冬アニメ『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』津田健次郎×あおきえい×碇谷敦が1〜3話を振り返る|「3話のあのシーンは“完全無視”で挑んだ」
2020年のスタートを飾る冬アニメのなかでも、異彩を放つ『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』。アニメイトタイムズでは、放送前から密着し取材を行っています。
放送直前には、津田健次郎さん(名探偵 酒井戸&鳴瓢秋人 役)、細谷佳正さん(百貴 役)、あおきえい監督の鼎談記事を公開しましたが、オリジナルアニメゆえネタバレ厳禁。
本質に触れられずにいました。そこで、放送後インタビューも実施。今回は1〜3話について、振り返ってもらいます。お話を聞くのは、津田さん、あおき監督、碇谷敦さん(キャラクターデザイン)です。
津田健次郎×細谷佳正×あおきえい 鼎談記事はこちら!
冬アニメ『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』津田健次郎×細谷佳正×あおきえい 鼎談|「ハードルを上げてしまっていい。すごい作品です」 https://t.co/qNr8541sTM
— アニメイトタイムズ公式 (@animatetimes) January 5, 2020
本作における鳴瓢の立ち位置と役作り
――『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』は、現実と地続きになっている世界を描きながら、「イド」と呼ばれる架空世界も描かれるSFミステリです。そもそも、こういった世界観をスタッフやキャストとどのように共有したのでしょうか?
あおき:実は、そういった共有の機会は作っていないんですよ。だけど、役者さんたちは台本を読み、リハーサルVTRを観て感じ取ってくださったし、現場では絵コンテや設定を観て各々に理解していったと思います。
――そうなんですね。難しい世界観なので、勝手に打ち合わせの場があったのかと思っていました。
津田:なかったですね。監督がおっしゃていましたように、僕らは台本とリハVがすべてでした。あとは現場でやってみて、そこでいただいたリクエストを都度反映しながら「こういう世界なんだ」と掴んでいきました。1話完結という要素もありますし。
――区切って考えられる、というか。
津田:そうですね。とはいえ、難なく掴めたとは言えないものでした。
碇谷:僕は、デザインを頼まれた段階でシナリオを全話分いただけたんですよ。それを読んで理解しました。作画に入ってくれる人たちにはなるべく全部読ませて、僕らのなかで共有出来るようにはしていましたね。だから、理解しやすい環境ではあったんです。
――最近は、シナリオも並行して制作されることが多いですもんね。言ってしまえば、出来上がっているところまでしか読めない。
碇谷:最初から全話読めるなんてあまりないことなので有り難かったです。ただ、名前が覚えられないんですけどね(笑)。
津田:ややこしい名前でしたからね(笑)。
――最初は苦労しそうです(笑)。ちなみに、津田さんは放送前のインタビューで「オーディション用の原稿を読んだとき刺激的なことをやろうとしている匂いがした」と本作に興味を示したことを明かしてくれましたが、具体的にはどんなセリフだったんですか?
津田:第3話の、鳴瓢が冬川(冬川浩二/平川大輔さん)を追い込むシーンでした。あとは富久田保津も受けていたので、第2話の「ここから入った風がこっちに抜けるとき、世界は少し綺麗になる」というセリフもありました。
かなりドラマチックな、そのキャラの核となる部分がオーディション原稿になっていたので、惹かれましたね。
――じゃあ、そこで酒井戸と鳴瓢は1人2役だとわかっていたのでしょうか?
津田:はい。オーディションの段階で同じ人物だということはわかっていたと思います。
あおき:セリフも両方いれていました。
――では、初期段階から両方の役作りをされたかと。どのように演じ分けましたか?
津田:明確に変えるかどうかは、現場で聞いてみました。声質や高さも変えたほうがいいんじゃないかと思っていましたので「いや、多少変わっているくらいのイメージでいいですよ」と現場で指示が飛んできたので、そこから膨らませましたね。
一番に意識したのは、鳴瓢が本体だということ。酒井戸から始まる作品ではありますが、酒井戸はあくまでも鳴瓢のアバターですし、中核を担うのは鳴瓢の抱えているドラマなんですよね。なので、柱としていたのは鳴瓢でした。
――鳴瓢が幹で、酒井戸は枝葉のような。
津田:そうですね。あとは、アニメーションですからビジュアルがすごく大事です。鳴瓢の場合、ガサッとした感じというか、“無精髭感”はあったほうが良いなと考えました。一方の酒井戸は、第1話がわかりやすいですが軽やかな人じゃないですか、とにかく前へ前へ進んでいく感じが大事かなと。
――ある種対照的なんですよね。
津田:軽やかな酒井戸に対し、鳴瓢はコックピットか独房から動かないですからね。程遠いところにいるという感覚ではあります。