『クレヨンしんちゃん』の野原家の愛犬・シロはスーパーヒーローだった!? 制作者が語る『SUPER SHIRO』秘話
テレビ朝日の開局60周年を記念として製作された『クレヨンしんちゃん』シリーズの新シリーズ『SUPER SHIRO』が10月14日(月)より、AbemaTV、ビデオパスにて独占配信中!
『SUPER SHIRO』は、ごく普通の野原一家に極々普通に飼われている犬・シロがスーパーヒーローとなり、世界を守るストーリー。
未知のエネルギー体“ボボボボボーン”を巡って、世界征服を企む発明犬・デカプーとシロが壮大な追いかけっこを繰り広げていくショートアニメーションです。
総監督は「クレヨンしんちゃん」シリーズ初期から設定デザインや作画を手掛け、国内外で高い評価を受けている湯浅政明さん。チーフディレクターには、湯浅監督作品をはじめ、原恵一監督、細田守監督作品にも参加している霜山朋久さん。脚本はテレビシリーズや劇場版、外伝シリーズにも参加しているうえのきみこさんが担当しています。
シロ役は真柴摩利さん、ヒーロー語りは大塚明夫さん、シロに指令を下すビボー役はゆかなさん、デカプー役は勝杏里さんと豪華キャストが揃いました。
今回は総監督の湯浅政明さん、チーフディレクターの霜山朋久さんにインタビュー。制作者ならではの企画立ち上げのお話からキャスティング&アフレコ裏話、そして作品の見どころまでたっぷり語っていただきました。
ドキッとするエンターテインメント作品
――アニメ『SUPER SHIRO』の企画立ち上げ時のお話を教えてください。
総監督・湯浅政明さん(以下、湯浅):今回の新シリーズの主人公はシロ(CV:真柴摩利)でとお題をいただいたので、人知れず、犬たちが世界の覇権争いをしている設定でキャラクターやストーリーを考えていきました。
――企画時はどのようなイメージをお持ちでしたか?
湯浅:最初の段階では『トムとジェリー』(アメリカの短編アニメーション)のようなスラップスティック(コメディーの一種、ドタバタギャグ)というイメージを抱いていました。
いろいろなバリエーションや展開があった方がいいと思い、霜山くんや脚本家・うえのきみこさんと一緒にアイディアを出し合いながら、お話を作っていきました。
チーフディレクター・霜山朋久さん(以下、霜山):企画の段階で、キャラクターや背景の色や画作りも含めて、「本編の『クレヨンしんちゃん』とは違う色を出したいね」と話しました。
『クレヨンしんちゃん』は人間の世界の話だけど、『SUPER SHIRO』は犬たちの世界の話なので、カメラ位置を人間目線ではなくて、犬目線にしています。
――実際に制作が進んでいかれて、いかがでしたか?
湯浅:『SUPER SHIRO』のストーリーは、シロとデカプー(CV:勝杏里)が未知のエネルギー体“ボボボボボーン”を取り合うという話で、毎回セッティングを変えているので、その都度楽しんでもらえる作品だと思っています。
今回の作品では、やりたいなと思っていたことだけでなく、いろんなことができましたね。
霜山:エピソードごとのテーマや見どころも毎回作ることができました。
湯浅:どれも内容を難しくしないで、好きなことをやっています。音楽の使い方も豪華で、音楽ネタもいろいろあります。企画の段階で音楽を作っていただいて、音楽に合わせて画を作るということも多かったです。
霜山:エピソードの中で、ミュージカルではないですけど、歌がメインでやる話数もあったり、音付けも特殊なことをやってみようとしたり、しっかりエンターテインメント作品になっています。作品を見た時にドキッとするけど、楽しいと感じられるようなこともやろうとしていますね。
湯浅:今回の作品はフィルムスコア(できあがった映像に対して音楽をつけていくという方法)なんです。それも『トムとジェリー』風で、豪華なことができていると思っています。
霜山:『SUPER SHIRO』は自由度が高いので、たくさんネタが入れられました。コミカルなドタバタだけで見せるショートアニメというのは、最近はあまりないじゃないですか。
そんな中で『SUPER SHIRO』は、ドタバタのバリエーションが何でもできる。セリフがない分、そこで見せなければいけないというのはあるんですけど、キャラクターを横で見せたり、縦で見せたり、たまに顔芸もあったりとか(笑)。いろいろ小ネタの積み重ねができました。