映画『ジョーカー』BD&DVD発売記念:吹替版 主人公アーサー役 平田広明さんが語る作品の魅力/インタビュー
ヒットの理由は格差や不満を代わりに背負うアーサーに共感したのでは?
――この作品では貧困・格差などの社会問題も描かれていますが、世界中でこの作品が受け入れられた理由はどこにあると思いますか?
平田:監督も挑戦しているとおっしゃっていました。みんなアーサーな部分とジョーカーな部分を持っていると思うんです。だから共感できる点もあるんじゃないかなと。
日本は食べものに困らないし、治安も良いし、世界の中でも恵まれた稀有な国だと思いますが、格差や不満もあるわけで、それを代表して背負ってくれているのがきっとアーサーなのでしょう。
気が弱くて優しい男が貧困や格差社会で精いっぱい生きていた時に同僚から銃を押し付けられ、地下鉄でボコボコにされてスイッチが入ってしまったわけですが、でも一気に変わるのではなく、アーサーとジョーカーが共存する時間があって、終盤ではアーサーがいなくなってしまう。
あのジョーカーになるシーンがカッコよくて好きなんです。誰でも人や状況に対して怒りを感じることがあるけど、不幸な環境のアーサーが代わりにやってくれて。
またアーサーよりも僕らが少し上から目線で見られるところもいいのかも。題材がアメコミで、架空の登場人物でありながら、あれほどのリアルな物語が描かれている意外性もあるのかな。
『タクシードライバー』へのオマージュも。ロバート・デニーロ以外考えられない役と演技にため息
――この作品はヒーローものではなく、正義と悪という概念はありませんが、最後に名声と富を手にしたスターのマレーと対峙するシーンは縮図にも見えました。
平田:1つの象徴として登場させているのかもしれませんが、どちらかというと市長候補のウェインのほうが悪みたいですよね。
『タクシードライバー』へのオマージュの部分が強いのかなと。アーサーがウェインに手を掛けなかったところも興味深いところでもあります。
――マレーを演じた名優、ロバート・デニーロのお芝居はいかがでしたか?
平田:すごすぎて、ため息すら出ませんでした。彼の作品をたくさん見ていますが、一番好きだったのは僕が吹替させてもらった『ミート・ザ・ペアレンツ』シリーズです。
僕はデニーロ演じるお父さんの娘と結婚しようと奮戦する男、グレッグ役でしたが、デニーロってこんなコミカルなお芝居もするんだと驚かされたし、彼自身も製作に関わっていたので、こんな映画が作りたかったんだなと感じましたね。
今回の野島昭生さんをはじめ、樋浦勉さんなど様々な方が吹替を担当されていますが、皆さんプレッシャーを感じないのかな? すごく巧みで難しくもあるけど、やりがいがある俳優さんだなと思います。今回のマレーも彼以外想像つきません。
――最後に皆さんへメッセージをお願いします。
平田:すごい話題作になり、人気のあるキャラクターで、素晴らしい役者さんの声を吹き替えるということにとても緊張しましたが、僕の中でも思い出深い作品になりました。
確実に僕の代表作の1つになると思います。映画館でご覧になった方も、今回の日本語吹替版を待ち望んでくださった方も思う存分、楽しんでいただきたいと思います。
映画『ジョーカー』作品情報
2月7日(金)よりIMAX(R)、ドルビーシネマにて再上映決定
デジタル先行配信中
1/29発売【初回仕様】ブルーレイ&DVDセット 4,980円 (税込)
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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