TVアニメ『マギアレコード』リレーインタビュー:アニメーションスーパーバイザー 新房昭之 「イヌカレーさんがやりたいことを思う存分やれる環境を整えることが僕の一番重要な役割だったかなと思います」
先日最終回の放送を迎え、オンエアの最後には2nd Seasonの告知もされたTVアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』。アニメイトタイムズにて行ってきた『マギアレコード 』リレーインタビューの1st Season最後となる今回は、『魔法少女まどか☆マギカ』では監督を、本作ではアニメーションスーパーバイザーとして参加している新房昭之さんです。
今作での作品への関わり方、劇団イヌカレー(泥犬)さんが作り上げるアニメーション世界、さらに2nd Seasonに向けた意気込みまで語っていただきました。
『マギアレコード』は『まどか』に比べてイヌカレーさんの色が強い作品
――新房さんは今回、アニメーションスーパーバイザーという肩書きでクレジットされています。実際にはどんな形で参加されているんでしょうか?
新房昭之さん(以下、新房):最初は、脚本の打ち合わせからですね。特に企画の立ち上げタイミングでは、原作のゲームをそのままなぞるような形で行くのか、それともアニメならではのオリジナル要素を入れ込むのか。どちらで行くべきか、あやふやだった部分があったんです。
とはいえ、ゲームを遊んでくれている人たちに見てもらいたいとも思っていましたし、劇団イヌカレー(泥犬)さんやアニプレックスさんともかなり試行錯誤をしていました。
――なるほど。
新房:例えば、ゲームだと最初、まどかたちが戦っているところから始まって、そのあとに主人公の環いろはが魔法少女として登場するメインストーリーが始まります。
でもそれをやると、いろはではなく、まどかたちの話になってしまいそうだったので、むしろもっと普通に、新しく始まるTVアニメの第1話として、観られる感じが欲しいな、と思いました。
『マギアレコード』はあくまでも『まどか』の外伝であって、続編ではない。そこの棲み分けに関しては、意識していましたね。
――最終的には、原作のゲームをベースとしながらも、第1話に登場した黒江を初め、オリジナル要素を入れ込んで、アニメならではのふくらみを持たせた形になりました。
新房:とはいえ、第1シリーズで黒江が出てくるのは第1話だけですから(笑)。もし僕が監督だったら、もっと出番を増やすと思うので、それを聞いたときには「新しい見せ方だな!」と思いました。挑戦的な演出で、それこそが総監督をやっている劇団イヌカレー(泥犬)(以後イヌカレー)さんの個性と凄さですね。
――イヌカレーさんのやりたいことを、叶えるようなポジションというか。
新房:そうですね。『マギアレコード』は『まどか』に比べてイヌカレーさんの色が強い作品なんです。だから、彼がやりやすいようにやるのが一番いい。
そこで下手に僕が出ていって、「ここは新房さんがやったところだから、手を出さないでください」となるのは、彼にとっても作品にとってもよくないと思います。イヌカレーさんがやりたいことを思う存分やれる環境を整えることが僕の一番重要な役割だったかなと思います。