映画『ジョーカー』BD&DVD発売記念:吹替版 主人公アーサー役 平田広明さんが語る作品の魅力/インタビュー
人気アメコミ(DCコミック)『バットマン』の悪役キャラ、ジョーカー誕生を描き、2019年に公開された映画『ジョーカー』。
そのBlu-ray&DVDが2020年1月29日にリリース(デジタル先行配信中)! 今回のパッケージには劇場公開時にはなかった日本語吹替版も収録!
主人公のアーサー(ホアキン・フェニックス)を演じた声優・平田広明さんに作品の印象や吹替秘話などについて語っていただきました。
オーディションで演じるまで作品内容もホアキン役も秘密!? ホアキンのお芝居のすごさに重圧も
――劇場公開時にはなかった『ジョーカー』の吹替を担当されることになった感想は?
アーサー役 平田広明さん(以下、平田):最初にオーディションのお話をいただいたんですけど、映画の吹き替えということしか知らなかったんです。
公開前であり、セキュリティの問題で内容を知らされない中、オーディション当日、2~3シーンの原稿を手渡されて。
トイレで母親から実の父親だと言われていたトーマス・ウェインに殴られるシーン、初めて人前でコメディをやるシーン、映像を見て主人公のアーサーを演じるのがホアキン・フェニックスで、『ジョーカー』という作品であることを知りました。
その後声を務めることになり収録日が(2019年)10月13日に決まって、既に10月4日から日本で劇場公開が始まっていたので、実際に観に行きました。じわじわと話題になっていた作品だったので、収録日には僕も音響監督もさらに気合が入りました。
もし吹き替え収録前に今と同様の人気だったらプレッシャーでつぶれていたと思います、僕はね。
その後、R指定という縛りがある中で類を見ないヒットを記録しましたが、僕自身は収録が終わっていたので、「よーしもっと盛り上がれ!」と思っていました。
近年まれに見る評判でしたし、今回の発売に吹替版が収録されることで、吹替に対して多くの人が興味を持ってくださっているんだなと改めて感じました。
でも「この作品は吹替がなくてもいいんじゃないの?」と思ったくらい、ホアキンのお芝居がすごくて。周りの評判よりもそのほうがプレッシャーは大きかったです。
今作のポイントの1つである笑いの芝居は体力勝負!?
――ホアキンの芝居を見て、吹替前に準備したことや臨むにあたっての心構えは?
平田:やせてないですから。肉体的な準備は特にしてません。この作品だからと特別なことはしていませんが、「笑い」の芝居に関しては体力勝負になるなとわかっていたので、前日のリハーサルの時点では飛ばし過ぎないように心がけました。
収録は2班に分けて、土日の2日間で収録される予定でしたが、土曜日組の収録が台風上陸により無くなってしまって。
リハーサルの為に土曜日のスケジュールを空けていましたが、停電したりと不測の事態が起こるかもしれないと思って、前日の金曜の夜からリハーサル映像を見て、真夜中じゅうずっとホアキンと一緒に笑ってました。
――ホアキン演じるアーサーの笑いは感情ごとにタイプが違うので、それを表現する難しさもあるのでは?
平田:ゼロから作り出すのは大変だと思いますが、僕はホアキンの演技をなぞるだけなので。
体力的な大変さと、複雑な笑い方をしているので、笑いのタイミングをどれだけ拾うという難しさはありますが、単純に合わせるのは演技というより職人の世界であり、回数を重ねれば合うようになりますから。
それに特別な笑いではなく、誰もが経験したり、どこかで見たことがある笑いですよね。
ただ体力勝負なので、笑いのシーンはすべて後に回してもらいました。シーン数的にはそれほど多くないんですけどね。カウンセラーの前と、初めてマイク前に立った時と、地下鉄と襲われた時と、部屋の中で2~3回くらい。他にも病院と……やっぱり多いか。
まとめてやっていると声が出なくなるんですよね。高い音が出なくなって。数分、ひと呼吸置けばまた出るようになるけど、そのうちにまた出なくなって、笑う、休むの繰り返しで。笑い絡みのシーンだけで1時間くらいだったかな。