『ヒプノシスマイク』新シリーズ全曲レビュー:ナゴヤ・ディビジョン編|変化球な曲と濃いキャラクター性は玄人におすすめ!
音楽に身を任せろ!「そうぎゃらんBAM」
平成初期生まれの僕たちからすると「そうぎゃらんBAM」の作詞作曲をしたDiggy-MO’という人物は、いろんな意味で衝撃を与えた人物だと思います。洋楽のポップスと日本のヒップホップをかけ合わせたようなサウンド、そして独特なリリックとフロウは当時、爆発的な人気を誇っていました。
一度ならず二度聴いても不可解なスキャット風のリリックは、あまりの難易度にカラオケで歌おうものならみんなから「マジか」という目で見られたものです。
というところで、今回の「そうぎゃらんBAM」。これは葉山さんのスキルに驚きました。まさかこんな難易度の高い曲を見事歌い切るとは。かなりの練習をこなしたであろうと思われるその実力には拍手を送らざるを得ません。
まずタイトルの「そうぎゃらん」という言葉なのですが、おそらくは寺院境内などを意味する「僧伽藍(そうぎゃらん)」から来ているものかと思われます。「僧伽藍」は略称で、正式には「僧伽藍摩(そうがらんま)」。
「BAM」は、アメコミなどでもよく登場しますが、その音の響きから「バン!」という音を意味する言葉でもありつつ、「やった!」という意味合いでも使われます。「イエー!」とか「ヤベー!」みたいなニュアンスです。
お察しのいいみなさんはおわかりかと思いますが、「僧伽藍摩(そうがらんま)」=「僧伽藍(そうぎゃらん)」+「BAM(ばん)」=「そうぎゃらんBAM」、ということなのです。言葉の意味と響きを上手く遊びにしたDiggy-MO’らしいタイトルです。
曲のリリックもタイトルと同じく、言葉遊びが豊富に盛り込まれています。そして、この曲を楽しむ上で一番大切なのは、ノリで聴くということです。
リリックを細かく分析するのも面白いのですが、この曲の真骨頂は何よりも耳障りの良さです。まるでラップすらも「そうぎゃらんBAM」を構成する音のひとつかのように、“歌”としてではなく“曲”として聴くと案外すんなり聴けるようになります。
まるで英語がわからないのに洋楽が聴けてしまうような、そんな感覚を日本語で味わうことができるすごい曲でもあるのです。