TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』新章「地獄の四将編」沢城みゆき×庄司宇芽香 対談|こねこ娘の登場で、鬼太郎が完全なるヒーローに!
フジテレビほかにて、毎週日曜あさ9時より放送中のTVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』。『ゲゲゲの鬼太郎』は日本中に元祖妖怪ブームを巻き起こした水木しげるさん原作の人気コミック。これまでも1960年代(第1期)・1970年代(第2期)・1980年代(第3期)・1990年代(第4期)・2000年代(第5期)と、約10年ごと5回に渡ってアニメ化され、昨年2018年より第6期の放送がスタート。現在は放送2年目に突入し、新章「地獄の四将編」が放送中です。
物語の舞台は21世紀も20年近くが経ち、人々が妖怪の存在を忘れた現代。科学では解明が出来ない現象が頻発、流言飛語が飛び交い大人たちは右往左往するばかり。妖怪ポストに手紙を書いた13歳の少女・犬山まなの前にカランコロンと下駄の音を響かせてゲゲゲの鬼太郎がやってきた…。
今回は鬼太郎役の沢城みゆきさん、ねこ娘役の庄司宇芽香さんにインタビュー。これまでの放送を振り返りながら、キャラクターへの思い、そして新章の見どころなど、いろいろとお話をお聞きしました。
メインキャストが感じる『ゲゲゲの鬼太郎』の魅力とは?
――2年目に突入し、新シリーズが始まっていますが、改めて『ゲゲゲの鬼太郎』の魅力はどんなところにありますか?
ねこ娘役・庄司宇芽香さん(以下、庄司):『ゲゲゲの鬼太郎』は、第1期から第5期まで、その時代に沿っている。今回の6期はこれまでのシリーズより、デジタル化が進んだ現代が舞台です。
鬼太郎役・沢城みゆきさん(以下、沢城):時事ネタもあります。
庄司:そういう世界でのお話で、「一気に人類が進んだ中での妖怪って、どうなるんだろう?」と思ったんですけど、見事に融合していて。、時代が変わっても結局、人間って変わらないんだなと……。
沢城:そうなんだよね。たぶん物語の芯になっている部分が妖怪とか人間とかいうよりも、心を持ったもののありようを描いているからだと思います。
人間と妖怪が出会って起こる物語を中心にはしているんですけど、妖怪だから悪い、人間だから良いということではない。心というものを扱っている限り、永遠にやれる(笑)。
庄司:そうですね!。
沢城:火星に移住しようとも、きっと『ゲゲゲの鬼太郎』はやれる(笑)。
庄司:水木先生が生み出されたキャラクターたちの凄さを感じます。器の大きさとでもいいますか…。鬼太郎たちに何か言われても、不思議と説教臭くならずスッと受け入れられるんです。
沢城:人柄なのかもね(笑)。
庄司:(笑)。
沢城:直接お話したことはないんですが、原作者の水木先生ご本人がそういう感じだったんじゃないのかなと・・・思います。すごく自由奔放で、ご自身の心に沿って、力強く生きているようでいて、どこか全てに否定なくたゆたうように生きていらっしゃるような・・・。
水木先生ご自身は「自分をキャラクターにあてがうと、ねずみ男だ」とおっしゃっていたような気がしますけどね。
庄司:どうなんでしょうね(笑)。
沢城:1年終えて気が付いたんですけど、鬼太郎って、めちゃめちゃフォルムが人間に近いんですよね。『ゲゲゲの鬼太郎』は、妖怪の見た目のレンジが広くて、牛鬼(第22話「暴走!!最恐妖怪牛鬼」に登場する妖怪)みたいなものから、鬼太郎までといろんな妖怪がいるんです。
それまでは鬼太郎のメンタルとして「意思を持って、人間と妖怪の間にいるのだ」というスタンスで立っているのかと思っていたんですけど、「物理的にも、立たざるを得ない容姿なんだな」と改めて感じて、それはすごく辛いことなんじゃないかなと思ったんですよね。
牛鬼は無理かもと思うんだけど、自分と似た形のものが悪さをしたり、ひどいことをしていたりする時は、「話をしたら、わかり合えるかな」と思ったりするじゃないですか。それって、たくさん傷つくんじゃないかなと思ったんです。それが妖怪と人間の両方にいることになるから、「けっこう大変なことなんじゃないかな」と、1年目の終わりにそんなことを思いました。
全く新しいキャラクターとして演じたこねこ娘
――1年目の終わりから2年目の始めにかけて、作中に小さくなったこねこ娘、こねこ娘が登場しますね。こねこ娘登場に関して率直なご感想をお聞かせください。
庄司: 誰も教えてくれなかったんですよ(笑)。事前には聞いておりませんで、台本を見て、知りました。まな(CV:藤井ゆきよ)の絶叫で終わる1年目の最終話の台本をいただいて初めて「あっ、(ねこ娘)出るんだ!」と(笑)。
沢城:だって、消えてたもんね(笑)。
庄司:そうなんです(笑)。「もう完全に魂まで消えました」って言われて、スタッフのみなさんがニヤニヤしながら、「まぁ、すぐ帰ってくるんじゃないですかね」くらいしか教えてくれなかったんですよ(笑)。
だから、ねこ娘がいつ帰ってくるのかは明確に知らされず、台本をいだいて、「あれっ? 生き返るの?」という感じで台本を読み進めていたら、「えぇ~~~!?」って……。まなの最後の絶叫私の気持ちーーー!!!ってなりました(笑)。
――クールビューティーなねこ娘とは対照的な感じで、こねこ娘はとてもキュートですよね。
庄司:こねこちゃんに関しては、一生懸命、体当たりで演技している感じです。ねこ娘として1年間やってきたはずなのに、まっさらの新しい第1話のような気持でした(笑)。
沢城:すごい仕切り直しだったよね。
庄司:こねこ娘は、全く新しいキャラクターだというくらいの気持ちで演じました。アフレコの段階の絵から、こねこ(娘)ちゃんに対するスタッフさん方の愛が溢れていて。「このかわいさを私の声で消すことは許されない」と思いながら、全力で振り絞って、挑みました。
キャストが振り返る! 印象深い妖怪たち
――この1年間で印象に残った妖怪はいますか?
庄司:個人的には、さら小僧(CV:松野太紀)が登場する回(第40話「終極の譚歌さら小僧」)が印象に残っていて、好きです。
沢城:(さら小僧を演じる松野)太紀さんの?
庄司:はい。脚本を書かれた方がお笑い芸人をされている伊達さん。
沢城:伊達さんさんです。
庄司:伊達さんさん(笑)なんですけど、ご本人が身を置かれている世界のお話だけあって、すごくリアルで、芸事をしている身としては身につまされる思いがしたり、すごく心打たれる言葉が出てきたりしました。また、松野さんが演じるさら小僧が素晴らしくて…凄かったですよね…。
沢城:(しみじみしながら)何だろうね、あれはねぇ……。
庄司:本当に素晴らしく…あの…なんといいますか…"妖怪"と思って……。
沢城:(庄司さんへのツッコミとして)語彙力!
庄司:アハハハハ……(笑)。
沢城:若干の語弊を持った語彙力になりましたけど、でもそうとしか言いようがない素敵さだったね!
庄司:そうなんですよ。現場でも、わぁ~!!松野さん凄いなぁ~って思ったんですけど、オンエアを観て、やっぱり凄いなぁ…ってしみじみと思った回で、私には印象的なお話でしたね。
沢城:私は一番ものを言わなかった妖怪として、妖花(第20話「妖花の記憶」に登場)ですね。水木先生の作品はどうしても戦争と切り離せない関係がある中で、鬼太郎の原点みたいなものを今の子どもたちにも観てもらえたということも含めて、印象深かったですね。
ねこ娘の影響で、クローゼットには赤い洋服が増えた?!
――鬼太郎もねこ娘もとても魅力的なキャラクターですが、ご自身と似ている部分はありますか?
庄司:(沢城に向かって)けっこう……、(鬼太郎に)そっくりです。
一同:(笑)。
沢城:(低音ボイスで)残念だよ。
庄司:アハハハハ(笑)。
沢城:褒められた?
庄司:褒めてます! アフレコ収録でも、マイクの前に(沢城が)立たれて、しゃべられると、もう鬼太郎ですね。
沢城:ぼんやりしてる。
庄司:いやいや(笑)。
――庄司さんから見たら、沢城さんは鬼太郎に似ていると?
庄司:(沢城の)まとっている空気が似ています。
沢城:わりと理屈っぽいのは似ているかな。理屈っぽくいこうとする試み、試むけど……。
庄司:試むけど……。
沢城:第6期の鬼太郎を新しくちゃんと作っているつもりだったのに、今まで観てきた立派な鬼太郎の歴史があるから、どこかで「鬼太郎は失敗しない男の子なんだ。すごい子なんだ」と無意識に思っていたんだなと、1年目のラストに気が付いたんです。
でも「鬼太郎も全然間違うし、心惑うし、立派じゃなくていいんだな」と思ってから、鬼太郎がちょっと自分に近づいてきたような気がしました。
庄司:私は年齢が下とか後輩とかだけでなく、周りの方々からよく「姉さん」と呼ばれているなと思って……。
沢城:年上からもね(笑)。
庄司:年上からも、「なぜ?」って……(笑)。
沢城:(ねこ娘に似ているところは)宇芽香的にはあんまりないんじゃない? もちろん、全部が(ねこ娘と)一緒ではないですけど、表面的な鋭利な感じ、クールに仕事をする感じとか、自己責任型な感じとか、人を立てがちなところとか、パーツパーツは同じものがキラキラとしている感じがしますけどね。
――この1年で鬼太郎が沢城さんに、ねこ娘が庄司さんに、与えた影響はありますか?
沢城:宇芽香のクローゼットには、赤い洋服が増えました(笑)。
庄司:(洋服が)真っ赤になりましたねー!(笑)。『ゲゲゲの鬼太郎』の収録の時は、お洋服もそうですけど、小物なども含めて、必ず赤いものを身に着けて参加しています。そうしたら見事に、クローゼットの中に赤いスペースができちゃって、街を歩いていても、赤いものに目が行くようになりました。
沢城:そうだよね(笑)。
庄司:それまでは、どちらかというと寒色系のものが多かったんですけど、ねこ娘を演じてから、ガラッと変わりましたね。
沢城:先日別の現場で宇芽香ちゃんに会った時に「今日はずいぶんモノトーンで大人っぽいなぁ珍しい!」と思ったけど、はたと、もしやこれがスタンダードな姿なのか?と(笑)。
庄司:そうです(笑)。
沢城:私はたまに(目玉の親父役を演じる)野沢雅子というレジェンド(声優)を家族のように扱ってしまうことがあるんです(笑)。「マコ(野沢雅子)さん、それダメだよぉ。それ危ないからさ、一回それを置いてから食べたらいいじゃないですか~」とか。父さんということで、いつも声を聞いていることもあるんですけど、マコさんという方がもともと何のレッテルもない方なので、うっかりするとね(笑)。
庄司:うっかりしますよね(笑)。
沢城:「いけない、いけない。マコさんは生きながらにして、レジェンドなのに!」と思うことがあるくらい。分け隔てなく、朗らかな方で、そんなところがありがたいです。
1年一緒にお仕事をやらせてもらうと、そんな感じになる時もあります。みんなでイベントのために、水木先生の故郷の鳥取県境港市へ行ったりしたのもあって、ファミリー的な雰囲気がいっそう出てきたという感じがありますね。
2年目ならではのお楽しみ! 気になる今後の展開
――放送2年目に向けての意気込みを聞かせてください。
沢城:詳しくは言えないんですけど、すごい人たちが出るんですよ~。そして、まだこんなにやることがあったかというぐらい勢いが全く衰えません。なので、「引き続き、楽しく観ていただけるのではないかという淡い期待があります」っていうのは、ちょっと自信がありますかね(笑)。
――2年目の新シリーズには、新キャラクターとして、石動零(CV:神谷浩史)が登場します。1年間作り上げたアフレコ現場のムードに、神谷浩史さんが入られて雰囲気はいかがですか?
沢城:実はまだ、あんまり語れるほど出てきてないというのが現状なんです。間を置いて、チラッと現れるというぐらいなので、まだ私たちも情報が・・・。
庄司:あんまりないですよね。
沢城:もちろん事務所の青二(プロダクション)の大先輩ですし、マコさんとも親子のように仲がいいので、収録現場は和やかに、スッと入っていらした感じなんですけど、キャラクターとしては、今まで現れたどんな妖怪よりも意思が強い!
庄司:想いが明確ですよね。あとは、完全に妖怪を憎んでいる人間です。
沢城:100%憎んでいる。
庄司:今までにいなかったですよね。
沢城:そうですね。彼の初登場の回を観ても思いましたけど、人間で鬼の手を持っている石動零と、妖怪だけど、問答するハートがあるという意味で、人間寄りな鬼太郎がいる。もう誰が妖怪で、誰が人間なのか、わからなくてなってくる感じですけど、本当に楽しみなキャラクターですね。
庄司:そういった動きもありつつ、1話完結のお話もありますし、けっこう有名どころが出てきたり…。
沢城:妖怪としてね。
――では最後に、今後の作品の見どころ、注目ポイントを教えてください。
庄司:2年目は鬼太郎が閻魔大王と約束を取り交わし、四将を追うことになって、それが物語の根底として進んでいくんです。でも、そのことをおばばさま(砂かけばば/CV:田中真弓)たちは知っているんですけど、ねこ娘は知らないんですよね。
沢城:愛されてるよ~。
庄司:あんまり自分の思いで動かない鬼太郎が明確に、「まなとねこ娘の笑顔を二度と絶やしたくない」と言ってくれて……。
沢城:(鬼太郎は)ヒーローじゃん!
庄司:私、あの鬼太郎のセリフを聞きながら、泣けてきました。あの鬼太郎がすごく熱い思いを持って、ねこ娘を戻してきてくれた。でも、その事情を彼女は知らなくて、それでもいずれ知ることになると思うんですけど、「いつ知るんだろう?」とか、「その時に彼女はどういう思いになるんだろう?」とか……。
沢城:「私のバカッ!」じゃない?
庄司:なりそうですね(笑)。四将を追っていくにつれて、ねこ娘がどうなっていくのか? それも楽しみだなと思います。あとは、「どんな四将が登場するんだろう?」って……。最初の鵺(CV:辻親八)が強い(笑)。
沢城:親八さん強かったねぇ (笑)。
庄司:ものすごくワクワクしております!
沢城:私も楽しみです!
――沢城さんもお願いします。
沢城:放送2年目が始まってみて、鬼太郎やねずみ男をもう少し掘り下げる話だったり、1年目だと、ちょっとできなかったかもしれないという、もう少し踏み込んだ話数があったりして、役に深みが出るような1クール目になっていると思いますので、そこを観ていただけるといいかなと思っています。
庄司:そうですね。
沢城:それから、1年間50話やったのに、この後も続々、「まだこのキャストさん来てなかったんだ! まだこの妖怪が出てなかったんだ!」というすごいキャストや妖怪が登場します。2年目も、そのかけ算の面白さをワクワクしながら、待っていていただいていいかと思いますので、ぜひよろしくお願いします!
――ありがとうございました!
[取材・文 宋 莉淑(ソン・リスク) 写真・Re-Zi]
TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(第6期)作品情報
フジテレビほかにて毎週日曜午前9時 ~ 9時30分放送(一部地域を除く)
「地獄の四将編」あらすじ
目玉おやじの茶碗風呂、子泣きじじいや砂かけばばあのかまびすしい会話、ゲゲゲの森ではいつもと同じ穏やかな時が流れているように見える。しかし鬼太郎の様子が何かおかしい...鏡爺と何かを探している素振り。
そんな時、鬼太郎のもとに人間の少年から助けを求める手紙が届く。鬼太郎はさっそく手紙の主に会いに東北へ向かうが、その姿を遠くから見つめる謎の男が...!?。
CSAT
ゲゲゲの鬼太郎:沢城みゆき
目玉おやじ:野沢雅子
ねずみ男:古川登志夫
ねこ娘:庄司宇芽香
犬山まな:藤井ゆきよ
砂かけばばあ:田中真弓
子泣きじじい:島田 敏
ぬりかべ:島田 敏
一反もめん:山口勝平
STAFF
原作:水木しげる
シリーズディレクター:小川孝治
シリーズ構成:大野木寛
キャラクターデザイン・総作画監督:清水空翔
音楽:高梨康治、刃-yaiba-
制作:フジテレビ・読売広告社・東映アニメーション
主題歌情報
■オープニング主題歌
「ゲゲゲの鬼太郎」
歌:氷川きよし
作詞:水木しげる
作曲:いずみたく
編曲:田中公平
■エンディング主題歌
「RONDO」
歌:BUCK-TICK
作詞:櫻井敦司
作曲:今井 寿
編曲:BUCK-TICK
TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』公式サイト
TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』公式ツイッター(@kitaroanime50th)