部分は今石×中島作品の中に共通して存在しますよね。佐倉さんにとって本作がTRIGGERアニメ初出演作というところで、現場はいかがでしたか?

熱量がすごくて、とても楽しい現場でした!クリエイターさんはそれぞれの世界観を持っているので、それをすべて理解することは難しいことだといつも思うのですが、『プロメア』の制作陣はコミュニケーションを取るのが上手な方ばかりで。

こちらがわからないことに対しては、噛み砕いた言い方で説明をしてくださるような現場だったので、理解しきれないということが少なく、コミュニケーションを取るのが楽しくて。それは出演する役者さんにも共通していて。

今石監督の作品は、同じキャストが別作品にも出演しているパターンが多いので、最初は「その中にちゃんと入っていけるかな…」と緊張しながらスタジオに行ったんですけど、誰かが必ず話しかけてくれて、むしろ“放っておいてもらえない現場”でした(笑)。

賑やかで、誰かが誰かに喋ったことがどんどん飛び火していって、みんなで盛り上がったり。個人的に別作品で共演する機会の多い役者さんもいらっしゃったので、慣れ親しんだメンバーで楽しく収録をさせていただきました。

ーーとても良い雰囲気の現場だったんですね。原作・脚本を担当されている中島かずきさんとはご飯にも行かれたそうですね。

そうなんです。私自身、中島さんが脚本を書かれた舞台をずっと観続けてきてたので、ご自身のことも含めて聞きたいことがたくさんあって。

中島さんは私の父と同年代くらいなんですけど、若者のカルチャーにも精通されていて、他人のことにも興味を持たれる方なので、どんな話をしてもしっかりと打ち返してくださって、喋っていてすごく楽しいんです。

こんなにもちゃんと役者と喋ってくれる方は貴重で、すごくありがたい気持ちでいっぱいです。

音と映像の洪水の“最強感”

ーー見どころとして外せないのは、この作品ならではのアニメーション設計ですよね。戦闘シーンではまるでアクションゲームをプレイしているかのような感覚になりました。

本当にキービジュアルのまま動くんですよね。動くと雰囲気が変わるという作品もあると思うんですけど、『プロメア』はそのままで、それが2時間も続くというのは凄まじい体力だと思うんですよ。

「日本のアニメーションはここまできているんだな…」とすごく感動して、現代の世界中の技術と表現力の集大成ではないかと思うくらい、影の付け方や色彩設計も計算し尽くされていて。

「そこでその影の付け方をしたら、他の背景やキャラクターと整合性が取れないのでは?」と思う色味でも、自然と画面と世界観に馴染んでいて。「これは凄まじい感性の人が画を描いているぞ…!」と、どのシーンを見ていても思いました。

ーー澤野弘之さんが担当されている音楽やメカのリアルな駆動音など、音響面も聴いていて楽しかったですね。

まるで“音の洪水”みたいな。スタイリッシュな音楽と無骨なアクションの音が上手に噛み合っていて、画を見ているだけでも、音を聴いているだけでもカッコいい。それが合わさったときの“最強感”はすごいですよね。

ーーぜひ楽しんでほしいポイントですよね。あとは同じ役者目線から松山ケンイチさん(ガロ・ティモス役)、早乙女太一さん(リオ・フォーティア役)、堺雅人さん(クレイ・フォーサイト役)のお芝居をご覧になっていかがでしたか?

「この音が出せるのは顔出しの俳優さんならではだ」と思うことが結構多いんです。声優としてはいつも声の専門家に囲まれてお芝居をしているので、“そこからは出てこない音”が聴けるというのは、私にとってすごく刺激になったり、自分の引き出しも増えて、勉強になったりするので好きなんです。

同じ画面上にいる周りの声優陣はどのようにアプローチするべきかを考えたときに、俳優さんたちの温度感に合わせるのか、それとも、いつも通りのお芝居への注力の仕方でいいのか、アフレコに臨むまでは考えていました。

でも実際に俳優さんたちの声を聴いた瞬間に、その不安はすべて吹っ飛んで。下手にこちらが小細工をする必要もなく、いつも通りのお芝居への注力の仕方でお互いに肩を並べられると思ったんです。

松山さんは以前から特徴的な声をされている方だなと思っていたんですけど、声の中に“ガロの持つ熱さ”と、底にある“穏やかな優しさ”が出ていて。私たちの日常にはいない非現実感と台詞回しを俳優さんでここまで演じきれる方はいないと思いました。

早乙女さんは抑えたウィスパーな声に見せかけて、“腹の底に見える熱”のようなものが感じられて。可愛らしく中性的なリオのビジュアルから、早乙女さんの低い声が聴こえてきたときの“違和感がどんどん気持ちよくなっていく感じ”が素敵でした。

堺さんは堺さんの声なのに、“クレイとの共鳴”の仕方がすごくて。声の裏返り方や迫力が「この人はすごい…」と感じさせてくれる雰囲気を持っていて。三人のその絶妙なバランスが既に出来上がっていたので、何の心配もいらず「私もそのときにしか出せない音を出そう」という覚悟が決まりました。

ーー三人のお芝居を聴いていると、まるでドラマを見ているかのような感覚になりました。そして脇を固める稲田徹さん、新谷真弓さんらTRIGGER作品常連の声優陣もやはり圧のある濃いお芝居で。

松山さんが味と圧のある声を出されていたので、それを抑えるために周りの声優陣はもっと大きな声を出さないといけないというところもあって、“声が大きい人が勝つ”というTRIGGER作品の真髄を見たというか。

ーーいるだけでキャラクターが成り立ってしまうような声優陣ですからね。

そうなんですよ。例えばルチア役の新谷さんが話し始めると、そちらにハッと目と耳がいって、そこから離せなくなる感じがして。これが“個性”というものなのだとすごく勉強になりました。

全員が違う方向を見ているのに背中合わせになっている。この感じが“劇団TRIGGERの結束感”なのだと。すごい個性のぶつかり合いで、「前に出て一生懸命に生きていかないと置いていかれる…!」と感じましたし、「そこに入りたい!」と思わせてもらえるような熱い現場でした。

ーー役者さんもスタッフさんも“熱”を帯びた現場だからこそ、あの個性的な世界観が成立しているのだと感じました。最後に映画を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

観ているだけで感性を揺さぶられるような作品にはなかなか出会えないと思うんですけど、本当にこの作品に関しては、人間離れした人たちが、人間離れした人たちの話を作って、それを観た人たちが、その作り手が同じ人間であることに驚くのではないかと。そして、「同じ人間で良かった」と思わせてくれるような作品になっています。

ストーリー的にも“正義と共存”というところがテーマになっているので、この“音と映像の洪水”の中で何かを感じてもらえたらと思います。

インタビュー・文:吉野庫之介 撮影:鳥谷部宏平

(C)TRIGGER・中島かずき/XFLAG
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