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TVアニメ『BEASTARS』スタッフインタビュー

秋アニメ『BEASTARS』スタッフインタビュー|松見真一監督やCGチーフディレクター・井野元英二さんが、動物モノとして海外のCG作品とは違った表現に挑戦&多角的キャラクターの目線で描く動物版ヒューマンドラマ☆

キャストオーディションでは、通常のアフレコにはない対面での演技やしゃべり方もチェック!

――では、作品を表現する上で、特にこだわった部分、意識したポイントがあれば教えてください。

監督:動物でどう表現するか、というところで言うと……たまたまなんですけど、スタジオジブリで仕事したことのある作品が“ブタ(映画『紅の豚』)”と“タヌキ(映画『平成狸合戦ぽんぽこ』)”なんですよ(笑)。

その時に、(映画『平成狸合戦ぽんぽこ』監督の)高畑(勲)さんとずいぶん、人間ほど顔の表情が動かない、変化がない動物をどうやって表現するのか、みたいな話をしたことがあったんです。

その中で、動物は目などが大きいんだけど、どこまで見ているのかわからない感じがあるし、何を考えているのかわからない。

そこから、見ている人にとって解釈の幅がすごく広がるという意味では、意外と人間と同じ表現にしないで、そこを意識しながら演出するのが動物の面白さだよね、みたいな話をしたことがあって。

他の海外作品などは結構、人間的な、漫画っぽい顔の表現をしてしまうんですけど、今回はそこ(高畑さんと話をした演出の仕方)までいかなくても、違う方法で表現できるなという感じはしていました。

実際、キャラクターの首から下はほとんど人間なんです。手も足も普通だし、四つ足になって歩いたりもしないので、芝居は人間の形ですし、ヒューマンドラマとして作っていけるなと思いました。

――そうなんですね。原作ファンとしては、やはり「どんな演出になるのか」というところが気になると思うのですが、色彩や音楽もかっこよかったですし、レゴシが本能を自覚するシーンは第1話だけに「こうなったか!?」と衝撃的でした。

監督:最初、全体でどんな絵にしようかという時に、原作は色が付いていないので、原作者の(板垣)巴留さんとどういう風にしていくか話をして、今の色調が決まったところもあって。

巴留さんの好きな絵や、こちらの絵なども見ながら「これ良いね」「この線良いよね」と言いながら、どんな絵にしていこうかと詰めていき、今の感じが原作者の方の持っているイメージが壊れない方向性ではありましたね。

原作を読んでいる人も、自分なりに色が付いたり声が聞こえたりしていると思うので、そこはやはり崩さないで、一緒に楽しめる方が良いかなと思っています。

監督:レゴシのシーンも、原作は漫画のレトリックで描かれている表現なので、それをアニメに変換していく必要はあって。映像としてだったら、どういう段取りで、何をどこまで見せていくのかという部分での補強をしたり、例えば、匂いに色を付けて表現してみたり。

原作にはない音楽についても、内面的な部分が多いので、これはオーケストラじゃないし、電子音楽じゃないよねみたいな話をしていく中で、もう少し民族音楽寄りなのかなという形で、今の音楽になったりしました。

――メインキャラはオーディションがあったと伺ったのですが、オーディションの選考基準やキャストさんの印象などはいかがですか?

井野元:私は今回、オーディションについてはタッチしていないんですけど、(オレンジがアニメーション制作を担当した)TVアニメ『宝石の国』と同じプレスコ方式という、最初に音声を録音してから絵を作っていく手法を取っているんです。

『宝石の国』では、舞台も経験されている方が主人公を演じられて、うまくいったこともあって。私的には、そういう路線になるといいなと希望的な観測があったのですが、今回もそういう感じになって、非常に嬉しいなと(笑)。

制作に上がってきた音声や演技は、非常に躍動感があったり感情豊かであったり、際どいシーンとかもあるんですけど、映像と合わせてみて、非常に手応えがあるというか、良い感じに仕上がっているなという感触はありますね。

私は実際の収録現場を見ていないんですけど、社内のちょっとしたレクリエーションに声優さんに来ていただいて、どうやって収録しているかその時初めて聞いたり、インターネットのライブ中継みたいなもので知って。

本当に取っ組み合いをして収録しているという話などを聞いて、ビックリしました(笑)。それは、もしかしたら役者経験もあるからできるのかもしれない、という思いもありますね。

――レゴシ役の小林親弘さんにインタビューさせていただいた時に、動きのある収録もプレスコならではかもというようなことを、おっしゃっていました。

井野元:そう、監督に質問したいんですけど、すごく慎重に音声を聴くと、ご飯を食べている時にスプーンなどのカチッという音がちゃんと聴こえるので、どうやっているのかな、本当に使ってるのかなと(笑)。

監督:いろいろやっていますね(笑)。

『宝石の国』の時と同じプレスコだったら、芝居を作ってからアニメーションを作ることができるなというのがあったので、今回も同じ方向でやろうと役者さんを選ぶ段階になって。

アフレコだと絵が主導なので、絵にセリフを乗せていくのですが、今回はプレスコだから、今度は声が主導の演技になってくる。ということになると、やはり演技ができる人でないといけないというのがあったので、それはまず絶対条件で選びましたね。

オーディションも結構長めのシーンを演じてもらって、その中で芝居が作れるかどうかや、今回は相手役と向き合って芝居をしたりするので、ちゃんと相手の声を聞いて自分のセリフを返せるかとか。

普通の芝居なんですけど、通常のアフレコでは、自分が演じるキャラの顔を見て、自分の声を付けるということをやるので、相手に合わせて違う芝居が返せるかどうかというのは、実はオーディションの時にちょこちょこ見ていて、そこが一番大きな決め手です。

監督:あと、レゴシは身長が大きいじゃないですか。例えば、大きいキャラは低い声、小さいキャラは高い声、みたいな考え方があるんですけど、それで役を振っちゃうと、全員同じ高校生なのに、大人と子供が一緒にいるみたいに聞こえちゃうんですよ。

でも、ベースは17~18歳でありつつ、大きいキャラや小さいキャラをどう表現するかというところも、オーディションでいろいろやらせてもらって選びましたが、難しかったです。

声に関しても、原作の巴留さんにも一緒に聴いてもらって、イメージ通りの声だとか、声質だけじゃなく、実はしゃべり方や、ちょっとした話し出すきっかけみたいな部分だとか。

やはり原作のイメージは壊さない方向で、そのキャラらしさみたいなところが出せているかどうかも、先ほど挙げた演技の幅と合わせて参考にしました。

――最後に、今後の見どころなど、楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。

井野元:そうですね。制作者としては作っている最中に、作品に対して主観的になりすぎてしまって、客観的な思考がなかなか作れなくて「これが本当に受けるのか」と、やや不安になる時もあるんですね。

けれども、放送前に公開した長めのPVなどの反応が比較的良かったり、制作者でない方に見ていただいた時に、自然と笑い声が出ていたということもあったりしたので、「あ、これはいけるかな」という手応えを私自身、感じました。

実際に見ていただくと情報量も多いですが、何回見ても飽きないと思いますし、見ごたえがあると思うので、ぜひ楽しみにご覧になっていただけると良いかなと思います。

監督:今回の作品に関していうと、何人かのキャラクターの、いろいろな側面から見れるように作っているので、見返してもらうと「あの時こうしていたのが、ここにあった」みたいな楽しみ方というか。

第1話でやっていたことが、後の話数で「あれだったんだ」とつながるところがあったりして、続けて見ていただけると、面白い発見があるという風に仕掛けがあるので、楽しみにしてもらったらいいかなと思います。

TVアニメ『BEASTARS』概要

放送・配信情報

フジテレビ「+Ultra」にて毎週水曜日24時55分から放送中

関西テレビ:毎週木曜25:55~26:25
東海テレビ:毎週土曜25:55~26:25
テレビ西日本:毎週水曜25:55~26:25
北海道文化放送:毎週日曜25:15~25:45
BSフジ:毎週水曜24:00~24:30

【配信】
NETFLIXにて好評配信中 毎週木曜日配信(日本先行)

※放送時間は予告なく変更になる可能性がございます。

INTRODUCTION

肉食獣と草食獣が共存する世界。

食肉が重罪とされるなか、全寮制の名門高校・チェリートン学園では生徒が食い殺される“食殺事件”が起きる。

不安の渦巻く校内で、演劇部の変わり者・ハイイロオオカミのレゴシは『大きい身体』と『鋭い牙』とは裏腹に静かに生活していた。

しかし小さなうさぎの女子生徒・ハルとの出会いが、そんなレゴシの心を揺り動かす。

「彼女を求める気持ちは、恋なのか? 食欲なのか?」
彼が本当に出会ったもの、それは自分自身の本能だった―――。

STORY

肉食獣と草食獣の共存する世界。
食肉が重罪とされるなか、名門校・チェリートン学園で演劇部の生徒が食い殺される“食殺事件”が起きる。犯人は見つからず、不安に揺れる生徒たち。

そんな中、演劇部では死んだ生徒の代役を巡っていさかいが起きる。
次期『ビースター』候補とささやかれ、演劇部のカリスマ的存在であるアカシカのルイに、逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。

それを庇ったのは、照明係の二年生・レゴシ。『鋭い爪』や『大きな体』など、強そうな外見とは裏腹に、心優しく無口で不器用なオスのハイイロオオカミだ。だが、当のルイはそんなレゴシを偽善的で気に食わないと言い、強引に夜間練習の見張りに任命する。

夜。誰もいない講堂裏の裏庭で、ひとり見張りをしていたレゴシの前に現れたのは―――
小さな白いドワーフウサギの女子生徒・ハル。

その匂いを嗅いだ瞬間、レゴシの体を本能が駆け巡る。
我を忘れて襲いかかり、気付いた時には、彼女を両腕に抱きすくめていた。
腕の中で聞こえる鼓動が自分のものか、彼女のものかもわからない。
しかしこのハルと、そして自分の本能との出会いが、静かで穏やかだったレゴシの人生を大きく変えていく。

彼女へのこの感情は、恋なのか? それとも食欲なのか?

オスとメス、肉食獣と草食獣。
それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながら、悩めるレゴシの青春がいま始まった―――

STAFF

原作:板垣巴留(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
監督:松見真一
脚本:樋口七海
キャラクターデザイン:大津直 
CGチーフディレクター:井野元英二
美術監督:春日美波 
色彩設計:橋本賢
撮影監督:古性史織 蔡伯崙
編集:植松淳一 
音楽:神前暁(MONACA)
制作:オレンジ

CAST

レゴシ:小林親弘
ハル:千本木彩花
ルイ:小野友樹
ジュノ:種﨑敦美
ジャック:榎木淳弥
ミグノ:内田雄馬
コロ:大塚剛央
ダラム:小林直人
ボス:下妻由幸
カイ:岡本信彦
サヌ:落合福嗣
ビル:虎島貴明
エルス:渡部紗弓
ドーム:室元気
キビ:井口祐一
シイラ:原優子
アオバ:兼政郁人
エレン:大内茜
ミズチ:山村響
レゴム:あんどうさくら
ゴウヒン:大塚明夫
市長:星野充昭
オグマ:堀内賢雄

楽曲情報

◆オープニングテーマ ALI「Wild Side」初回生産限定盤


 
リリース日:2019年11月27日
価格:1980円(税込)

◆エンディングテーマ YURiKA「Le zoo」アーティスト盤

リリース日:2019年11月20日
価格:1,500円(税込)

公式サイト
公式Twitter(@bst_anime)

(C)板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会
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