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TVアニメ『フルーツバスケット』ファン座談会で気ままに検証トーク

TVアニメ『フルーツバスケット』が今アニメ化された理由は? “世代が変わっても、人の悩みの根本は変わっていない”ファン座談会で気ままに検証トーク!

全編アニメ化&原作者・高屋奈月先生のコメントが発表されたニュースに……

――再アニメ化について高屋先生のコメントが出ましたが、そのニュースを聞いた時はどう思いましたか?

ウサギ:再アニメ化すると聞いて、先生が「すべて新しいメンバーで」とコメントされたのを知って、原作ファンの方も期待が高まったと思います。

キャストが発表された時は、「今、人気の方々だな」と。

イヌ:私も「やるんだ」と驚きました。ちなみに、前作では慊人が少しだけ出てくるけど、男性が演じているんですよね。

ウマ:今回は坂本真綾さんで、良いキャスティングだと思います!

イノシシ:それは……ウマさんが慊人ファンで、坂本さんのファンだからでは?(笑)

ウマ:それもあるんですけど(笑)。

イヌ:でも、坂本さんは納得するよね。

ウマ:納得します!

イヌ:私は紫呉が好きなので、中村悠一さんが演じられるということで、納得していて。最初は、紫呉役を中村さんも良いけど、綾女役の櫻井孝宏さんでもいけそうな路線だなと思ったので、今後登場する櫻井さんの綾女にも期待しています。(すでに第13話にて登場済)

透については、石見舞菜香さん合ってますよね。「本田透」そのものです。

ウマ:本当に!

イヌ:透の親友の魚谷ありさ(愛称、魚ちゃん)と花島咲(愛称、花ちゃん)のキャスティングは、意外だった。特に、魚ちゃんを演じる種﨑敦美さんは、可愛い声のイメージがあったので、不良っぽい役はイメージになかったんですけど、蓋をあけたら「魚ちゃん」だった(笑)。

あと、本田今日子役に沢城みゆきさんを持ってくるのは「すごいな、ここなんだ」と。プライベートでもお母さんになったし、面白そうだなと思っています。

ウサギ:種﨑さんは他の作品でも、可愛い系のキャラクターの印象がありますよね。

私は、由希くんは中性的なイメージがありましたが、やっぱり男性なんだという“オス”を感じる(笑)。

イヌ:もしかしたら、今回から初めて見た若い世代には、三角関係にありがちな「由希くん(CV:島﨑信長)派と夾くん(CV:内田雄馬)派、どっち?」みたいな。

一同:あぁ~~~!

イヌ:女性キャストさんだと意見が分かれにくいけど、男性キャストだと対等だから、そこも狙ってるのかな?

イノシシ:私は原作を読んでいる時から、それほど声のイメージを抱いてこなかったのですが、確かに男性キャストの方が恋愛としてイメージしやすいかも。

イヌ:なんだかんだ言っても少女漫画だからね。女性が見るからこそ、女性キャラクターを愛することも大事だと思うし、由希くんや慊人みたいな中性的なキャラクターをどう表現するのかもこの作品の要なのかなと思いますね。

――今作の映像などを見た感想はいかがですか?

ウサギ:原作は全て読んでいて、前作のアニメもイラストとかだけは見たことがあったので、今作は絵が綺麗だなと。技術の進化に合わせて絵が整っていたり、背景や光の差し込んでいる描写は綺麗だなと思いました。

ウマ:私は、慊人のこのビジュアル、闇の部分を抱えている感じのこの表情がすごく好きですね。ストーリーとしては、まだちゃんと出てきていないですが……。

イノシシ:ストーリーに関わる部分以外では、動物に変身するシーンは可愛いし、草摩家の電話が黒電話のままだったり、紫呉の読んでいる新聞の見出しに遊び心があったり、というところは面白いなと思います。

ウマ:携帯とかではなく、玄関に黒電話でしたね。

イノシシ:前作を見ていなかったこともあって、毎回どんな展開になるのか楽しみだなと思いつつ、ラストまで描かれるということなので、つい全何話で放送されるかは気になってしまいます。

世代を超えて、キャラクターの誰もが抱える闇の部分に強く共感! 今アニメ化する理由を検証

――では改めて、今、フルバが再アニメ化される理由や魅力はどこにあると思いますか?

ウマ:私は逆に、今だからアニメ化したと思います。最近よく感じるんですけど、今、モノがあふれすぎていて、みんな大切なモノを失っているような気がするんです。

例えば、電車のマナーを守らないとか、道が狭いのに譲り合ったりしないとか。たった一言「ありがとう」「すみません」「おはようございます」とか、その一言で救われる時とかもあるじゃないですか。

それが、最近はみんな失っているのかなと思いつつ、『フルーツバスケット』には、みんなが抱いた事のある嫌な部分が十二支それぞれの中にあって、それを通して自分の心にある闇の部分が救われている気がします。

イノシシ:視覚化されることで、その部分に嫌悪感や共感を感じるみたいな?

ウマ:恋愛であれば、本当は相手のことが好きで振り向いてほしいから、あえて別の人とイチャついてみたりとか、作中で描かれている経験をした人も多いと思うんですよね。

イノシシ:確かに、十二支同士の恋愛とか、12人いるから12パターンそれぞれの描かれ方がありますよね。あ、夾くんを入れると13人ですね。

そう思うと、今の恋愛ゲームとかにあるような、いろいろなジャンルの相手がいることによって、自分の好みに合ったキャラクターを見つけられる、感情移入できるというところが既にあったのかも。

ウサギ:私は、ウマさんの意見に賛同しますね。登場人物の抱えている悩みがそれぞれ違うから、一度読んだ人はどこかしら共感できる部分、誰かしらのキャラクターや思いに重なる部分が絶対あると思っていて。

共感できるからこそ、一度読んだ人は、読み始めたとか、「気になる」と言う人が周りにいたら絶対「読んだ方がいい」と薦めるということを、ちょうど今、周りで読む人がいて体験して分かりました(笑)。

その人がよく考察する人なので「こういうことじゃないか」という考えに対して、私とウマさんが考察する、ということが身近で起こっていて……。

ウマ:ありますね(笑)。

イヌ:それ、私もすごく話に入れてほしいです!

ウサギ:イヌさんが入ったら楽しそう(笑)。

そういう“登場人物たちに共感できる部分が強いから”というのは、魅力というか、ずっと長く人気が続いて、かつこのタイミングでもう一度アニメにしようというスタッフさんとかがいた理由なのかなと。

イノシシ:世代が変わっても、悩みになっている根本の部分が変わっていないから、今の若い世代がアニメを見ても共感できると?

ウサギ:できる部分があると思います。

ウマ:絶対できると思います。そう思うと、常に優しくできる透は仏様みたいで、すごいですよね。

ウサギ:うん、すごい。

イヌ:あと、マブダチトリオ3人が、今思うと年齢的にはまだまだ若いんですけど、当時はとても大人に感じましたね。

小学生くらいの相手から「おじちゃん」と呼ばれているシーンもあって、自分が20代だったら呼ばれたくないけど、紫呉は「彼らから見たら、僕はおじさんだよ」と受け入れていてたので、受け入れられるだけの何かがあったのかなとか。

ウサギ:みんな経験値が高いということなんですかね。

イヌ:ここまでの話を聞いていて、“共感”が人気の秘訣だと思うんですけど、みんなはどうなのか、私個人として聞いてみたいことがあって。

私の国籍は韓国なんですけど、韓国はすごく血縁を大事にする国民性があって、血がつながっているか、いないかがすごく大事で。私にとって、そういった結束の固さがツラかったり、年功序列というか、年長者に対する振る舞いが厳しかったりしたので、日本では何げない、おじいちゃんの家に行って冷蔵庫を開けるみたいなことも、夢みたいな出来事で。

昔は自分の親族に対して思うところがあったからこそ、このストーリーに共感できたので、高屋先生はどういうところから着想を得たのかなと。血じゃなくても、人とのつながりは“縛られることで呪いなんだ”ということに落とし込んでいると思うので、共感できるのかなと思いました。

イノシシ:慊人と十二支憑きの関係性ということですね。草摩一族としても当主である慊人の言うことは絶対で、積極的な人物もいれば、静観するようなタイプもいて、その絶対的なつながりに抗おうとする人もいる。

そのつながりが強すぎて、由希は慊人から離れたかったけど、結局、草摩一族の輪の中にいて完全には離れられなくて、逆に十二支から外れたネコ憑きの夾は、草摩=十二支の輪の中に入りたくてあがいているからこそ、正反対の立場の相手がうらやましくもあり、反発してもいるんですよね。

ウサギ:最近だと“毒親”というワードがあるように、血がつながっているから親の面倒を見なきゃいけないとか、逆に親の言うことを聞かなきゃいけないというところであれば、“血が呪い”じゃないですけど、この人と離れられないとかはあると思います。

イノシシ:少し違うけど、行き過ぎれば子どもの虐待とかも、自分の所有物、支配しようという考えの関係性として当てはまるかも。

イヌ:なるほど! そういう今だからこそ、アニメ化する意味があると分かりました。

ウマ:透がいろいろと気づかせてくれますから!

このアニメを通して、透の言葉を多くの方に届けたいですよね。

ウサギ:透は本当に、“神様、女神様”みたいなキャラクターですよね。

イヌ:ただ、彼女にもいろいろと悩みはあって、そんな人間らしい部分も今後どんな風に描かれるのかが楽しみです!

イノシシ:私としては、最初、学園モノという感覚で原作を読んでいたこともあり、「フルバ」を読み始める前は、透みたいにいい子なキャラクターが苦手かもと思っていました。

最後まで読むと、透も大好きになるんですよね。

ウマ:話は変わりますが、私はちょっとツラくなった時とかに、今日子さんの「あなたは信じてあげな」というセリフをループして聞いています。

イヌ:分かる、分かる。私の人生も結構『フルーツバスケット』に影響を受けてます。

ウサギ:それは、よく分かります。

イヌ:日本で暮らしていて、ちょうど韓国に留学しようと思っていたころに『フルーツバスケット』を読んで。

それまでは、演劇とか映画、美術、音楽といった芸術ばっかりやっていて、友達なんかいらない、感性を磨くんだと思っていたんですけど、紫呉が夾に対して言った“人と関わっていくには、人の中で修行しなくてはダメだ”みたいなセリフを受けて、韓国に留学してからは全く芸術に触れず、友達とばかり遊んでいました(笑)。

ウマ:単純(笑)。

イヌ:人間変わっちゃうもので、そのおかげで人とも話せるようになって、今の仕事ができているのかなと。

あと、自分では気づかなかったんですけど、5歳の娘もTVアニメ『フルーツバスケット』の透をすごく可愛がっている今日子さんを見て、「ママと同じ事をやってるよ」と言われたのには、ちょっとうれしかったです。

ウマ:それはうれしい!

イヌ:娘に毎日「可愛いね」と5年間ずっとやってきたんですけど、それが今日子さんだとは気づかなくて。

今日子さんの“大切なのは、自分が親になった時に子供の気持ちを忘れちゃいけない。親になった時、親の気持ちは実感できるけど、子供の気持ちを親が忘れちゃいけないんだよ”というようなセリフを思い出しながら、子どもには怒ってます(笑)。

人生は、結構『フルーツバスケット』から……。

ウマ:大切なことを教えられている、みたいな。

ウサギ:本当に。

イノシシ:そんな話を聞くと、私はそこまでハマっていなかったのかなとも思いますね。周りに漫画好きの友達もいたので、読んでいる人も多かったはずだけど、あまり「このキャラが好き」みたいな話もしなかったなと思ったり……。

でも、ストーリーが進むにつれて「どうなるのかな」と気になって、最後まで楽しませていただきました。結局は、キャラクターやストーリーに共感したり、感情移入したり、自分とどこか重なるところがあるから、みんな惹きつけられるんでしょうね。

(C)高屋奈月・白泉社/フルーツバスケット製作委員会
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