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春アニメ『啄木鳥探偵處』7つの見どころをチェック!

天才歌人・石川啄木が、明治時代の浅草を騒がす謎に立ち向かう本格ミステリー! 春アニメ『啄木鳥探偵處』7つの見どころをチェック!

TVアニメ『啄木鳥探偵處』が、石川啄木の命日である2020年4月13日(月)より、TOKYO MX、BSフジ、CSファミリー劇場ほか、各所配信サイトにていよいよ放送がスタートします。

TVアニメ『啄木鳥探偵處』の原作は、2014年に逝去されたミステリー作家・伊井圭さんによる本格ミステリー小説『啄木鳥探偵處』(創元社文庫)です。伊井圭さんは同小説の第一話「高塔奇譚」で第3回創元推理短編賞を受賞しています。

物語の舞台は、明治時代が終わりを迎えようとしている頃の浅草。生活するお金に困窮している石川啄木は、とある殺人事件をきっかけに、下宿で探偵稼業を始めることに。

啄木は奇怪な事件に次々と首を突っ込み、ついには同郷の先輩・金田一京助を助手として強引に巻き込む始末。誰もが知る歴史上の人物が、名探偵として浅草を騒がすさまざまな事件の謎を解いていきます。

本稿ではTVアニメ『啄木鳥探偵處』の放送を前に、より作品を楽しんでいただけるよう、7つの見どころをご紹介していきます!

本格ミステリー小説をアニメ化、ミステリー初心者にも入りやすい物語です!

『啄木鳥探偵處』はミステリーの中でも探偵ものと呼ばれるジャンルに入ります。本格ミステリーという響きから、ちりばめられた伏線や難解なトリック、情報量の多さに圧倒されてしまい、ミステリーを苦手に思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、本作品は誰もが知っている歌人・石川啄木が探偵役、その助手役として同郷の先輩・金田一京助が登場し、バディを組んで事件を解決していくというライトな切り口をしています。

これが物語の間口を広げる仕掛けとなって、ミステリー初心者にも入りやすい物語になっています。本作のチェックポイントのひとつです。

天才歌人にして名探偵⁉ 石川啄木は、ギャップが詰まった魅力的なキャラクター!

二つめの見どころは、作中における石川啄木の魅力的なキャラクターです。石川啄木は岩手県出身で明治時代を生き抜いた実在の歌人というのは、誰もが知るところ。友人の影響で16歳頃から文学を始め、22歳で東京へと移り住みます。

東京でも同郷の仲間らと創作活動を続けていましたが、残念なことに肺結核を患い26歳という短い生涯に幕を下ろします。啄木の生涯を通した文学活動期間は約10年で、この間に4000首を超える短歌を生み出しています。

作中での啄木は、普段、金と女にだらしない色男と評されつつも、彼の才能を認めてくれる文学仲間と気兼ねない交流をしています。

一方で、普段からにぎわいのある人々の集まりを、一歩引いた客観的な視線で観察しているようなところがあります。

短歌の中には人のにぎやかさの中にあってもなお感じてしまう己の寂しさを表現しているものもあって、啄木の心の奥に隠された、孤独の片りんをのぞかせています。

▼石川啄木(CV:浅沼晋太郎)

啄木は、日本の世相や日常に暮らす人々を見つめる鋭い観察眼を持ち合わせています。この観察眼こそが歌人と探偵という、矛盾した職業を成立させる要因です。それが見る者の心をひきつける、啄木ならではの魅力となっています。

天才歌人でありながら名探偵、そして破天荒で寂しがりで憎めない男、石川啄木が見る世界を通して、明治の時代を日本人がどのように生きていたのかうかがい知ることができるのも、本作品の楽しみなところです。

助手は金田一京助、破天荒な名探偵の相棒は啄木の才能をこよなく愛する温厚な言語学者! 

金田一京助は日本の言語学者・民族学者として活躍した、石川啄木と同じく実在していた人物です。彼は啄木の親友としても知られており、金銭的に苦しい思いをしていた啄木を度々助けていました。

本作では啄木の探偵業の助手として活躍します。助手役の金田一京助は、啄木と正反対の性格で温厚な人格者です。啄木の押しに弱く、彼と一緒に事件に巻き込まれてしまい、困った事態に追い込まれてしまうことも。

それでも金田一は啄木を見捨てることはありません。なぜなら、金田一は啄木の歌人としての才能を誰よりも認め、尊敬し、そしてこよなく愛しているからです。

▼金田一京助(CV:櫻井孝宏)

根っからの女好きで傍若無人なように見える石川啄木と、彼に振り回されてしまう京助のテンポのよい掛け合いが、作品世界に没入するための架け橋になっている点に着目してご覧ください。

明治時代が画面の中でよみがえる! 浅草で繰り広げられている近代作家たちの日常に着目!

明治時代の浅草には、浅草十二階の名で親しまれた東京のシンボルタワー「凌雲閣」がありました。地上52メートルの高さからは、当時の浅草を一望でき、その先の富士山や伊豆まで見えていたそうです。雲をも凌(しの)ぐ高さとされ「凌雲閣」と名付けられました。

「凌雲閣」は浅草寺の近隣にあった瓢箪池(現在は埋め立てられている)を臨む場所にあり、レンガを積造(上部2階は木造)し、八角形の外観をしていました。日本初の電動エレベーターが設置されたことでも有名です。

また、凌雲閣内では自動人形の展示や催し物も開催されており、訪れた多くの人を楽しませていたようです。実在の啄木もしばしばこの地へ通っており、著書「ローマ字日記」の中に十二階下の様子をつづっています。

夜の浅草に不夜城のように浮かび上がる、アーク灯で飾られた凌雲閣のシルエットなど、歴史的な建築物を現代によみがえらせることができるのも、アニメーションならではの面白さがあって見どころの一つとなっています。

明治後期に活躍した近代作家が多数登場し、彼らの青春群像が描き出される!

本作には近代文学の著名な歌人や作家が多数登場します。

野村胡堂、平井太郎、吉井勇、萩原朔太郎、若山牧水など日本近代文学の堂々たる顔ぶれが集う浅草六区は、東京随一の活気をみせる歓楽街で、凌雲閣までの通りに銘酒店が軒を連ねていました。

啄木と彼らが、どのような交流をしていたのか注目したいところです。

▼野村 胡堂(CV:津田健次郎)
京助の中学時代の同級生で啄木の先輩。東京帝国大学の学生。人情家で文士たちの兄貴的存在。後に『銭形平次 捕物控』を執筆する。

▼平井太郎(CV:小野賢章)
好奇心が旺盛な文学少年。啄木の扱う事件に興味津々で、大人顔負けの推理を披露する。後の江戸川乱歩。

▼吉井 勇(CV:斉藤壮馬)
華族出身で、キザな所があり、石川啄木の事をライバルとみなしている。後に流行歌『ゴンドラの唄』を作詞し、有名になる。

▼萩原朔太郎(CV:梅原裕一郎)
人見知りの引っ込み思案で繊細な性格。しかし、友達思いな面を持つ。後に近代詩の父と呼ばれる。

▼若山牧水(CV:古川慎)
早稲田大学の学生にして歌人。早稲田の三水と呼ばれるうちのひとり。旅が好きでマイペースな自由人。酒豪で底抜けに明るいムードメーカー。

▼芥川龍之介(CV:林幸矢)
第一高等学校の学生。頭脳明晰でクール。ドキッとすることをいつも言う。夏目漱石に強く憧れている。

本作品では、事件をきっかけにさまざまな人間模様が交錯します。石川啄木と仲間たちの交流を心の片隅に留め置いて本作品を見ると本格ミステリー以外の青春群像があぶり出され、楽しさを見いだすことができるかもしれません。

現実に存在した近代作家たちの生き生きとした様子が描き出される点にも期待です。

また、劇中には啄木の短歌だけでなく、エンディング曲に吉井勇の「ゴンドラの唄」が使用されています。

そのほかにも、口語自由詩の美しさを完成させたとされる萩原朔太郎の作品や、リズミカルで愛唱性に富んだ若山牧水の作品なども登場します。

近代文学の作品と青春群像から得られる情緒的な感動を楽しむことができるのも見どころのひとつです。

有名な短歌の一首に注目! 近代文学ファンにも楽しめるシーンが満載!

作中に石川啄木が詠んだ歌が登場するシーンがあります。啄木の短歌は大衆の身近にある言葉でつづられており、心にすっと入り込んでいきます。

『啄木鳥探偵處』の中心舞台は明治後期の東京・浅草。その時代は開国以来、海外の文化が流入し文明開化の波が押し寄せる目まぐるしさと、日露戦争という不穏な空気が入り混じり、国民は普通に生活しながらも、どこか閉塞感を感じていました。

石川啄木の短歌は、真実のために自然の事実を観察し美化せず表現する、自然主義文学というジャンルにカテゴライズされています。

日常の小さな出来事から人間の心の機微を感じ取ることのできる豊かな感受性を持ち合わせている啄木。彼の感性から生まれた短歌を劇中で楽しむことができるのも本作品の見どころです。

実在した近代文学の歌人・文学者・文豪に魂を吹き込むのは、演技力も抜群な豪華声優陣!

主要な登場人物を務めるのは競争の激しい声優界で最前線を走り続ける人気声優陣です。主人公の天才歌人で名探偵でもある石川啄木を浅沼晋太郎さんが演じます。

そして啄木の助手となる同郷の先輩・金田一京助を櫻井孝宏さんが演じます。石川啄木は岩手県盛岡市出身の偉人です。同じ岩手県盛岡市出身の浅沼晋太郎さんが啄木を演じるというのも楽しみのひとつです。

ろくでなしですが繊細で周囲に愛される魅力を持つ啄木と、彼の歌を詠む才能を愛し親友として支え続けた金田一京助というベストマッチなコンビ。

浅沼さんの軽やかな中に思慮深さがにじむ声と、櫻井さんの優しく落ち着いた声の組み合わせも、啄木と金田一さながらのベストマッチです。さらにお二人の巧みな演技で再現される名探偵と助手のコンビネーションにも期待です。

その他にも頼れる兄貴分の野村胡堂を津田健次郎さん、平井太郎を小野賢章さん、吉井勇を斉藤壮馬さん、萩原朔太郎を梅原裕一郎さん、若山牧水を古川慎さんなど、キャラクターの華やかさをより引き出してくれる実力派の声優陣が熱演します。

注:本稿では日本語環境により「啄」を新字で表記しています。本来の表記は「キバ」付の「啄」です。
 
[文/宇坂真貴]
 

TVアニメ『啄木鳥探偵處』作品情報

放送情報

2020年4月より放送・配信開始!
TOKYO MX:4月13日より毎週月曜23:00から
BSフジ:4月13日より毎週月曜24:00から
CSファミリー劇場:4月13日より毎週月曜24:00から
岩手めんこいテレビ:4月18日より毎週土曜17:00から
長崎文化放送:5月4日より毎週月曜25:54から

ほか各所配信サイトにて配信開始
※放送日時は予告なく変更になる場合がございます。
 

ストーリー

時は、 明治の末――

金欠に苦しむ天才歌人・石川啄木は、とある殺人事件をきっかけに下宿で探偵稼業を始めることに。その名も、「啄木鳥探偵處」。

「浅草十二階の幽霊騒動」「雪降る夜に街を徘徊する人食い人形」……奇怪な事件に次々と首を突っ込む啄木の助手を務めるのは、同郷の先輩・金田一京助。

文士仲間の野村胡堂、吉井勇、萩原朔太郎、若山牧水らを巻き込んで、人たらしの天才歌人・石川啄木が文明開化の東京を駆け抜ける!
 

スタッフ

原作:伊井圭(創元推理文庫刊)
総監督:江崎慎平
監督:牧野友映
シリーズ構成:岸本卓
キャラクター原案:佐木郁
キャラクターデザイン:原修一
音楽:高田龍一・高橋邦幸(MONACA)
音響監督:清水洋史
アニメーション制作:ライデンフィルム
制作:東北新社/ライデンフィルム
企画:キミコエ・プロジェクト
製作:「啄木鳥探偵處」製作委員会
 

キャスト

石川啄木:浅沼晋太郎
金田一京助:櫻井孝宏
野村胡堂:津田健次郎
平井太郎:小野賢章
吉井勇:斉藤壮馬
萩原朔太郎:梅原裕一郎
若山牧水:古川慎
芥川龍之介:林幸矢
 
公式サイト
公式Twitter(@kitsutsuki_DO)

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(C)2020伊井圭・東京創元社/「啄木鳥探偵處」製作委員会
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