神谷浩史さんカヴァーアルバム第2弾『CUE』発売記念インタビュー|前作『ハレロク』と合わせてKiramuneメンバーの楽曲を網羅!カヴァー楽曲制作の大変さを再認識した本作に込めた想いとは?
音楽活動10周年を迎えた神谷浩史さんが、Kiramuneのレーベルメイト&自身の曲をカヴァーした『ハレロク』から約4年ぶりとなるカヴァーアルバム第2弾『CUE』を、2019年12月25日(水)にリリース!
今回のカヴァーアルバムでは、前作でカヴァーできなかったCONNECT、岡本信彦さん、Trignal、吉野裕行さん、SparQlewの楽曲と、自身の「GLORIOUS TIME」をカヴァーしています。
本稿では、神谷さんに伺った、本アルバムに込められた想いや制作エピソードなどをご紹介します!!
1作目でできなかったKiramuneメンバーのカヴァーや、アルバムタイトルに込められた想い
――まず、4年ぶりにカヴァーアルバムをリリースする理由や心境を教えてください。
神谷浩史さん(以下、神谷):『ハレロク』を作らせていただきましたが、その後、KiramuneにSparQlewも加入したし、まだカヴァーしていない他のメンバーもいたので、そこにも着手できたらいいなと思いました。
あと、先日行われた『Kiramune Music Festival ~10th Anniversary~』(通称、キラフェス)に、久しぶりにCONNECTが帰ってきて、「CONNECTの曲、やっぱりいいな」と思ったので、その中で特に一番お気に入りの「Say Hello」をカヴァーさせてもらいたいなと。
そこで今回、カヴァーさせていただきました。
――『ハレロク』をリリースした4年前と、今回またカヴァーアルバムをリリースするにあたって心境の変化などはありましたか?
神谷:心境の変化は特になくて。
カヴァーアルバムに限りませんが、僕自身が何をしたいという希望よりも、ファンの皆さんがこの曲を歌ったら喜んでくれるかなとか、カヴァーさせてもらったメンバーはどう思ってくれるだろうとか、いつも考えています。
――では、アルバム名の由来を教えてください。
神谷:タイトルは毎回、自分で付けているんですけど、仮タイトルで『ハレキュウ』と付けたまま制作していて。
そこからロック、バンドアレンジの曲が多いので、まず『ハレック』とか『ハレ69』というタイトルを考えていました。
ただ、『ハレロク』で一旦、『ハレ〇〇』というタイトルはやめていて、『Theater』でも隠しタイトルとして何枚目かわかるように『ハレナナ』と呼んでいたり、その次の『ハレハチ』となる『TOY BOX』でも、8をモチーフにしたものをジャケットに紛れ込ませていました。
だから今回も『ハレキュウ』の“ハレ”を取ろうということになって、僕ら声優になじみ深い「CUE」……スタジオの中にあるCUEランプが光ったのをきっかけにしゃべり始めるので、きっかけの「CUE」がいいんじゃないかと。
また、このアルバムが僕や皆さんだったり、Kiramuneメンバーだったり、いろいろな人にとって、何かのきっかけになってくれたらいいなとも思って。
年齢や経験を重ねていくと自分のことだけ考えるのではなく、メンバーが仕事をしやすい環境作りや、ファンの皆さんが僕を通してエンタメに目を向けてくれたり、他のものにも興味を持ってくれたらいいなと思うようになりました。
Kiramuneにはこれだけ楽曲がたくさんあって、メンバーも増えている中で、ライブで他のメンバーの曲をカヴァーすることもあるけど、そんな流れがもっとできたらいいなと。
好きなメンバーだけを応援したい人もいると思うけど、Kiramuneというレーベルに属しているアーティストや楽曲ならどれでも楽しめる、楽しませたいという想いもあって。
今回カヴァーすることで、例えばノブくん(岡本信彦さん)の他の曲を聴いたり、ライブを観に行きたいとか、他のアーティストにも目を向けてもらえたらいいなと思います。
もちろん、メンバーが僕の曲をカヴァーしてくれるのも……いつかメンバー全員でカヴァーベストアルバムが出せたらという願いも込めて、将来的な投資の意味でも(笑)。
楽曲のセレクト&セルフカヴァー「GLORIOUS TIME」を選んだ理由とは?
――今回収録した楽曲を選んだ理由やポイントを教えてください。
神谷:純粋に、僕がいい曲だなと思ったのが一番です。僕やスタッフさんたちで投票制にして、最終的に選びました。
SparQlewやTrignalの場合は、本来グループで歌っている曲をソロで歌うこと自体、むちゃなんですけど、彼らの曲の中でも1人でも歌える曲かつ、収録曲全体のバランスを見て選んでいます。
――選んだ楽曲を歌っているメンバーには、話をされましたか?
神谷:もちろんしました。基本的にはKiramuneのスタッフからそれぞれのメンバーにOKを取っていますが、現場で会った時、「今度、カヴァーさせてもらうから」と話しました。
――セルフカヴァーした「GLORIOUS TIME」を選んだ理由は?
神谷:音楽活動10周年を迎えたし、リスタートの意味で、最初は「START AGAIN」を候補曲として考えていました。
ただ、リアレンジしたものが、割と思い詰めた感じのリスタートで(笑)。
そこで、「START AGAIN」を彷彿させるような、明るい雰囲気の「START AGAIN 2」みたいな新曲を作れないかと思ったものの、元々のメロディーラインが明るくないので、まったく印象が違うものにするのは難しいと断念して。
再考するにあたって、MUSIC CLIP COLLECTION“ハレノエ”のオーディオコメンタリーでの企画として、ツイッターで「どのMUSIC CLIPが好きですか?」とアンケートをとらせていただいた結果、「GLORIOUS TIME」が1位になって。
じゃあ、「GLORIOUS TIME」をカヴァーしようかと。そうなると「もう1回、MUSIC CLIPを撮影しなきゃいけないけど、どうしようか?」と考えつつ、「また河谷(英夫)監督に撮ってもらえば、きっと大丈夫だよ」と監督イジメ……ではなく、可能性を信じて(笑)。
実際、ライブで歌っても盛り上がる曲ですし、今回はバンドアレンジにして、コーラス部分も作詞家の喜介さんに「今の喜介さんの気持ちでコーラスの英語歌詞をアレンジしてもらっていいですか?」とお願いして、新しい歌詞をいただいて歌い直しました。
完成形に近づいた「GLORIOUS TIME -10th anniversary-」MUSIC CLIPは、ファンも参加して前作を超える☆
――『ハレロク』の時もレコーディングが大変だったとおっしゃっていましたが、今回はいかがでしたか?
神谷:過去の曲をライブで歌うことはありますが、レコーディングとなると違うんですよね。
「GLORIOUS TIME」は、今年の『キラフェス』でも披露させていただいたので、記憶にも新しいんですけど、歌ってみて、結構テクニカルな曲だったんだなと改めて思い知って。
ライブ後に一回仮歌という形で、練習で歌ってみたけど特にサビの部分が難しくて、ディレクターに「この曲難しいですね」と言ったら「そうだと思います」と。
CONNECTの「Say Hello」も作曲されている渡辺拓也さんの作曲で、「いい曲だからこそ、制作側も細かいところまでこだわっているので、技術的にも難しいと思います」とおっしゃっていました。
そんな中でも、オリジナルアレンジから変えるにあたって、より僕がアプローチしやすい形にしていただいて、いっぱい練習したので、レコーディング本番はスムーズにできたと思います。
今回は、コーラスの部分を会場全体で、みんなで口ずさむようなニュアンスでというディレクションがあったし、ライブで僕が思ったことを喜介さんに伝えて歌詞にしていただいたもので。
ディレクターさんも、実際にライブで歌っている様子や会場全体の雰囲気もわかってくださっているので、その雰囲気を足した形で、僕の中でより完成形に近づいた気がします。
――「GLORIOUS TIME -10th anniversary-」のMUSIC CLIPは、神谷さんの衣装もセットもすべて白く、たくさんの方の笑顔の映像や、ラストのすごい人数の大合唱が印象的でした。
神谷:河谷監督が2パターンの案を用意してくださっていて。
1つは、レストランでシェフに扮した僕が料理を作ってもてなすという。「GLORIOUS TIME」は誰かの喜びが自分の喜びという曲なので、誰かを喜ばせるという切り口でした。
そして今回採用されたのは、以前、「GLORIOUS TIME」で映像を撮影した時と同じように、真っ白いセットの中で僕が立っているというアイデアで、正直「ウソだろ?」と思いました(笑)。
画期的に違ったのは、ファンの皆さんにも撮影スタジオにお越しいただいて。募集条件は全身白い服装で、こちらが指定した日時と場所に来られる方というむちゃくちゃなお願いでしたが、おかげさまでたくさんの方にご協力いただいて感謝しています。
実際、河谷監督が推していたのもこちらの案で、前作の映像が一番評判が良くて、その映像を撮影した人が更なる挑戦をするという試みも面白かったです。
――ジャケットは、ギターのハードケースに貼ってあるステッカーの中に神谷さんが紛れていましたね。
神谷:それぞれの曲に合わせた雰囲気の衣装を用意していただいたり、アイコンを制作してもらいました。例えばCONNECTなら、メガネと帽子とか、オリジナルを歌うアーティストのイメージも混ぜ込んで、6パターンの衣装で撮影しました。
前回の『ハレロク』でも“ロク”から“ロック”の連想で、ロックのLP(アナログレコード)のジャケットっぽいものを作ってもらいましたが、今回もステッカーという形で踏襲しています。