この記事をかいた人
- 石橋悠
- 1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。
ラストは天谷奴零の「FACES」。いわゆるラップのなかでもトラップというジャンルの曲になります。「FACES」は『ヒプマイ』では麻天狼の「The Champion」に続き2曲目のトラップ曲。
英語と日本語のリリックが巧妙に織り込まれており、一見するだけではなかなか理解するのが難しい上級者向けの曲だと思います。しかし、随所にしっかり韻を踏みながら天谷奴零の人柄やMC MasterMindらしい性格が現れています。
冒頭から「左手首 時を刻む秒針」とブリンブリンな腕時計をアピールしたり、「掌の上転がすストーリー」と裏で暗躍する天谷奴零らしさがクール。
そういったリリックを読み込んでいくと見えてくるのが、「金」「嘘」「暗躍」というようなテーマ性です。実はこれ、かなりヒップホップなマインドで、あんな見た目なのに(悪く言っているわけではありません!)、めちゃくちゃヒップホップをしているのが個人的には好感触です。
もともとヒップホップは、成り上がりのための道具として生まれた側面もあり、「金」「力」「現体制への反抗心」などをテーマにしたものが往々にしてあります。これまでの天谷奴零を見ているとそういった生き方を体現しているようで、ヒップホップらしさも存分に込められているような気がしています。
しかも、「FACES」では「東の地に躍動する遺伝子 一世二代果たすのはリベンジ」と山田家に言及するような内容もあり、天谷奴零のキャラクターを説明しすぎない程度に、しかししっかりと表現されているので、この見せ方には脱帽でした。
特に「あゝオオサカdreamin’night」発売当時は山田家と関係があることは特に言われてはいませんでしたし、この匂わせるのが上手いのが『ヒプマイ』なのだなと思いました。
ちょっと話は飛びますが、事の真相はさておいて、天谷奴零の発表時に「天谷奴→あまやど→amayado→yamada 0→山田0→山田の親父なのでは?」と嗅ぎつけたファンも流石だなと感心したものです。このファンの熱さも『ヒプマイ』ならではですね。
▼作詞・作曲担当のAmonHayashiが手掛けた曲
▼作曲・編曲担当のDirtyOrangeが手掛けた曲
ということで、全曲レビューオオサカ・ディビジョン編はここまで。さらに楽曲を楽しめる内容になっていれば幸いです。
「どついたれ本舗」は個人的にもかなり応援しているチームなので、今後どのようにストーリーに関わっていくのか楽しみです。
まだストーリーの根幹に関わっていそうなのが天谷奴零だけなので、白膠木簓(碧棺左馬刻との関わり)と躑躅森盧笙(白膠木簓に振り回されそう……)の二人がどう動いていくのか。このあたりも注目のポイントです。
さて次回はナゴヤ・ディビジョン「Bad Ass Temple」編をお届けします! こちらもお楽しみに!
[文/石橋悠]
≪収録内容≫
M1.「あゝオオサカdreamin’night」/どついたれ本舗(CV.岩崎諒太・河西健吾・黒田崇矢)
作詞:R-指定 作曲・編曲:DJ松永
M2.「Tragic Transistor」/白膠木簓(CV.岩崎諒太)
作詞:HIDADDY 作曲・編曲:ALI-KICK
M3.「Own Stage」/躑躅森蘆笙(CV.河西健吾)
作詞:蛭間大地 作曲:蛭間大地・maeshima soshi 編曲:maeshima soshi
M4.「FACES」/天谷奴零(CV.黒田崇矢)
作詞:Amon Hayashi 作曲:DirtyOrange・Amon Hayashi 編曲:DirtyOrange
M5. Drama Track「aikata back again」
≪キャスト≫
白膠木簓(ぬるで ささら):岩崎諒太
躑躅森盧笙(つつじもり ろしょう):河西健吾
天谷奴零(あまやど れい):黒田崇矢
◆オオサカ・ディビジョン編
◆ナゴヤ・ディビジョン編
◆イケブクロ・ディビジョン編
◆ヨコハマ・ディビジョン編
◆シブヤ・ディビジョン編
◆シンジュク・ディビジョン編
1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。