『ネコぱら』TVアニメ化で監督が意識したポイントとは|山本靖貴×八木侑紀×佐伯伊織×森嶋優花 座談会【前編】
好評放送中のTVアニメ『ネコぱら』。パティスリー「ラ・ソレイユ」を舞台にした個性豊かな人型ネコたちが織りなすハートフルストーリーも、いよいよ大詰めを迎えました。
アニメイトタイムズでは、メインキャラクターを演じるキャストやスタッフへのインタビューを毎週掲載。第11回には監督兼、音響監督を務めた山本靖貴氏が登場。ショコラ役・八木侑紀さん、バニラ役・佐伯伊織さん、カカオ役・森嶋優花さんとともに作品のことをたっぷり語っていただきました。
監督からみた作品やキャストの印象は?
――山本監督は今回の連載初登場となります。まずは、原作の印象やお話をいただいた時のことをお聞かせ下さい。
山本靖貴監督(以下、山本):このお話をいただくまで原作のことは知らなかったのですが、ちょうどネコを飼い始めたタイミングだったので、『ネコぱら』というタイトルに運命的なものを感じました(笑)。原作は本当に癒しの要素が多くて、これを深夜アニメで放送したらたくさんの人が癒やされてくれるだろうなと思いましたね。
――原作の魅力があった上で、TVアニメ化するにあたり特に意識した点はありますか?
山本:アニメはやはりキャラクター自体を動かすことが魅力ですし、ほかの媒体ではできないことじゃないですか。なので、ネコらしい動きと女の子の可愛らしさを相乗効果で出すことを意識しました。OVAで一度アニメ化していますので、同じことをやるよりも新しいストーリーや試みをして欲しいと、原作サイドからリクエストもあったんです。
――違いという意味では、アニメオリジナルキャラクターとしてカカオが登場しますね。
山本:そうですね。原作ゲームでキャラクターの関係性はできあがっていて、特にショコバニ(ショコラ&バニラ)は一番年下という形になっていました。なので、それよりも下の子をいれることにより、原作と違う内容なことをわかりやすく描けるかなと思いカカオを登場させました。
――今回はメインキャストの3人も来ていますが、監督から見た3人の印象はいかがですか?
山本:もともとゲームで声がついていて、キャラクターがある程度できあがっているので難しかったと思います。オーディションの時も、そのキャラクターをどれだけ掴めるか、理解しているかを一番に見ていたんです。1話では迷うところもあったと思いますが、後半ではこちらのオーダーへの返しが格段に良くなっていて、安心してやることができました。
――直近の第11話でもショコラ、バニラ、カカオは大活躍でしたね。より具体的な演技についてもお聞かせ下さい。
山本:ショコラ役の八木さんは、何も言うことがないぐらいショコラだなというのがあったので、そのまま活き活きやってくれればいいよと。最初のアフレコからみんなが「ショコラ可愛いね〜!」と思うぐらい、魅力をすごく出してくれました。
八木侑紀さん(以下、八木):活き活きやらせていただきました!(笑)
山本:バニラは結構難しかったと思うんですよね。
佐伯伊織さん(以下、佐伯):難しかったです。監督に何回も「今日のバニラはどうでしたか?」ってお聞きしたんですが、1話ではすごく励ましてくださいましたし、2話では掴めてきたと言ってくださって。最後の方には「(完全に)バニラだよ」って言ってくださいました。いっぱい監督に自分の演技を聞いてよかったなと思います。
山本:この役は誰がやっても難しくて、オーディションでも難航したんです。なかなかやれる人がいないなと。キャラクター自体はまったりしているけど、ちょっと毒もありますし。そんなバニラの魅力を佐伯さんはどんどん掴んでくれました。あと、佐伯さんは意外とギャグが強いといいますか、ギャグに貪欲なところが出ていましたね(笑)。本当はそっちが得意なのかなって。
佐伯:バレてますね(笑)。7話とか結構ギャグ要素が強くて楽しかったです。
――カカオはいかがですか?
山本:カカオはセリフが少ない無口キャラなので、なかなか表現する場が少なかったのですが、その中でも森嶋さんは隙あらばアドリブをいれてくれました。息やアドリブだけで感情表現しなきゃいけないのは、大変でしたよね。
森嶋優花さん(以下、森嶋):カカオってアニメオリジナルキャラクターなので、自分発信になるのが楽しみでもありつつ、すごく責任感も感じていました。でも、皆さんと混ざってやっていくにつれて、カカオへの理解がどんどん深まっていきましたし、何よりもショコバニと一緒にやって来られたから今のカカオがあるんだと思います。
佐伯:いい子〜!
八木:私たちも12話までに末妹から完全に夫婦というか、カカオを育てる立ち位置になったよね(笑)。
佐伯:毎話毎話、ホント可愛いんですよ。
森嶋:いるだけで気になっちゃう存在なのが、カカオの魅力だと思います。
――無口な中でも、後半になると最初の頃と比べて変化をつけたりしたのでしょうか?
森嶋:そうですね。話数が進むごとに、ショコバニやほかのネコたちとの信頼関係が変わってきて。最初は水無月家のネコたちのことをちょっと怖がっていたり、物陰に隠れちゃう習性とかあったんですけど、最終話ではみんなと仲良くなりました。そういった関係性とともに、少ないセリフの中に込められる感情も変わってきたと思います。