劇場版『ゴブリンスレイヤー』梅原裕一郎さんインタビュー|1日がかりの収録のメリットと改めて感じた声優陣の「あうんの呼吸」
2018年10月にTVアニメ化された人気作『ゴブリンスレイヤー』の新作エピソード『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROWN-』(以下、ゴブスレGC)が2020年2月1日より劇場公開中です。
『ゴブリンスレイヤー』(SBクリエイティブ「GA文庫」/原作:蝸牛くも)は、ゴブリンを打ち倒すことだけに命を燃やす主人公を描いた異色のファンタジー作品で、2017年には「このライトノベルがすごい!」の新作部門で1位を獲得。
そんな『ゴブリンスレイヤー』の最新作『ゴブスレGC』について、主人公のゴブリンスレイヤーを演じる梅原裕一郎さんに、本作に魅力や見どころについて語っていただきました。
イベントの台本で知った劇場用アニメ化!? 作品の印象は「重厚で硬派」だけど「共感」も
――今回の劇場用アニメ化が決まった時の感想は?
ゴブリンスレイヤー役 梅原裕一郎さん(以下、梅原):『ゴブリンスレイヤー』のイベントに出演した時、台本を目にしたら劇場用アニメになると書いてあって、そこで初めて知りました。
ただ、TVシリーズの終わり方からも「いつか続きができたらいいですね」と、打ち上げやイベントなどでお話ししていたので、続編を演じられることはうれしかったですし、それだけたくさんの方が待ち望んでくださったんだなと実感できた瞬間でもありました。
――TVシリーズを通じて感じた作品の印象を教えてください。
梅原:浮ついたところのない、重厚で硬派な作品だなと思います。アニメで初めて作品に触れた方は、まずゴブリンスレイヤーというキャラへの疑問や興味を抱いた方が多いと思いますが、彼のことを知るにつれて、職人気質なところやゴブリンとの因縁、仲間たちへの信頼などが見えてきて、親しみや共感を持ってもらえたらいいなと。
最弱なはずのゴブリンが集団で、知恵をつけると脅威の存在に
――ほとんどのキャラに固有名詞がなく、ドワーフやエルフなど種類や属性で呼ばれる点や、作品全体に漂う空気感やバトルでの戦略性など、テーブルトークRPGの世界観そのままですよね。
梅原:*固有名詞が出てこない作品は珍しいですし、ファンタジー小説やゲームなどできっと誰もが一度は触れたことがある、エルフやドワーフなどが登場する剣と魔法の世界って心をつかまれると思うんです。
特に男性の方は好きな世界観で、ドキドキわくわくするのではないでしょうか。
――ファンタジーでは下級モンスターとして扱われているゴブリンをフィーチャーした作品は見たことがありません。
梅原:確かにファンタジー作品ではドラゴンや魔術師など強大な存在をメインに描かれることが多いですよね。でも弱いはずのゴブリンが集団で襲ってくると手がつけられない強さになるところがやっかいで。
しかも経験や指導を得て知恵をつけたり、成長していくので、底知れぬ恐怖を感じます。またゴブリンたちがどこから来て、なぜ成長できるのかなど謎も多くて。そこがおもしろいし、興味深いところでもあります。
かぶとで表情は見えないが人間臭いのがゴブリンスレイヤーの魅力
――ご自身が演じるゴブリンスレイヤーについての印象をお聞かせください。
梅原:最初は何を考えているのかわからなく、なぜゴブリンをせん滅することに全身全霊を傾けるのか…など、一見捉えどころがないキャラと感じられるかもしれません。
でも故郷を滅ぼされ、お姉さんを殺された怒りが彼の行動原理であり、感情が漏れる時もあります。仲間をさりげなく気遣うところなど、そんな人間臭さが垣間見えるのが魅力かなと思っています。
――鉄かぶとで表情がほとんど見えませんが、演じる上で難しく感じることは?
梅原:最初がドラマCDだったこともあり、映像がない状態がスタートでしたし、日常会話では想像しながら演じることができたので、表情が見えないところに難しさはさほど感じませんでした。
ただアニメの終盤で感情がのったシーンになると、どれくらい感情が入っているのかわからなくて。見た目的な変化は鉄かぶとのすき間から目が光ることしかないので(笑)。
(C)蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤーGC製作委員会