TVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』慎導灼役・梶裕貴さんインタビュー|「新しい作品が生まれている自信があった」
近未来の日本を描いたSFとして、高い人気を誇るアニメシリーズ『PSYCHO-PASS サイコパス』。現在、TVアニメ第三期となる『PSYCHO-PASS サイコパス 3』が、フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送中です。
そこで、本作で慎導灼役を務める梶裕貴さんにインタビューを実施。最終回間近の第三期を振り返っていただきました。梶さんから見た、慎導灼とは? 『PSYCHO-PASS サイコパス』とは?
いちファンとして振り返る『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズ
――そもそも、TVアニメ第三期が発表されたのは今年3月。劇場版『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に__』の初日舞台挨拶でした。関智一さんと一緒に、梶さんと中村さん(中村悠一/炯・ミハイル・イグナトフ役)も登壇されましたが、このときのことを覚えていますか?
慎導灼役・梶裕貴さん(以下、梶):もちろんです。新シリーズ放送と、メインキャスト情報まで解禁されたんですよね。とても光栄な気持ちであの場に立っていました。
あのときはネタバレなので言えなかったんですけど、メインキャラクターが一新されるということで、みなさんが愛してきたキャラクターやチームがいなくなってしまうのではないかと思うじゃないですか。
そこを寂しく思われてしまうかなという部分はありましたが、アフレコが進むにつれてむしろ、そのオリジナルメンバーの皆さんも含めて「また新しい作品が生まれているな」という自信に変わっていきましたね。
――では、プレッシャーというと……どうでしょうか?
梶:プレッシャーは感じていました。ですが選んでいただいた以上、灼は自分にしかできないと思って臨ませていただきました。
――梶さんは、いち視聴者として『PSYCHO-PASS サイコパス』がお好きだったとか。
梶:はい。なのでオーディションに合格して、参加できることがすごく嬉しかったです。『PSYCHO-PASS サイコパス』には、第一期というベースがあり、そこから新たなテーマが描かれる第二期、そして劇場版があっての第三期じゃないですか。
共通した世界観はあるけれど、それぞれ見せ方が大きく違う。そんななかで、今回はとりわけ刑事ドラマ感が強くなっているなと思います。
いままでのTVアニメの概念を壊す1時間アニメ。「さすがノイタミナ」という挑戦をされていて、僕自身すごく刺激を受けました。
――それに、第三期では鎖国を解いた日本という大きな変化がありました。
梶:これまで鎖国状態でしたからね。それが開国することで移民が入ってきて、新しい文化や宗教も入ってくる。そうなると、絡み合う人間関係も変化し、こうも作品世界の見え方が違ってくるんだなと驚きました。
新しい一係のチームワークが徐々に出来上がってくる感じも好きですし、狡噛(慎也)さんや宜野座(伸元)さんといった元一係メンバーが出てくるのも、作品ファンとして嬉しいところです。
――そんな本作で、梶さんが演じるのは監視官の慎導灼です。彼にはどんな印象を受けましたか?
梶:表面的な部分から深い部分までいろいろな印象がありますが、表面的なところを言えば「自分の声が出そうな顔をしているな」という親近感があります(笑)。だからこそ、“声を作る”ということを基本的には考えず、お芝居だけで勝負できる役柄ですかね。
それに、人柄としても共感できます。すべてが描かれていない以上、僕も知らない部分があるかもしれませんが、それでも第3話の「(ドミネーターで執行するかどうか)それを決めるのは人間であるべきです」という発言は印象的です。監視官であるべき人なんだなと感じた瞬間でした。
――演じる上で意識した部分はありますか?
梶:序盤は特に飄々としていて、頭も切れるしパルクールまでできて万能だなと思ってしまいますが…しばらくしてチームプレイを阻止されたとき、彼の必死な面が見え隠れするんです。そういった時に出る人間らしさを感じていただけたらと思いながらお芝居しています。
あとは、飄々としていながらずばりと核心を突くような面もあるので、説得力がないとまわりもついてこないんですよね。なので、そこは意識しました。とはいえ、そんな描写が合ったかと思えば、もやしラーメンを食べて急に太るなどギャグに振った部分も(笑)。
――視聴者としても印象深いシーンでした。
梶:あのくだりはオーディション原稿にもあったので、僕としても印象的です。しかも、アフレコの段階では絵ができあがっていなくて、放送されたものを観て「まさかここまで太るとは!」とビックリしました(笑)。骨太なドラマのなかで、ああいった見せ方ができるのもまたアニメーションならではの良さだなと思いましたね。
――あとは、小宮カリナに呼び出されて2人で話しているシーンも。オフだからかとくに優しい声色に聞こえました。「あなたに投票してよかった」と。
梶:まあ、灼がそう思ったんでしょうね(笑)。小宮カリナはそういう直感的なことを大切にする人だと思うんです。だから、シビュラに合わせて生きているにも関わらずとても人間臭い。
「シビュラがこう判断したから」ではなく「自分はこうだから」という政治をしてくれると思い、そういう言葉を送ったんだと思います。
――ちなみに、メンタルトレースという能力をもっているのも灼の特徴です。
梶:これも、僕自身すべてを把握できてはいないんですが…正直、最初は「ここまでできていいの?」って思いましたよね。
そういったところを含めて、塩谷(直義)監督には第1話の段階でいろいろと質問したんですが、意図的にはぐらかされてしまいました(笑)。ただ、メンタリストというのはあの世界でも、あくまでひとつの職業であって、超人的な能力ではないんですよね。