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冬アニメ『へやキャン△』監督・シリーズ構成インタビュー

冬アニメ『へやキャン△』神保昌登監督&シリーズ構成・伊藤睦美氏インタビュー│短いエピソードが重なりラストはひとつの大きな話に!?

2020年1月から放送がスタートしたTVアニメ『へやキャン△』。2018年に放送されたTVアニメ『ゆるキャン△』のスピンオフとなる本作は、主に野クルのメンバー、各務原なでしこ(CV.花守ゆみり)、大垣千明(CV.原紗友里)、犬山あおい(CV.豊崎愛生)が活躍するショートアニメ。

メインスタッフには、TVアニメの制作に携わったチームが集結しており、約2年ぶりとなる『ゆるキャン△』シリーズが描かれます。

この度、神保昌登監督、シリーズ構成・伊藤睦美氏にインタビューを実施。『ゆるキャン△』制作時のエピソードから、今作における作品のポイントなどをお伺いしました。

30分の『ゆるキャン△』とあまり変わらない感じ

――TVアニメ『ゆるキャン△』が大ヒットしましたが、お二人はその頃から作品に参加されていましたね。

伊藤睦美氏(以下、伊藤):『ゆるキャン△』のときは、野クル担当というか、にぎやかな回を任されることが多かったのですが、打ち合わせが長丁場で、毎回ぐったりしながら帰っていた記憶があります(笑)。

――なんでそんなに長くなったんですか?

伊藤:アニメでは原作にない部分を足していたりもしたので、余計に時間がかかりました。それと私は、BD&DVDの『へやキャン△』の特典話数も担当していて、そこでは原作のネタを頂きつつオリジナルに仕立てていくということをやっていたので、それも時間がかかりました。

――その特典話数の流れから、今回のシリーズ構成につながったんでしょうか?

伊藤:だと思います。

――神保監督は『ゆるキャン△』ではOPアニメーションを担当していました。

神保昌登氏(以下、神保):本当に人気が出て良かったなぁという感じです。OPはあまり原作とは関係ないところでオファーをいただきました。でも作ったのが2年前のことなので、もうあまり覚えてないですけど(笑)。

――亜咲花さんの「SHINY DAYS」のようなソウル・R&Bは、アニメの主題歌としては珍しいですけど、大変ではなかったですか?

神保:むしろ楽でした。テンプレではないほうがやっていて面白いですし。

――文字を絵に入れ込んだりしていたのも面白かったですよね。

神保:アメリカンテイストな曲だったので、そこに漢字という情報が入っちゃうのは合わないなと思ったんです。歌詞は日本語だったんですけどね。

でも、ああいう文字ってアニメだと編集のほうで入れてしまうことが結構多いんです。ただ、そこで一旦作業を放棄してしまうと、最終的な仕上がりまでわからないので、スタッフクレジットをアルファベットにして置かせていただいたんです。

そのほうが最終的な仕上がりまで想定して作れますし。まぁ、読めないとは言われましたけど(笑)。

――確かに(笑)。

神保:でも、みんな読めなくてもいいと言ってくださったんですよね。出る方全員に、一瞬しか出ないんですけどいいですか?って確認はしてもらっていて。

――作品として良いものを、という気持ちが強い現場だったんですね。今回の監督をやることになった経緯は?

神保:ショートアニメという点や、テイストに変化を付けたいというところでのオファーでした。何か変化がほしいということだったので、協力しますと言って参加させていただいた感じです。

――では、これまでの本編最後に付いてた『へやキャン△』の雰囲気というのは?

神保:基本的には踏襲していないというか、僕もちゃんとは見ていないんです。変化がほしいということだったので、あえて流し見程度にしたというか。

実際、変化がすごく出ているわけではないと思うんですけど、今回は伊藤さんが脚本に入ってくださるというところで、あまり先入観を持ちたくなかったというか。

たとえば僕がスタッフに指示をするときに、前はこうだったからこうしてくれとか、原作がこうだからこうしてというのはしないほうがいいと思っていたんです。そこにしか拠り所がなくなってしまう可能性があるので。

だからインプットを長くしないという意味で、あまり見ないという選択をしました。

――今回の制作はいかがでしたか?

伊藤:みなさんと打ち合わせしている中で、『くいしん坊!万才』を見終わったあと、美味しそうだなっていう感想を持つみたいに、『へやキャン△』を見終わったら、ああ、かわいかったなって思ってもらえるような作品にしようという方向性で、だんだんまとまっていった気がします。

――監督も読後感のようなものを大切にしつつ、OKを出したのですか?

神保:どこでOKを出すかの話になると、自分が面白いと思ったかどうかしか考えてない気がします。読後感って人それぞれなので(笑)、ちょっとわからないんですよ。だからギリ面白いくらいのラインでオッケーを出していました。

――『ゆるキャン△』の監督であった京極義昭さん(スーパーバイザーとして参加)や、原作のあfろ先生とはどんなお話をされましたか?

神保:京極さんは脚本会議にも参加してくれましたし、アフレコやダビングにも来てくださっていました。シリーズ全体を統一するために、キャラクターがブレていないかとか、前シーズンはこんな感じで話してましたっけ?みたいな確認ですね。

あとはキャンプグッズや場所など結構こだわりのポイントがあるので、その知識も京極さんは研究して持っていらしたので監修してもらいました。

あfろ先生は原作チェックというか、今回はオリジナル要素も多いので、細かいところまで見ていただいています。ただ先生はすごくおおらかで、2話からほぼ部屋にいないっていうのもOKもらいました。あと、オリジナルで出てくるモブキャラクターの原案も、シナリオが上がったあとでいただいたりしたので、ものすごくありがたかったです。

――今回の『へやキャン△』には大きなテーマというものはあるんでしょうか?

神保:キャラクターのストーリーに対するテーマはあるんですけど、それは作中に書いてることなので、全部見たあとに最終的に見えてくるものがテーマと思っていただければいいかなと思っています。

それが最後まで見た方に伝わるようにしようと、今頑張っています。

――ショートアニメというのは尺が短いですが、作る労力的にはいかがですか?

神保:僕は尺が短いから楽だと思っていたんですよ(笑)。でも、ショートアニメだけど満足感が得られるように作っていくと、どんどん密度濃くなっていって、普通のアニメを作るのとあまり変わらないんじゃないかと感じてるんです。

伊藤:30分の『ゆるキャン△』とあまり変わらない感じでしたね……。関わっている期間も同じくらいだったので。

神保:普通のTVシリーズの6本分くらいの重さは感じてます。実際は1本半分くらいの尺なのに。『ゆるキャン△』の何かではなく、『へやキャン△』という新しい作品を作ろうという気持ちでやっていたので、大変だったのかもしれません。

(C)あfろ・芳文社/野外活動委員会
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