アニメ『僕のヒーローアカデミア』の第4期シリーズもいよいよ終盤へ!向井雅浩監督が第4期シリーズを振り返りつつ、見どころを語る!!
悩んで成長してきたデクが迷いなく真っすぐに突き進んでいる4期
――第3期ではオールマイトが激闘の末に引退、デクたち1年A組のメンバーも仮免試験に合格して、プロヒーローへの道をまた一歩、歩み始めたりと印象深く、激動のシリーズでした。その後ということで難しさもあったのでは?
向井:いろいろな難しさはありますが、自分の中でキャラのポジショニングを決めておかないといけないと心がけました。特にデクは、仮免取得前とインターン後というステージの違いをしっかり頭に置いておかなくてはいけないと感じました。
3期まで「自分がヒーローになるために何をすればいいのだろう?」という焦りや悩み、試行錯誤する姿が描かれていたと思うんです。
でも仮免を取得したあとの4期のインターン編では、「成長するためにはこれをやらなきゃいけない」と自覚した上で頑張る姿がメイン。エリちゃんと出会った時、「この子を助けなくてはいけない」と思いつつも状況がそれを許さない葛藤はありましたが、迷いがないんですよね。
だからそれ以外のキャラの揺らぎが何なのか、それを見ることに集中しようと決めたことで、スムーズに絵にしていけたかなと思います。
4期の第1話はオリジナルエピソード。新キャラの特田種男への反応にドキドキ!?
――『ヒロアカ』の第2、第3期の最初の1話では、キャラやストーリーの紹介的なエピソードがありましたが、今回の4期初回となった64話もオリジナルで各キャラがわかりやすいエピソードになっていました。
向井:2期以降はまず続けて見てくださる方に気持ち的にワンクッションを置いて見てもらうことと、新しくご覧になる方にもわかりやすく、入りやすくという意味で、一度立ち止まって、振り返るエピソードを入れています。
シリーズ構成・脚本の黒田洋介さんに叩き台を出していただくところから、脚本を仕上げてもらいましたが、新聞記者の特田種男はオリジナルキャラなんですけど、いい味を出していて、おもしろかったです。
――放送後、「64話はわかりやすかった」とか「特田はいいキャラだった」という反響が多かったようですね。
向井:安心しました。オンエアの半年前に作っていたので、放送されるまでどんな反応になるのか、ドキドキでした(笑)。愛されるキャラになったようでよかったです。
誰もが共感できるミリオ。リミッターをはずした姿は大切に描きたかった
――第65話からインターン編がスタートしましたが、キーキャラクターの1人はデクと共に行動するミリオです。どんな印象をお持ちですか?
向井:4期のキービジュアルでわかるとおり、デクとミリオを中心にお話が進んでいきますが、一緒に伴走するのではなく、デクが走り過ぎないようにミリオがブレーキをかける役割で、後輩をしっかり導く先輩という立ち位置です。
でも自分自身と向き合った時、他者は関係なく、自分の100%を出すことに集中した時のミリオのリミッターがはずれたところを大事に描きたいなと思いました。
――第3期の終盤で、ビッグ3の1人として1年A組のメンバーと対決した時、圧倒的な強さを見せましたが、それも大きな努力の上にあると知って、同じく努力を積み重ねているデクには見本のような存在だったと思います。
向井:原作でもビッグ3になるまでが丁寧に描写されていたので、それを誤解なく伝えることが一番かなと慎重に作っています。
この世の中には、自分には才能があって、それを信じていれば勝てると思っている人は、ほとんどいないと思うんです。自分が持って生まれた才能や素質を、超えてゆくための努力を重ねることや、支えてくれる人のおかげで今の自分があると考えているはずで、だからこそ、ミリオを見て「これは僕だ!」とか「これは私!」と重ね合わせたり、共感できると思うし、僕自身も原作を読んだ時、そう感じました。
だからアニメでもそう思ってもらえたら勝ちだなというくらい、大切なキャラの1人です。