【夏アニメ特集】『戦姫絶唱シンフォギアXV』立花響役・悠木碧さんインタビュー│7年前の不安が覚悟に変わった「響であることは誰にも負けません」
「ようやく響に恩返しができたような気がしました」
――第3期ではマリアたちが仲間になり、新たな敵としてキャロルが登場しました。響の家庭事情と向き合うエピソードも平行して展開していて。
悠木:新たに登場したキャロルがお父さんとの関係性にフィーチャーしたキャラクターだったこともあり、響のお父さん、ひいては家族の存在を振り返るような物語が展開していきました。
今までの響って、とりあえず走り続けていないと何もかもなくなってしまうから、止まることができなかったと思うんです。
でも、仲間が増えて、居場所ができたことによって、彼女にも立ち止まる余裕が生まれて。そこで初めて過去を振り返ることができたのが、第3期だったと思います。
また、響とキャロルは、最終的に分かり合えずに終わってしまうんです。「手を握れない人もいるんだ」と、響を演じている身としてはわりとショックで……。
実際のところラストでは手を繋いでいましたが、それは実質キャロルのお父さんだったわけですから。
だから、キャロル戦を終えた私個人の感情としては、勝ったけど負けたような気持ちでした。きっと響もキャロルの手を取れなかったことを度々思い返すんだろうなと、勝手に想像しているんです。
その経験があったからこそ、第4期で何があっても手を繋ぎたい気持ちが強くなり、サンジェルマンの手を取る結果に繋がったんでしょうね。
――あと、響以外の装者同士の仲も深まりましたよね。ラジオ『戦姫絶笑シンフォギアRADIO』では「響の総攻め感が減ってきた」とお話されていて(笑)。
悠木:そうなんです! 第2期までは、響の圧倒的“攻め様感”がありましたが、第3期あたりから、みんな攻め様になってきたぞ、と(笑)。
戦いを乗り越える度に強くなっていって、第3期にもなればみんな男前になるんですよね〜。
あと、未来との関係性が安定……というか未来が安定していたので。響がブレたときには助けてくれる、第2期があったからこそふたりの関係は強固なものになったんだと思います。
――また、第4期の響については「プロ意識を持って働くようになった気がする」「みんなのためにする無茶、したくなっちゃう衝動的な無茶が分かってきた」ともお話されていましたね。
悠木:第3期のラストで響は、がむしゃらに頑張るだけじゃどうにもならないことに気がついて。それまでの響って120%の力を出せば、なんでもできちゃう子だったと思うんです。
それほどの実力を持っていたんだと思いますし、何より一生懸命だったからみんなが力を貸してくれて。
でも、キャロルの一件があって「とにかく前に進むだけじゃ握れない手もあるんだ」と学び、それが響の大きな成長に繋がったのかなと思います。
だから、第3期で成長したというより、第3期で学んだことを、第4期で活かしているように感じました。
また、チームの仲間や未来など、周りの地盤が固くなった分、悩む時間が生まれて。みんなは「響は悩んだら答えが出せる子なんだ」と思ってくれているから、それを肌で感じて時間を作ってくれているような気がしました。
それこそ、絶対にサンジェルマンの手を取るぞと思っていた響の気持ちがなんとなく理解できたような気がして「これはちゃんと芝居に乗せないといけない場面だ」と。
今までの響は「よく分からないけど仲良くなりたいんだ」という考えだったので、キャロルとの一件を経て「失わないためには分かり合わないといけない。手を握らないといけない」という考え方になったように感じました。
――装者として、ひとりの人間として、大きく成長した姿が第4期で描かれていたわけですね。
悠木:また、第4期放送後の「シンフォギアライブ2018」では、サンジェルマン役の(寿)美菜子と、『花咲く勇気』という響の曲を歌いました。それまでの響の楽曲は、自分の正義にまつわる内容の曲が多く、誰かに向けたものは少なかったんです。
でも『花咲く勇気』はサンジェルマンに宛てた楽曲、彼女のことを分かりたいという内容で印象的だったんです。
なので、ライブに出演するにあたって「もし、錬金術師チームが出演するなら歌いたいです」とお願いしたら、スタッフさんや美菜子に「ぜひ!」と快諾してもらい、ふたりで一緒に歌う場を用意していただきました。
そこで初めて、響の願いを叶えてあげられたような気がしていて。きっと彼女にとってはサンジェルマンと歌いたかった曲なんだろうなと、どこかで感じていたんです。
今までは響に助けてもらってばかりだという自覚があったので、このステージをもって、みなさんの力をお借りしつつですが、ようやく響に恩返しができたような気がしました。