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アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』木村泰大監督・髙橋秀弥監督インタビュー

アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』木村泰大監督&髙橋秀弥監督 クライマックス直前インタビューゥゥウッ!!!!!|“覚悟”を決めてジョルノたちと共に駆け抜けた怒涛の3クールを振り返るッ!!

デザイン面は荒木飛呂彦先生からのアドバイスが活かされている(木村監督)

――荒木先生からどんなアドバイスがありましたか?

木村:基本的な色についてですね。スタンドとかの色パターンを何種類か作って、そのチェックをしていただきました。一番大きいところでは、ジョルノの服装や髪の色と服の色を5パターンぐらい作ったんですけど、髪はこれ、服はこれみたいに選んでいただきました。ジョルノの服は紺と赤系で分かれていたんですが、荒木先生がピンク系を選ばれました。フーゴも服は黄緑になっていますけど、オレンジ色の案も出していて、髪の毛も金と銀の案がありました。アバッキオは緑と紺の2つ出しました。ナランチャはパッと決まっちゃいましたね。

髙橋:僕はエアロスミスの本体色が赤になったので驚きました。単行本51巻の表紙の青いイメージが強かったので。

 

――色以外では?

木村:スタンドのデザインでラフをお見せして、プロポーションをもう少しこういう風にしてほしいとかはありましたね。キング・クリムゾンは肩幅をしっかりしてほしいとか。それと、ブチャラティはピンマークみたいな模様の上下のスーツを着ていますが、あれって初登場の話数だと手書きなんですよ。手書きだと手間がかかりすぎて毎週納品ができない感じになっちゃって、次から貼り込みしました。貼り込みでも大変なんだけど。現場が崩壊する一番の危機ですよ(苦笑)。

髙橋:こんなこと言ったらファンに怒られるかもしれませんが、第33話以降ブチャラティの出番が減ってくれて助かりましたね。でも、すぐに線がとても多いディアボロとして復活してきたっていう(苦笑)。

――第5部のキャラはみんなオシャレで装飾が多いから大変ですね。

木村:アニメで動かす上で装飾を多くしたいのは山々なんですけれど、そもそも作れなくなるので減らさないといけないんですよね。でも、やはりデザインは荒木先生のこだわりがあるものなので、どこまで落としていいのかという点は結構チェックしていただきました。

――原作関連のことでいうと、二つめのEDアニメーションを担当されている滝れーきさんは荒木先生の元アシスタントさんだと伺っています。滝さんは漫画家で、アニメーターではないんですよね?

笠間:漫画家さんです。第2部の後半と第3部の前半の時期にアシスタントやってらっしゃったそうです。

髙橋:今作では美術設定で入ってもらっているのですが、アイキャッチも滝さんに描いてもらっている部分が多くて、その流れでEDアニメーション2を石像のスタンドが並ぶという形で構成しました。

木村:滝さんはアニメーターではないので、OPアニメーション1の最初の彫刻と最後のジョルノのエンブレムのカットなど、一枚絵的なものを手伝ってもらっています。アニメーターではないから動きは描けないんですけれど、その分アニメーターより密度がある絵が描けるというか。アニメーターってあそこまで密度のある絵が描けない人も多いし、そもそもコスト計算しながら描くのでなかなか描きづらいところがあるので、そういうところで滝さんにはとても助けていただきました。

漫画家の人ってやはり絵が生きた感じがすると思いました。別にアニメーターが死んでいるわけじゃないですけど、色々な人の絵柄が描けないといけないので、ある程度自分を殺さないとダメなんです。絵を合わせることに特化しつつ、自分の絵を描ける人って本当に少ないので。滝さんは荒木先生のアシスタントもしてらしたので線質も似てるところもありますし、パワーがあってとても良かったです。

イタリアへロケハンに行った経験がフィルムに表れている(木村監督)

――イタリアにロケハンに行かれたということでしたね。

木村:ロードムービーなので色々な場所に行って、原作のコミックスを見ながら、「こんな感じかぁ~。実際始まったら思いのほか大変だぞ。どうすりゃいいんだろう(苦笑)」って話していたところから一年間苦しんでようやくここまできました。

髙橋:取材中はまだ本当に自分たちが作るという実感がなく、やることは決まっているけれど覚悟が決まってないというか。とりあえず写真を撮ってゆっくり考えるかって感じで始まりました。

木村:空気感を味わうのが大事なので、ロケハンは本当に行って良かったです。「本当か?」と思われるかもしれませんが(苦笑)。それがフィルムには良く出ていると感じています。今放送している話数の舞台がローマですが、僕らが最初に行った場所なんです。ロケハンから2年くらい経ってようやく今につながっているので、感慨深いものがあります。

――ロケハンの成果は具体的にどのように画に出ているのでしょうか?

髙橋:まず第2話のジョルノがギャングスターになることを宣言するシーンは、原作だと教会の前になっていますが、場所的にあまりイメージが沸かなかったんです。そこで、ロケハンで行ったナポリ(ネアポリス)を眺望できる高台がとてもロケーション的に綺麗だったので、第2話~3話と舞台が繋がるのですが、ここにしようと決めました。

木村:原作だと、電車でのぼっていって途中駅で降りてそのまま宣言するんですけど、宣言する場所が一番下の海岸沿いなんです。だから、いつの間にか下りているってことになるんです。しかし、映像でそうしてしまうと「あれ? さっきまで山の中腹にいたはずなのに」となるので、新しく、ナポリの街や海が一望できる展望台のようなところを設定しました。ジョルノたちと同じ電車ではないのですが、僕らも似たような路面電車に乗って彼らの足跡を追体験をすることで肌で感じたものや行ったからこそ分かることがありました。

僕らがイタリアに行ったのは夏だったので、原作とちょっと時期が違うのですが、空の色だったり、建物や地面の色や材質といった細かい部分も現地に行くと触ることができる。屋内も靴で歩くことや埃っぽさなどの行ったからこそ分かったことをスタッフに伝えられるので、目に見えてるところ以上に大事なことだと思います。

――原作マンガはモノクロなので、アニメにする上で色を付ける作業が特に大きいと思うのですが。

髙橋:『ジョジョ』はカラーイラストがたくさんありますし、原画展も開催されていましたから、キャラクターはそれらを参考にしていますが、美術に関しては実在の場所を参考に作ってます。

木村:最初、空の色を変えるかどうかでかなり悩んだんです。結果、今のものにしたんですけど、最初にちょっと緑色にしてみてはちょっと違うなとか言いながら試行錯誤しました。アニメ作品だと、ナポリの街の俯瞰や海から見た絵といった美術ボードを最初に作り、それを基準に他のものにどんどん広げていくのですが、それを作るのが一番大変でした。

▲ナポリ(ネアポリス)

▲ナポリ(ネアポリス)

▲▼カプリ島

▲▼カプリ島

――日本とイタリアでは気候の違いもありますよね。

木村:雲が少ないほど光が強いために影が濃くなるといったコントラスト比の部分がナポリでの話数に出ています。また、カプリ島専用の処理のフィルターを作って、暑くて日差しが強い感じを表現するために彩度を高くしたりしています。

――建築物についてですが、例えばコロッセオも当然立体的に考えて、この時は誰がどこで戦っているということを計算してらっしゃると。

髙橋:そうですね。ただ、実はコロッセオの中ってそんなに移動しないで戦ってるんです。全体の1/4くらいのところで物事が起こってるので、その部分を3Dで作って、美術発注はしました。でも、原作と実物の間取りを付き合わせていくと、全く同じではないんです。ですから、アニメでは実物にちょっと合わせていくという作業をしています。

木村:ポルナレフと対峙してドッピオからディアボロに変わる時の柱はいくら探してもなかったのですが、やはりあれは必要なので付け足しています。

髙橋:実は結構違いますよね。外壁が欠けている位置も原作は実物の逆側なんですよね。ですから、アニメではぐるっと回しています。

木村:全てを現実に合わせようという訳ではなく、あくまでも原作の補強として現実を使っているだけなので。原作で描かれているものがないといけないって時は作るし、作るにしてもディティールなどは現実に合わせて新しく作り直すという作業をしています。

――最後に、最終回となる第38話と最終話の放送への意気込みをお願いします。

木村:一時間でまとまっているのが一番すごいところですよ。『ジョジョ』って自分でも観ていてあっという間に終わる印象があって、もうちょっと観たいなと思う時があるんですけど、最終回は倍の尺で観られますから(笑)。

髙橋:シナリオ打ち合わせの時にも話したのですが、そのエピソードを別けて一週分空けてしまうと理解が難しい内容なので。それが1時間にまとめて放送できるのは良かったと思います。

――最終話の「眠れる奴隷」は『ジョジョ』シリーズの中でも屈指の奇妙な話だと子どもの時に原作を読んでいて思いました。

木村:津田さんは乱丁(書籍のページの順序が乱れていること)だと思ったらしいです(笑)。

髙橋:時間が飛んだみたいな感じですかね(笑)。最終回の放送を楽しみにしていただければと思います。

[インタビュー・文/田中伸吾]

最終回の放送情報ッ!

★TOKYO MX:7月28日(日)20:00~
★BS11:7月28日(日)20:00~
★MBS:7月28日(日)26:25~
★AbemaTV:7月29日(月)22:00~

※放送時間は変更になる場合があります。
※第38話「ゴールド・E・レクイエム」&最終話「眠れる奴隷」の2話連続放送となります。

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作品情報

TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」

放送情報

TOKYO MX:毎週金曜 25:05 ~
毎日放送:毎週金曜 26:55 ~
BS11:毎週金曜 25:30 ~
AbemaTV:毎週日曜 24:00 ~
アニマックス:毎週日曜 19:00 ~ ※放送時間は変更になる場合がございます。

国内配信情報

<見放題配信>
毎週水曜12:00以降 各サービス先にて順次配信
AbemaTV、dアニメストア、Hulu、U NEXT、NETFLIX、アニメ放題、dTV、FOD他

<課金配信>
毎週水曜12:00以降 各サービス先にて順次配信
ひかりTV、J:COM オンデマンド、milplus(みるプラス)、イッツコムオンデマンド、TOKAIオンデマンド、ビデオパス、TSUTAYA TV、PlayStation™Video、Google Play™、Rakuten TV、Amazon Prime Video、ビデオ・マーケット、バンダイチャンネル他

あらすじ

イタリア裏社会を牛耳るギャング組織「パッショーネ」に属する青年ジョルノ・ジョバァーナ。彼には街に麻薬を流す組織の「ボス」を倒し、街から麻薬を排除するという夢があった。謎に秘められたボスに近づくため、同じ夢を抱く幹部のブローノ・ブチャラティ率いるチームと共にボスの娘トリッシュ・ウナの護衛指令を果たしたジョルノたち。

しかしその指令の真の目的は、ボスの正体の手掛かりとなるトリッシュをボス自らの手で確実に葬ることだった。非道な行いを見過ごすことができなかったブチャラティは、組織を裏切ることを決意。

ジョルノやレオーネ・アバッキオ、グイード・ミスタ、ナランチャ・ギルガも、それぞれの意志で組織を裏切り、ブチャラティと行動を共にすることを選択する。『正義』を信じ『苦難の道』を歩み始めたジョルノたちに、『運命』が立ちはだかる。

スタッフ

原作:荒木飛呂彦(集英社ジャンプ コミックス刊)
総監督:津田尚克
監督:木村泰大・髙橋秀弥
シリーズ構成:小林靖子
キャラクターデザイン:岸田隆宏
総作画監督:石本峻一
スタンドデザイン・アクション作画監督:片山貴仁
プロップデザイン:宝谷幸稔
美術設定:滝れーき・長澤順子・青木 薫
色彩設計:佐藤裕子
撮影監督:山田和弘
編集:廣瀬清志
音響監督 :岩浪美和
音楽:菅野祐悟
アニメーション制作:david production

キャスト

ジョルノ・ジョバァーナ:小野賢章
ブローノ・ブチャラティ:中村悠一
レオーネ・アバッキオ:諏訪部順一
グイード・ミスタ:鳥海浩輔
ナランチャ・ギルガ:山下大輝
パンナコッタ・フーゴ:榎木淳弥
トリッシュ・ウナ:千本木彩花
ディアボロ:小西克幸

公式サイト
公式ツイッター(@anime_jojo)

(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会
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