『僕のヒーローアカデミア』山下大輝(緑谷出久役)×津田健次郎(オーバーホール役)インタビュー
堀越耕平原作によるTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』の第4期が10月12日(土)より読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネットにて放送開始。第4期の物語は、デクがプロヒーローの下でのインターン活動に挑む「プロヒーローインターン活動編」からスタートします。
アニメイトタイムズでは、主人公・緑谷出久役の山下大輝さんと、新たな敵・オーバーホール役を演じる津田健次郎さんにインタビューを実施。第4期の注目ポイントや、アフレコ現場でのエピソードを語っていただきました。
緻密かつシビアな第4期の物語
ーーいよいよ第4期がスタートしますが、オールマイト引退後のストーリーということもあり、デクの印象がこれまでとは違いますよね。
山下大輝:デクは都度印象が変化しているキャラクターではあるんですけど、これまでオールマイトという存在に向かって真っ直ぐに走ってきていたのが、第4期では自分で考えなければいけないぶん、いつもよりも心に迷いが出たり、モヤモヤしたりします。
ハッキリさせたいのにできないことが結構あったりして、彼にとって悩み多き時期なのだと。だからこれまでとは全然違うなと思います。
ーーそんなデクの新たな敵として、津田さん演じるオーバーホールが立ちふさがるわけですが、現場はいかがですか?
津田健次郎:オーバーホールは第3期の最後に印象的に登場させていただいたので、第4期が始まるのをとても楽しみにしていました。
現場は基本的に和やかで柔らかい雰囲気なんですけど、全員が「作品に対して自分の役割を全うしよう」という緊張感がすごくわかりやすく出ているんです。それはお芝居をしていくうえでも心地良いですね。
ーー初登場した際は、ファンのみなさんから反響はありましたか?
津田:ざわざわしていましたね。「オバホ」という略し方で呼ばれてもいて(笑)。それだけ人気のあるキャラクターを演じさせていただくというのはプレッシャーもありますが、嬉しかったですね。
山下:原作を読んでいるキャストが多い現場なので、「あのキャラクターは誰が演じるんだろう?」と話題になるんですけど、オーバーホール役が津田さんだとわかったときには、みんなで「強え…!」と話していました(笑)。
みんな作品のいちファンだからこそ、オーバーホールがどういうキャラクターなのかも知っていたので、アニメでどう動いて能力を発動するのか、どうかき乱してくれるのか気になっていましたし、第4期のストーリー的にもオーバーホールは核になる存在なので、津田さんの意見や想いを聞いて、さらに自分の役を演じていくのが楽しみになっていきました。
ーー津田さんがオーバーホールを演じるにあたり、音響監督の三間雅文さんからはどんなアドバイスがありましたか?
津田:最初の収録ではかなり重めに役づくりをして、オーバーホールのある種イカれた部分を強めに出していたんですけど、三間さんから「イカれてはいるんだけれど、もう少しフラットに、普通に喋っていこうか」と、彼の知的な面を前面に出していくようにとご指示をいただきました。
ーー真意が見えづらいキャラクターですよね。山下さんはオーバーホールと実際に掛け合ってみて、どんな印象を持たれましたか?
山下:やはり掴みどころがないキャラクターなので、何を考えているのかわからないから怖いんですよね。デクはオーバーホールと偶然バッタリ出会うんですけど、壊理(エリ)ちゃんの表情や震えている姿を見て、“ただ事ではないことをしている人だ”というおぞましさのようなものは感じていて。
ただ、オーバーホールの本心にある闇の部分は全然わかっていないですし、今後も複雑すぎてわかることはないのかもしれない。素に見えるけど何かがおかしくて、変な感じがする。そんな雰囲気を醸し出しているキャラクターだなと思います。
ーーこれまでデクが対峙してきた敵<ヴィラン>たちとも違うタイプというか。
山下:例えば、ヒーロー殺しのステインは「こうしたい!」ということがわかりやすいキャラクターだったと思うんですけど、オーバーホールは暗躍するタイプなので、とにかく裏で動く敵<ヴィラン>なんですよね。
第4期はストーリー的にも少し難しい社会的な側面が絡んで、細かい部分の描写も増えて、これまでよりも緻密かつシビアで。終盤まで物語を見ないとわからないこともあると思うので、みなさんには1話も欠かさずに見てもらいたいですね。
社会の良い面もリアルに描かれている
ーー第4期でお二人が特に注目しているキャラクターは誰ですか?
津田:治崎廻(※オーバーホールの本名)というキャラの声が良いんですよ。
山下:自分自分! 言い方を変えただけ!(笑)
津田:(笑)。特に注目しているのはミリオかな。ナイトアイチームは、一緒にならなそうな人たちが一緒になっていて面白いなと。
山下:それは僕も思っていました。デクとミリオの相棒感が生まれていく部分は、演じている僕自身も楽しくて熱くなります。
津田:同じような個性やメンタルの人が集まると偏りが出るけど、ナイトアイチームは違うタイプが集まることによってバランスが生まれていて。それで同じ目的に向かって進んでいく。彼らの物語はすごく人生の勉強になるので、収録中自分が喋っていないシーンも面白く見ています。
ーー確かに『ヒロアカ』の物語は実社会にも通ずるところがありますよね。
津田:『ヒロアカ』は、“一人の少年が社会に出ていく物語”なのだと今回のシリーズですごく感じるんです。インターンシステムはまさにそのもので。
実社会で組織や会社に入って、子どもの理論でいこうと思っても、大人の社会では通用しない。そのなかでどのようにして純粋性を曲げずに生きていくのかというのは、誰しもに当てはまる課題であると。
例えば、全部は言えませんが、デクとオーバーホールの初対面シーンで、お互いにフェイクで会話をしていくんですが、そこでデクが前に出ようとした瞬間に全てが終わっていて。
そうして大人に完全敗北したとしても、そこからもう一度やり直せる。そういった社会の良い面もリアルに描かれていると思います。
僕らも役者として大人にならざるを得ないときがあるんですけど、完全に大人になってしまうと、表現をやっている意味がなくなってしまう。その狭間をこれからも生きていかなければならないので、全然他人事だとは感じないんです。
ーー大人の視点からも共感できる部分が多いストーリーですよね。山下さんはどのキャラクターに注目されていますか?
山下:僕は壊理(エリ)ちゃんですね。今回の物語は複雑な内容がたくさん入っているんですけど、「救けを求める一人の女の子を、がむしゃらに救けようとするヒーローたち」という、実はとてもシンプルなお話なのではないかと思っていて。
デクにとっても、壊理(エリ)ちゃんの存在はヒーローになっていくうえですごく大切なものになっていくんだろうなと感じますし、“どこかで救けを求めている誰か”が、この作品では“壊理(エリ)ちゃん”という存在になっていて、実社会に置き換えてもキーパーソンなのではないかと思うんです。現場でも壊理(エリ)ちゃんへのこだわりがすごくて、壊理(エリ)ちゃん役の小林星蘭さんがそれに応えようと一生懸命収録に臨んでいます。
津田:壊理(エリ)ちゃんだけでなく、壊理(エリ)ちゃんのお世話をする死穢八斎會の下っ端のキャラクターのお芝居も相当粘って演出されていましたからね。
おもちゃを買いに行くシーンでもテイクを重ねていて、「こいつは嫌々おもちゃを買いに行っているけど、ここでミスをしたら治崎に殺されるんだ」みたいな本当に細かいところまで指示を出されていて。
山下:本当に隅から隅までこだわってやっていますね。セリフが一言しかないヒーローであっても、「なぜここにいるのか?」という役割を探って作られていますから。
津田:お芝居の純粋な形なので、楽しいですね。
山下:回を重ねるごとに骨太になっていくのを感じますね。
ーー最後に第4期を楽しみにしているファンのみなさんへメッセージをお願いします。
津田:第3期の最後では非常にカッコいい贅沢な登場をさせていただいたので、みなさんのご期待に応えられるよう頑張って収録をしています。
こうして『ヒロアカ』に参加できたことを光栄に思いながら、一言一言を大事にしていますので、全力で応援していただければ嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。
山下:第4期では、“アカデミア感”よりも“シリアスな大人の話”が中心となる新しいチャレンジをしているので、そういったスパイスが効いた部分でもそれぞれの楽しみ方をしていただければと思います。
そして今まで通り、キャラクターも、僕ら自身も、スタッフさんも、毎回プルスウルトラして頑張っています。みなさんもそんな情熱についてこられるよう、1話も欠かさずに見ていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします!
インタビュー・文・撮影:吉野庫之介
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放送情報
2019年10月12日(土)より、毎週土曜17:30~読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネットにて放送
イントロダクション
コミックスのシリーズ累計発行部数は2300万部を突破! 週刊少年ジャンプ(集英社刊)で連載中の堀越耕平による大人気コミックを原作としたTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』。舞台は総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持つ世界。事故や災害、そして“個性”を悪用する犯罪者・敵<ヴィラン>から人々と社会を守る職業・ヒーローになることを目指し、雄英校に通う高校生・緑谷出久とそのクラスメイトたちの成長、戦い、友情のストーリーが繰り広げられていく!
ストーリー
超常能力“個性”を持つ人間が当たり前の世界。憧れのNo.1ヒーロー・オールマイトと出会った“無個性”の少年・緑谷出久、通称「デク」は、その内に秘めるヒーローの資質を見出され、オールマイトから“個性”ワン・フォー・オールを受け継いだ。デクはヒーロー輩出の名門・雄英高校に入学し、“個性”で社会や人々を救ける“ヒーロー”になることを目指して、クラスメイトたちと試練の毎日を過ごしていた。
宿敵オール・フォー・ワンを倒したものの力を使い果たしたオールマイトはプロヒーローを引退。彼の意志を継いだデクは「プロヒーロー仮免許」を取得し、“最高のヒーロー”にまた一歩近づいた。そんな中、デクは雄英ビッグ3のひとりであり、プロヒーローのサー・ナイトアイの下で「インターン活動」をしている3年生・通形ミリオと出会う。
その圧倒的な実力から、デクはプロヒーローの事務所で実際にヒーロー活動を行うインターン活動への意欲を高まらせる。一方、不穏な動きを見せる指定敵<ヴィラン>団体・死穢八斎會の若頭オーバーホールが、オール・フォー・ワンの意志を継ぐ敵<ヴィラン>連合のリーダー死柄木弔と接触。そして、オーバーホールの傍らには、ひとりの少女の姿があった―。
デクの、ヒーロー候補生たちの、新たな“脅威”との戦い、そして“使命”への挑戦が始まる!!
スタッフ
原作:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
総監督:長崎健司
監督:向井雅浩
シリーズ構成・脚本:黒田洋介(スタジオオルフェ)
キャラクターデザイン:馬越嘉彦
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:ボンズ
オープニングテーマ:「ポラリス」BLUE ENCOUNT
エンディングテーマ:「航海の唄」さユり
キャスト
緑谷出久:山下大輝
通形ミリオ:新垣樽助
爆豪勝己:岡本信彦
麗日お茶子:佐倉綾音
飯田天哉:石川界人
轟焦凍:梶裕貴
切島鋭児郎:増田俊樹
蛙吹梅雨:悠木碧
八百万百:井上麻里奈
天喰環:上村祐翔
波動ねじれ:安野希世乃
オールマイト:三宅健太
サー・ナイトアイ:三木眞一郎
ファットガム:興津和幸
死柄木弔:内山昂輝
オーバーホール:津田健次郎
壊理:小林星蘭