映画
『トイ・ストーリー4』プロデューサーインタビュー| 中心にあるのは“友情”

『トイ・ストーリー4』プロデューサーのマーク・ニールセン氏にインタビュー!|ウッディたちが持つ“友情”は人間として共感できる部分がたくさんある

2019年7月12日(金)に公開となる『トイ・ストーリー』シリーズ最新作『トイ・ストーリー4』。第1作目が1995年に公開されて以来、幅広い世代の方に愛され続けています。

シリーズ最新作では、新たな持ち主ボニーを見守るウッディやバズたちおなじみのキャラクターたちの前に、自分をゴミだと思い込み逃げてしまうフォーキーをはじめとした新キャラクターたちも登場。

そして、『トイ・ストーリー2』(2000年公開)以来、約19年ぶりに登場するかつての仲間ボー・ピープも登場し、おもちゃたちの“成長”を感じることができる“シリーズ史上最大”の感動アドベンチャーストーリーとなっています。

そんな注目作のプロデューサーを務めたマーク・ニールセン氏にインタビューを実施。最新作で登場する“フォーキー”が生まれた過程や、強く美しくなったボーの存在、そして『トイ・ストーリー』のシリーズを通して大切にしているものなどについて語っていただきました。

“チーム・ボー”がいたからこそ、強く美しいボー・ピープが生まれた

――まずは、企画段階からどのような過程で『トイ・ストーリー4』が作られたのか、お聞かせください。

マーク・ニールセン氏(以下、マーク):最初に脚本を書いて絵コンテに入り、劇場で見られる形にしていきました。

そして、音楽や声を入れたものを確認し、スタッフで意見を出し合いながら、その意見をもとに書き直すという流れです。

その流れで4か月くらいかかるのですが、このサイクルを何度も繰り返し、いろいろなバージョンを作り出します。

最終的に何回も繰り返し、完成するまでだいたい5年くらいかかりました。『トイ・ストーリー4』に関しては、ほかにもバージョンが10〜12パターンほど存在します。

――今回の映画には展開されないバージョンが10〜12パターンもあるのですね。

マーク:そうなんです。実際に、ピクサーの作品は全部同じプロセスを繰り返して出来上がります。正直な話、最初はあまり良くないものから始まるのですが(笑)

――(笑)

マーク:でも、だんだん良くなり、最終的には良いものへと完成します。


 

――『トイ・ストーリー4』を拝見させていただいて、個人的に“ボー・ピープ”に強く惹かれました。

マーク:私たちもボーが大好きなので、とても嬉しいです。

――社会に進出した“現代の女性”を伺わせるようなボーでしたが、どのように生まれたのでしょうか。

マーク:私たち(製作陣)には、みんな娘がいます。なので、娘にとって憧れの存在になるようなボーにしたい気持ちがありました。

強く、頭も良く、温もりと無邪気さであふれた存在。たとえば、おもちゃとして持ち主から捨てられてしまった人生を送っていてもすごく生き生きとしている、そういう存在にしたかったんです。

そして、『トイ・ストーリー4』では、ストーリー構成やアート、キャラクター製作など、多方面の分野から集まり、自分たちのことを“チーム・ボー”と呼んでいた女性スタッフたちがいました。

彼女たちがいたからこそ、『トイ・ストーリー4』で登場したボーのキャラクターが作られました。なので、ボーは独立心が強く、すごく美しく、勇気があります。

――なるほど。だから女性から見ても、ボーに共感するところが多いのかもしれません。

マーク:はい。また、ボーは陶器のランプで、子供のおもちゃではありません。陶器なので当たり前ですが壊れやすい。

でも、壊れてしまいやすいのに、彼女の生き方はとてもタフです。自分が被害者のようなそぶりはまったく見せず、仲間との絆も保ち続けている。

私を含めピクサーの人たちは、そんな彼女の姿がとても大好きです。


 

『トイ・ストーリー』の中心にあるのは“友情”

――いきなりですが、毒舌もふもふコンビのダッキー&バニーがとにかく最高でした!

マーク:私も同感です(笑) ダッキー&バニーの2人はすごく面白いですよね。映画の中で1番笑えるシーンは、ダッキー&バニーが出てくるところだと思います。


 

――マークさん自身、お好きなキャラクターはいらっしゃいますか?

マーク:私は好きなのはフォーキーです。本当に純粋で、何にも分かっていない(笑)

一同:(笑)

マーク:でもすごく愛らしい存在です。ひどいことをされても、彼は自分のことのように共感するので、本当にやさしいですよね。

――確かに。フォーキーから学ぶことがたくさんあります。

マーク:そうですね。作中でも、フォーキー自身が人生はどういうものなのか、学んでいかなければなりません。その過程を見ている私たち自身も学ぶことはたくさんありますし、感動します。

――そんなフォーキーは自分のことをゴミだと思っていますが、そんなフォーキーとウッディの関係性も印象的でした。この2人の関係性は、元から固まっていたのでしょうか?

マーク:2人の関係性は、時間をかけて進化していきました。私たちもいろいろな会議を行っていて、1つ1つの会議の中で、どのようなフォーキーを作るのかさまざまなアイデアが出てきました。

そこで自分たちの子供を見ているときに思い浮かんだのが、フォーキーという存在です。子供達を見ていると、ペンやフォークで遊んだり、おもちゃじゃないものをおもちゃとして扱うことがよくあります。

「もし、子供がおもちゃじゃないもので遊んだとしたら、『トイ・ストーリー』の世界の中でどういうことになるんだろう」と。

そう考えたら、すごく面白いものになるんじゃないかと全員が感じました。

――それでフォーキーが生まれたんですね。

マーク:はい。さらに、元からおもちゃじゃないものが子供にとって1番大好きなおもちゃになったら、ウッディやバズはどういう風に思うんだろうと考えると、アイデアそのものにユーモアが生まれました。


 

――また、フォーキーと関わることで、ウッディの心に変化が起き始めるのも見どころの1つです。

マーク:『トイ・ストーリー』の中でウッディの存在は、子供をずっと愛して見守る、いつも側にいてあげる“親”のような存在だと思っています。

親は子供が成長するのをずっと見守っていて、愛情を持って長い間子供を育てていく。そんな気持ちがウッディの心にもあります。

――そんなウッディの心を含め、全体的に『トイ・ストーリー4』はメッセージ性が強い作品だと感じました。今回の映画で大切にしたテーマがありましたら、ぜひ教えてください。

マーク:ウッディの心の中にある“親”のような気持ちはもちろん、ずっと長くシリーズが続いてきた『トイ・ストーリー』の中核部分にあるのは“友情”です。

ウッディとバズ、ウッディとボーなど、それぞれが深い友情でつながっていますし、それは私たちも同じで、25年間キャラクターたちと一緒に過ごしてきたので深い気持ちがあります。

彼らが持つ友情は、人間として共感できる部分もたくさんありますし、良いときも悪いときも相手のことを想ってあげる。

そういう気持ちは『トイ・ストーリー』の中では1番中心的な部分であり、大切なものだと感じています。

――ありがとうございました。ウッディやボーなどおもちゃたちの姿を通して、自分も新しい世界へ踏み出したく気持ちになる『トイ・ストーリー4』。ぜひ多くの方にご覧いただきたい作品となっております。ぜひ劇場でご覧ください!

[取材・文・写真/福室美綺]

映画『トイ・ストーリー4』作品情報

■監督:ジョシュ・クーリー
■製作:ジョナス・リヴェラ、マーク・ニールセン
■全米公開日:6月21日
■日本版声優:唐沢寿明、所ジョージ、戸田恵子、竜星涼、新木優子、チョコレートプラネット(長田庄平、松尾駿)ほか
■主題歌「君はともだち」ダイアモンド✡ユカイさん
■原題:Toy Story 4
■配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

ディズニー公式サイト
ディズニー公式Twitter

 

福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。好きな作品は『Free!』『NO.6』『十二国記』『ギヴン』『新世界より』など。好きな声優さんは保志総一朗さんと坂本真綾さん。ハッピーエンドよりも意義のあるトゥルーエンドや両片想いが大好物な関係性オタクで、主にイベントレポートやインタビューを担当しています。最近はVTuberがマイブーム。

この記事をかいた人

福室美綺
福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。親友であり敵のような複雑な関係性が大好物です。

担当記事

関連記事
アニメファンなら高確率でハマる!? 美しいビジュアル、華やかな世界……『宝塚歌劇団』の4つの魅力ポイントをご紹介!
“清く、正しく、美しく”をモットーにしている「宝塚歌劇団」をみなさんはご存知でしょうか?宝塚歌劇団は、大正3年(1914年)に創立された格式ある女性だけの歌劇団です。花組・月組・雪組・星組・宙組の5組といずれの組にも所属しない専科に分かれており、団員はタカラジェンヌの愛称で親しまれています。近年では、アニメや漫画作品が宝塚歌劇団で上演されることが多くなり、名前だけ知っているという方も多いかもしれません。しかし、「敷居が高そう」「アニメファンの私には向かなさそう」「興味はあるけど……」と、足を踏み入れるにはなかなかの勇気がいるのも事実。だけどちょっと待ってください! “宝塚歌劇団はアニメ好きこそハマる”ということを、アニメライター6年、ヅカファン(宝塚歌劇団のファンの総称)歴10年の私が保証します!「夢とは見るものではなく、叶えるものです。でも、たとえ叶えられなくても、叶えるために努力する道のりが、私は夢だと思っています。」これは現在でも舞台を中心に活躍されている元男役トップスター・安蘭けいさんの言葉。トップスター就任まで長い道のりを歩んできたからこそ重みがある言葉で、宝塚劇団を知らない方でも自然と胸を打たれるのではないで...
関連記事
映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』緋村剣心と雪代縁の熱いアクションシーンを撮影レポート! 大友啓史監督のインタビューもお届け
日本映画の歴史を変えたエンターテインメント作品の頂点として君臨し続ける、アクション感動大作『るろうに剣心』シリーズ。その最新作『るろうに剣心 最終章TheFinal/TheBeginning』が、それぞれ2021年4月23日(金)、6月4日(金)より2作連続で全国公開となります。“最終章”と題し、今回剣心の前に立ち塞がるのはシリーズ最恐の敵・雪代縁。縁は剣心が人斬り抜刀斎だった頃に繋がる因縁の相手でもあります。そんな注目の映画『るろうに剣心最終章』の撮影現場に潜入!剣心と縁の熱いアクションシーンが繰り広げられる現場にお邪魔し、その様子をたっぷりとレポートしていきます。また、撮影現場の見学後に行われた大友啓史監督のインタビューも併せてお届け。これまでの映画『るろうに剣心』とはまったく違ったテイストになっているという“最終章”について語っていただきましたので、ぜひご覧ください。※取材は新型コロナウイルス感染症が流行する前に行われました。クライマックスシーンの撮影現場に潜入!今回お邪魔した現場は、剣心と縁が熱い戦いを繰り広げるアクションシーン。クライマックスのシーンということもあり、撮影現場に入ると熱気がすごく、その場の空気感だけで圧倒されます。...
関連記事
映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』緋村剣心と雪代縁の熱いアクションシーンを撮影レポート! 大友啓史監督のインタビューもお届け
日本映画の歴史を変えたエンターテインメント作品の頂点として君臨し続ける、アクション感動大作『るろうに剣心』シリーズ。その最新作『るろうに剣心 最終章TheFinal/TheBeginning』が、それぞれ2021年4月23日(金)、6月4日(金)より2作連続で全国公開となります。“最終章”と題し、今回剣心の前に立ち塞がるのはシリーズ最恐の敵・雪代縁。縁は剣心が人斬り抜刀斎だった頃に繋がる因縁の相手でもあります。そんな注目の映画『るろうに剣心最終章』の撮影現場に潜入!剣心と縁の熱いアクションシーンが繰り広げられる現場にお邪魔し、その様子をたっぷりとレポートしていきます。また、撮影現場の見学後に行われた大友啓史監督のインタビューも併せてお届け。これまでの映画『るろうに剣心』とはまったく違ったテイストになっているという“最終章”について語っていただきましたので、ぜひご覧ください。※取材は新型コロナウイルス感染症が流行する前に行われました。クライマックスシーンの撮影現場に潜入!今回お邪魔した現場は、剣心と縁が熱い戦いを繰り広げるアクションシーン。クライマックスのシーンということもあり、撮影現場に入ると熱気がすごく、その場の空気感だけで圧倒されます。...
もっと見る
関連記事
キャラソンメドレーやシークレットゲストで沸いた!保志総一朗さん25周年アニバーサリーライブレポート
2018年8月19日(日)、豊洲PITにて保志総一朗さんの声優活動25周年アニバーサリーライブ「VoiceandHarmony」が開催されました。保志さんがライブを行うのは、2016年5月に行われた2ndLIVE以来の約2年ぶり。5月30日にアニバーサリーアルバムの発売を記念して行われた今回のライブでは、待ちに待ったファンたちで大いに賑わいました。本稿では、シークレットゲストの登場やキャラクターソングメドレーなど、約3時間半にも及んだライブの模様をたっぷりとお届けします!最初から全力疾走!声優活動25年の歴史を感じる楽曲のオンパレード青色の光で埋め尽くされる会場内で、今か今かと待ちわびるたくさんのファンたち。「アニバーサリーライブの始まりだーっ!」と、スパンコールがあしらわれた黒のジャケットに紫色のパンツというフォーマルな衣装で保志さんが登場!記念すべき1曲目は、アニバーサリーアルバムの1曲目に収録されている「Harmony〜夢のチカラ〜」。保志さん自身が作曲した楽曲でアニバーサリーライブのスタートです!続いて披露した「CrystalBlaze」は保志さんが作曲・作詞を手がけた楽曲。「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」とステージ上を移動しては、会場のファンたちを煽り、最初から全力投球の...
関連記事
『アイドリッシュセブン』ŹOOĻ 1st Album “einatZ” 発売記念インタビュー|広瀬裕也さん、木村昴さん、西山宏太朗さん、近藤隆さん、4人で歌う意味が込められているAlbumに
アプリゲーム『アイドリッシュセブン』に登場するユニット、ŹOOĻ(ズール)の1stAlbum“einsatZ(アインザッツ)”が2020年11月25日(水)に発売となりました。そこで今回、アニメイトタイムズではアルバム発売記念として、亥清悠役の広瀬裕也さん、狗丸トウマ役の木村昴さん、棗巳波役の西山宏太朗さん、御堂虎於役の近藤隆さんにインタビューを実施!アルバム曲に込められた想い、それぞれが感じたキャラクターの成長、そして新たなŹOOĻとしての魅力……たっぷりと語っていただきました。すでにアルバムを手に取られた方は、ぜひ曲を聴きながら、歌詞カードを読みながら最後までご覧ください。【アルバム】アイドリッシュセブンZOOL1stAlbum「einsatZ」豪華盤完全限定生産 「einsatZ」はŹOOĻの初アルバムにぴったりのタイトル──最初に、ŹOOĻ初のアルバムが発売されると聞いたときの気持ちをお聞かせください。広瀬裕也さん(以下、広瀬):ほかのグループの方々もアルバムを出されていて、僕も『アイナナ』のファンですので羨ましさを感じつつ、“ŹOOĻももっと曲数が増えたら良いな〜”という気持ちがあったので、すごく嬉しかったです。嬉しさに加えて、“どんな歌を歌うんだろうなぁ”と妄想が膨らみま...
おすすめタグ
あわせて読みたい

トイ・ストーリー シリーズの関連画像集

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2025年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2025年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2025冬アニメ何観る
2025冬アニメ最速放送日
2024秋アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング