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- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。
──タイトルの『マンガみたいな恋人がほしい』って日常会話にも出てくる言葉だと思うんですが……この言葉をタイトルにした理由はなんだったのでしょうか。
ナナヲ:誰しも願うことだと思うんですよね。マンガって良い具合に障害があって、良い具合に乗り越えて、良い具合にハッピーエンドになる。
本当はみんなそれをしたいんだけど、乗り越えられないことも多いし、うまくいかないことのほうが多くて。言ってしまえば、タイトルと収録曲は逆なんです。詐欺のような感じ(笑)。
「欲しい」とは言いつつも、あくまで願望。「実際はこんなもんですよ」っていう曲が入ってるっていう。
──ジャケットには1曲1曲のイメージがまさに漫画風に描かれていますが、ナナヲさんからのリクエストだったんです?
ナナヲ:ジャケットはウチボリ(シンぺ)さんに描いていただきたいなと思っていてお願いしました。「マンガっぽいジャケットにしたい」という漠然としたイメージをお伝えして。イラストの前に最初にジャケの写真を撮っていたんです。
それで背景を漫画みたいにしたいなと思っていたら、ウチボリさんが全曲のコマを描いてくださって「これ、めちゃくちゃいいじゃん!」って。
──また、初回生産限定盤にはライブ映像がパッケージされます(2019年11月27 日DAMELEON RELEASE TOUR「CHANGING!」FINAL @恵比寿リキッドルーム)。どのようなライブ映像になってるのでしょうか。
ナナヲ:恵比寿リキッドルームはナナヲのライブ史上いちばん広いライブハウスなんです。すごく見やすくて、熱量が伝わりやすい映像になっています。
自分で見たときは「ようやったな!」って感想がまず最初に出てきました(笑)。ライブのパフォーマンスにしても、楽曲の濃さにしても、一番濃度の高いライブ映像になっていると思います。
──今作の制作を経て、ナナヲさんのなかで新たな発見のようなものってありましたか?
ナナヲ:このミニアルバムって一本筋の通った、ある種一個のジャンルのようになっているんですが、外から見たらジャンルレスな内容になっていて。今までもそうだったんですが、それが顕著に表れている作品になったなと。
さらに、自分のなかで歌える幅が広がったなという認識ができた一枚でもあるので、「歌えない曲ないんじゃないか!?」って思えることができました。もっと難しい曲、バラードなどにも挑戦していきたいなと。
あと、最初に話したことと重複してしまうんですが……不安定な自分を脱して、自分を見つめる一年経て、いちばん安定した状態で出せた作品だと自信を持って言える作品なんです。あんまりナナヲって自分の曲を繰り返し聴かないんですよ。やっぱり自信もなかったので。
でも今回は繰り返し聴いています。だからみんなにも繰り返し聴いてもらえたら嬉しいです。
──今回のアルバムでいろいろな愛のカタチを伝えたナナヲさんですが……ナナヲさんにとっての“愛”ってどういうものだと思います?
ナナヲ:喜怒哀楽を包み隠さず伝えられること。それは絶対的な信頼があるからできることだと思っていて。
──それって、まさに今回のミニアルバムがそうじゃないです? ファンへの絶対的な信頼があるからこそ、喜怒哀楽を包み隠さず伝えている。
ナナヲ:それはありますね。気づかせてもらった部分がたくさんあるので……。それこそ「MISFIT」は、自分のなかで<あなた>をファンのみんなに置き換えることもできていて。そういった愛の歌ですね。
──ファンへのラブレターでもあるんですね。
ナナヲ:そうですね。
──曲を受け取ったかたの反応が楽しみですね。(インタビュー時点では)もうすぐ発売といった段階で。
ナナヲ:このご時世ですけど、そういう時こそ楽しいもの、自分が好きなもの、音楽って重要なんじゃないかなと。疲弊しているなかで、このナナヲの作品がその人にとって少しでも明るいニュースになればいいなって思っています。
[インタビュー・逆井マリ]
神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。
▼通常盤(「冴えない主人公が現実にいたら普通に友達になりたい」盤)
▼初回生産限定盤(「我がライブ映像に一片の悔いなし」盤)