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『映像研には手を出すな!』伊藤沙莉さん×齋藤飛鳥さんインタビュー|アニメと実写の浅草氏の対談が実現! ふたりが考える浅草氏の姿とは?
なれない口調はどうやって乗り越えた?
――ちなみに、大童先生はお会いして、どんな方でしたか?
伊藤:浅草氏でした!
一同:(爆笑)。
伊藤:リュックも迷彩だし、喋り方とか言っていること、挙動もすべて浅草氏でした(笑)。さすがにあそこまでキャラクターっぽくはないですし、突然「~でい、ちくしょう」みたいなことは言わないですけど、心に小さい浅草氏を飼っているというか。
齋藤:あ~、分かります分かります!
あとは気配りができる方で、SNSで原作はもちろん、アニメのことや実写のことも万遍なく書いてくださっていて。どのファンにも受け入れてもらえるように細かく調整しているのがすごいなと思います。
最初はやっぱりどうしても原作ファンの方の反応が気になってしまっていたのですが、今はもう大童先生が気を遣ってくださるので、あまり怖くはなくなりましたね。
――なるほど。おふたりは今日が初対面だそうですが、お会いしてみていかがですか? お互いの役作りや聞いてみたいことなどあればぜひ!
伊藤:私は浅草氏の「~ですけ?」みたいな喋り口調は声質的にも比較的言いやすかったんですけど、齋藤さんのお芝居は本当にそういう人がいると感じさせるというか。あの口調ゆえに、ある意味感情が乗せ辛いと思うんですけど、慣れていくのに苦労などはしましたか?
齋藤:最初はあの口調にはなかなか慣れなかったですね。
伊藤:やっぱりそうですよね。
齋藤:使ったことのない言葉も多かったし、難しかったので落語家さんを見たり、ヤクザ映画を見たりして研究しました。方言も多くて、それも動画を見たりして。とにかく実際に見て覚えてを繰り返しました。
あと実写なら、例えばビビってるときは目をキョロキョロさせたりぶるぶる震えればいいじゃないですか。でも、声だけで怖さや痛み、辛さを表現するのってどうやるんですか? すごい力を入れたりとか?
伊藤:やっぱり力はめっちゃ入れたし、何回か撮り直しました。洞窟に入っていって怖がるみたいなシーンがあるんですけど、たぶん一番やり直しが多かったです。
「もうちょっと怖そうにしてほしい」っていうディレクションがあって、ぐっと力を入れてみたりしても、目の前にあるのはマイクだけということに苦労はけっこうしました。
どうやったら声が震えるのかとか、ここを締めるんじゃなくてこっちを締めてみたり、とかいろいろ試しましたね。だからいろんな筋肉が付きましたね(笑)。
――(笑)。では最後に、あらためてアニメと実写、それぞれの魅力や個人的に面白いなと思う部分を教えて下さい。
伊藤:漫画があって、実写があって、その中間のアニメもあって……といろいろな媒体の表現があって素敵です。
漫画の時点で動きだしそうなタッチではあるんですけど、実際に動いたときの感動はよりすごいと思います。原作を読んだ方ならきっと高まると思います。
アニメで初めて作品を知った人なら「なんだこのアニメ!?」ときっとなると思いますし、この作品をきっかけにアニメ作りを知れば、ほかのアニメを観たときも「ここはこうしたのかな」と思えるようになって楽しめると思います。
実際自分も『映像研』以降、アニメを観たときに「あのとき説明していた効果を使ってるのかな」みたいに考えたりして。漫画やアニメの概念が変わっていったというか、もうひとつ楽しみが増えていくのはすごい素敵なことだと思います。
アニメというものにいろんな人が興味を持ってもらえる、アニメで訴えかけるからこその良さがありますね。
――たしかに、アニメに詳しくなれる、興味を持てるような作品だと強く感じました。
伊藤:工具にも強くなれます(笑)。
――(笑)。
齋藤:浅草って漫画で見たら愛おしく思えますが、現実にいたらけっこうな人じゃないですか(笑)。でも、いたら面白いな、いてほしいなと思う部分もあるので、そこを表現できるのは楽しいです。
自分が関わるか分からないときから、実写化してほしい、見てみたいなと思っていました。なので、実写化したことそのものが魅力のひとつだと思います。
あとは、今の時代にも合っていると思います。浅草みたいに、人と接するのが苦手な人とか、閉じこもっちゃう人ってたくさんいると思うんですけど、自分の好きなものに対して熱中したり、まっすぐになれたり、誰の言葉も気にせずに自分を出せる姿を浅草は見せてくれるので。私も浅草の存在に勇気を貰えたので、こういった経験はぜひいろいろな人にしてもらえたら嬉しいですね。
――好きという気持ちが壁を壊していくさまが描かれていますよね。
齋藤:アニメというひとつのものを通じて、あの三人がお互いがお互いを求めあっている関係性になっているのに憧れますね。
[インタビュー/石橋悠]
TVアニメ『映像研には手を出すな!』作品概要
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放送情報
NHK総合テレビ 2020年1月5日(日)24:10~放送中!
(関西地方は24:45~)
※放送予定は変更になる場合があります。
配信情報
FOD独占配信 2020年1月5日(日)
毎週日曜日26:00最新話配信
イントロダクション
高校1年生の浅草みどりは、アニメーションは「設定が命」と力説するほどのアニメ好き。スケッチブックに様々なアイディアを描き貯めながらも、1人では行動できないとアニメ制作への一歩を踏み出せずにいた。
そんな浅草の才能に、プロデューサー気質の金森さやかはいち早く気づいていた。さらに、同級生でカリスマ読者モデルの水崎ツバメが、実はアニメーター志望であることが判明し、3人は脳内にある「最強の世界」を表現すべく映像研を設立することに……
「月刊!スピリッツ」(小学館)にて好評連載中の大童澄瞳のデビュー作に、国内外で数々の賞を獲得してきた湯浅政明監督&スタジオ「サイエンスSARU」が手を出した!!
キャラクターデザインは浅野直之、音楽はオオルタイチが加わり“最強の世界”を“最強のスタッフ”でつくり上げる。全世界が注目する電撃3人娘の冒険譚が始まる!!!!
スタッフ
原作:大童澄瞳
(小学館「月刊!スピリッツ」連載中)
監督:湯浅政明
脚本:木戸雄一郎
音楽:オオルタイチ
キャラクターデザイン:浅野直之
美術監督:野村正信
色彩設計:中村絢郁
撮影監督:関谷能弘
編集:齋藤朱里
音響監督:木村絵理子
アニメーション制作:サイエンスSARU
OPテーマ:chelmico「Easy Breezy」
EDテーマ:神様、僕は気づいてしまった「名前のない青」
キャスト
浅草みどり役:伊藤沙莉
金森さやか役:田村睦心
水崎ツバメ役:松岡美里
百目鬼役:花守ゆみり
さかき・ソワンデ役:小松未可子
藤本先生役:井上和彦
ロボ研小野役:小野友樹
ロボ研小林役:小林裕介
ロボ研後藤:綿貫竜之介
ロボ研関:井澤詩織
公式サイト
公式ツイッター(@Eizouken_anime)
原作情報
映画『映像研には手を出すな!』作品情報
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STORY
迷彩帽に迷彩リュックの少女・浅草みどり(齋藤飛鳥)は、アニメが好きで、人並み外れた想像力があるのだが、見知らぬ人に話しかけられると卒倒してしまうほどの極度の人見知り。
浅草の中学からの同級生・金森さやか(梅澤美波)は長身で美脚、金儲けに異常な執着を見せるタイプだ。2人が入学した芝浜高校は、413 の部活動と 72 の研究会およびそれに類する学生組織がある、一言でいえばカオスな高校。
この部活動および学生組織を束ねているのが大・生徒会。道頓堀透(小西桜子)、ソワンデ(グレイス・エマ)、阿島(福本莉子)、王(松﨑亮)が幹部として運営を司っている。
そんな芝浜高校で、浅草と金森はカリスマ読者モデルの水崎ツバメ(山下美月)と出会う。ツバメもまた、芝浜高校に入学してきた新入生で、実はアニメ好きでアニメーター志望だった。
運命的な出会いを果たした3人はアニメ制作に邁進することを決意する。こうして、電撃3人娘の「最強の世界」を目指す冒険が始まった!!!
STAFF
原作:大童澄瞳「映像研には手を出すな!」(小学館 「月刊!スピリッツ」連載中)
脚本・監督:英勉 主題歌:「ファンタスティック三色パン」乃木坂 46
配給:東宝映像事業部
CAST
齋藤飛鳥 山下美月 梅澤美波
小西桜子 グレイス・エマ 福本莉子 松﨑亮
桜田ひより 板垣瑞生 赤楚衛二
鈴之助 出合正幸 松本若菜 山中聡 浜辺美波 / 髙嶋政宏