TVアニメ『七つの大罪 神々の逆鱗』インタビュー第2弾 梶裕貴さん&髙木裕平さん|1クール目で明らかになった謎とこれまでのシリーズのつながりをおさらいすると楽しさUP!!
1クールの中で愛を知り変化する、4パターンのゴウセルが印象的☆
――では、1クール目で印象に残っているシーンはありますか?
梶:原作者の鈴木央先生が、アニメオリジナルで肉づけをしてくださったというのもあって、メリオダスのエリザベスへの思いが語られ、過去を振り返る第10話「それが僕らの生きる道」は印象的ですね。
あそこまで淡々と事実を告げ、同時に感情をにじませるメリオダスは、今までなかったと思います。
その直前である第9話で明かされる「エリザベスが記憶を取り戻せば3日で死ぬ」という衝撃的な事実を、メリオダスは当然知っていたわけで、その覚悟の中で戦ってきていて。
そして、それが最悪の方向に進んでしまうことをみんなに伝えるというのは、見ていて…演じていてとてもツラかったです。メリオダスの気持ちを考えれば、もうツラいなんてものじゃない。絶望ですよね。
でも、その話を聞いて胸を痛めている〈七つの大罪〉の面々の表情などを見ていると、「ああ、仲間なんだな」と改めて感じたりもしました。
――バンが何度もエレインを失う痛みについての話を、メリオダスと交わした後での「3日で」という展開は、胸が苦しくなりました。
梶:央先生のニクいところですよね、畳み掛けてくる感じが。
それぞれのキャラクターに大切な存在がいるということが、今回も違う角度で描かれていました。当然、僕はメリオダスのエリザベスに対する気持ちを一番に考えて、今まで演じてきました。
なので「ついにそのシーンがきてしまったか」という、すごく胸にくるものがありましたね。
髙木:僕は、なかなか1つに絞れませんが、今回いろいろなゴウセルを演じさせていただいて。
今までのゴウセルはもちろん、魔術士ゴウセルが僕を通してしゃべっているゴウセル、生まれたばっかりのゴウセル、心を取り戻して少し成長したゴウセルと、4パターンも演じさせていただいたことが印象深いです。
しかもそれを、1クールの短い時間の中で切り替えて演じなきゃいけない、成長しなきゃいけないということで、ゴウセルの成長スピードにてんてこ舞いになりながら、僕も熱意を持って演じさせていただきました。
ナージャと、魔術士ゴウセル、どちらも好きなので、どちらかを選べと言われても選べないくらいで(笑)。
梶:いいよ、別に選ばなくて(笑)。
髙木:本当に、魔術士ゴウセルは、僕が演じるゴウセルに深い愛を持って接してくれて。(しみじみと)ありがとうございます、という感じです。
ナージャからも、いろいろなことを教えてもらって。特に人を「愛する」ことが今までなかったので、一番大きな要素で。家族に対する愛情と、恋人に対する愛情という2つの「愛の形」を覚えたというのは、とてもうれしいです。
ここから先は、仲間に対する愛情がどんどん深くなっていくと思うので、自分の中ではそこを磨いていきたいなと思います。
梶:今回、ゴウセル回はいろいろな理由があって、高木くんが一人きりで録る感じだったので、それを生で聞けなかったのは残念でしたね。
そのエピソードの以前と以後では、いろいろな愛を知ったり、取り戻したりを経て、人形から人へと変化している。すごく難しいお芝居だなと思いました。ゴウセル回の一週前に行われていた、どういう方向性で行くかというテストの時には立ち会えて。(髙木さんが)自分の中でいろいろとプランを考えてきた上で、それを試して、演出を受けてまた変えて。当たり前の作業なのかもしれないですけど、でもすごく難しいところだったと思うんですよね。
原作で、一番最初にゴウセルが登場した時、衝撃を受けましたね。見た目からして男性なのか女性なのか、性別を超越している雰囲気でしたし、声に関しても、高いのか低いのか、固いのか柔らかいのか、まったく想像できないキャラクターだったんですよね。
でも、この現場で初めて髙木くんの声を聞いた時に「なるほどな、よくこの役者さんを見つけ出したな」と。
ゴウセルは最初、“人形”として感情を省いた、中身があってはいけない人物。けれど、見た目はとてもきれいですし(笑)、ミスリードさせないといけない部分もあるわけで、その“表面的な”お芝居を絶妙な加減で演じなくてはいけないんです。それを高木くんは見事にやってのけていたんですよね。今のゴウセルの変化を聞いて改めて感じました。
今回のゴウセルを演じるにあたって、彼が現場で苦戦していたことも知っていますが、だからこそ、ゴウセルを上手く演じられる役者さんは高木くんしかいないと思いますし、本当にゴウセルと縁が深い役者さんなんだな、と強く思いました。
毎週の物語の展開、演出に合わせて、そのさじ加減を足したり引いたりしながらトライしている髙木くんの姿を通して、ゴウセルが人間に近づく感覚をリアルタイムで感じられたような気がしています。
髙木:ありがとうございます! すごくうれしくて、切り取って持ち帰りたいくらいです。
一同:(笑)。
――ちなみに、今のお話について、髙木さんは実際にどんなディレクションを受けたのでしょうか?
髙木:僕の演じるゴウセルが、元々の魔術士ゴウセルを通してしゃべるというシーンで。
梶:まずは、(藤原)啓治さんがどういう演技プランでくるか、というところだったよね。
髙木:そうですね。啓治さんの声がなかったころにまず僕がトライしてみて、あとは啓治さんが来てから考えようということになったんですけど。
不思議な、穏やかで何を考えているか分からなくて、でも、中身はものすごく持っているという(藤原さん演じる)魔術士ゴウセルを表現する上で、僕は「何かをやろう」としちゃっていて。
それが余計だったりというところを、ディレクションでいただきました。
――髙木さんから見て、メリオダスの演技で印象的なシーンは?
髙木:まず、この先の話数が思い浮かんだんですけど、(梶さんに向かって)アサルトモードのメリオダスとゼルドリスの演じ分けがものすごく大変じゃないですか!?
どう演じているのかな、と思いましたね。
梶:最初は(演じ分けを)どうしようかなと思ったし、聞く人によっては同じに聞こえちゃうかなと思ったけど、演じている側としては一回役をつかんじゃうと特に気にならなくて。収録も、そのままの流れで二キャラ一緒に録っていましたし。
髙木:していました! 会話するシーンも、そのまま演じていて。「全然違う!」と思って、本当にすごいです。
梶:ありがとう、良かった(笑)。
髙木:キャラの系統が違えば演じやすいと思いますが、根底こそ違えど、どちらも低めのトーンを使う感じで。
その中で、メリオダスのほうがちょっとその幅が広かったり、細かい調整をされていて。「これぞプロや、プロの鑑や!」と、ボタボタと“目からウロコ”でしたね。
一同:(笑)。
髙木:目を閉じていても「今メリオダスだ、今ゼルドリスだ」と分かるレベルで、演じ分けが素敵すぎました。
梶:いやいや、うれしいです。
――視聴者としても、メリオダスもゴウセルも、演じ分けがすごいなと思います。
梶:どういう方向性なのかが決まってしまえば、あとは自分の中でのさじ加減。僕の中では全然違います。そもそも喉の使い方が違うので、絶対同じにはならないな、という感覚はあります。