TVアニメ『食戟のソーマ 豪ノ皿』EDテーマ「Crossing Road」渕上 舞さんインタビュー|集大成ならではの壮大な一曲、さらに“自分らしい”のこだわりのカップリングも
カップリングは敢えて自分らしさを前面に
──「Crossing Road」に<記憶>という言葉が出てきていますが、舞さんが作詞されたカップリングの「ハラ・ヒラ・フワリ」にも同じ言葉が出てきていますよね。これは意図的なものです?
渕上:ああ、確かに! でも偶然なんです(笑)。
──(笑)あと、「ハラ・ヒラ・フワリ」を見たときに『食戟のソーマ』の第五期のティザービジュアルとも重なったのですが……。
渕上:それも偶然です(笑)。いろいろな奇跡が重なりました。
──そうでしたか(笑)。この「ハラ・ヒラ・フワリ」はどのようにできた曲ですか?
渕上:「Crossing Road」のほうが先に完成していたんです。「Crossing Road」は先にお伝えした通り、光という言葉がとても印象的だなと思っていて。だからカップリングは対になるように「(テーマは)闇が良いです」ってお話をさせていただきました。
また、リリースが4月29日ということで……4月といえば桜という印象があるので、季節に寄りそえたら良いなと。ただ4月と言えど、もう初夏に入ろうとしているタイミングなので、散り際の切なさ、儚さのようなものを表現したいなと思っていました。
──確かにイメージ的にも対となるような曲ですよね。
渕上:表題の「Crossing Road」が壮大な楽曲になっているので、小さいところからはじまって終わる曲にしたいなと思っていました。シンプルに自分の心のなかだけで完結させるような物語というか、あんまり広げたくないなと。でもみんな壮大な曲にしたがるんですよ。「タイトルでやったから、それはもういいじゃない」って(笑)。「Crossing Road」はお任せしていたので、その分カップリングは自分の色を出せたらなと。そういった意向でこの楽曲を作っていただき、詞は自分で書きました。
──ひとりの人間の複雑な感情が表現されていますよね。
渕上:自分のなかでモヤモヤしているものが、自分のなかで解決されるまでというか。歌詞にもあるんですけど……いろいろなことがあったけど<もう忘れました>と(笑)。前向きな気持ちというよりかは、「なんかもういいや、めんどくさい、やめた」……という解決の仕方というか。「もうどうでもいいや」って思うこともひとつの解決方法じゃないですか。そういうことを表現できたらいいなと。
──<もう忘れました>もそうですが、<「愛してる」の言葉なんて安いもんです 聞き飽きました>と敬語になっていて。イラっとしてるときって敬語になりますよね……。
渕上:ありますよね! わざわざ敬語で、嫌みったらしく。(声色を低くして早口で)「はいはい、もういいです。すみませんでした」っていう(笑)。ちょっと強がる感じの詞ですね。
──「バレンタイン・ハンター」もそうでしたが、この曲を聴くことで女心が分かるかもしれませんね(笑)。
渕上:アハハハハ! ね。そう思っていただけたら。男性は逆にどう思うのかなっていうのは気になっているところなんです。多分こういう瞬間って女性にはあると思うんです。「私辛いんです! 可哀想なんです! だからなんとかして!」って言ってアピールしたいというか(笑)。男性からしたら、それが女のめんどくさいところかもしれませんが……。
レコーディングの前日にこの歌詞をスタッフの皆さんに送ったんですが、スタッフに男性が多いので「大丈夫かなぁ、どん引かれるんじゃないかなぁ」なんて思っていたんです。でも皆さん笑っていました(笑)。
──そんな“闇”の歌詞ですが、和風の艶やかな音色が印象的です。
渕上:TO-meさんというかたがすごくステキな曲を作ってくれて。レコーディングの日にも大阪からわざわざ来てくださって。レコーディングのあと生のバイオリンを録っていただき、アレンジで切なさがプラスされました。