この記事をかいた人
- 塚越淳一
- アニメイトタイムズでいっぱい書いています。
自宅にいる時間が長くなっている方も多いこのご時世。そんな時はアニソンをじっくり聴いてみるのはいかがでしょうか?
今日から毎日1曲ずつ、おすすめのアニソンをライターの塚越淳一さんが紹介する「塚越淳一のアニソントラベラー」がスタートです!
連載第1回はRADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」。映画『天気の子』の主題歌としても昨年大ヒットになりました。
世界的に外出自粛が叫ばれるなか、書かなければいけない原稿のストックもあまりない状態になり時間を持て余していたしがないライターに、「だったら、アニソンについてコラムを書いてみない?」と、ありがたい話を振ってくれた編集の石橋くん。別に音楽に詳しいわけではないけれど、アニソンならそこそこ語れるかもしれないなぁと思って二つ返事でオッケーしたものの、最初に「こんな感じでどうでしょう…」と僕が出したリストが90年代のアニソンばかりで、「塚越さん、それちょっと、読者がわからないっす」と軽く引かれてしまったので、比較的最近の曲から紹介していくことに相成りました。はい。
第1回に選んだのはRADWIMPSの「愛にできることはまだあるかい」。言わずとしれた大ヒット映画『天気の子』の主題歌だ。僕がRADWIMPSを最初に知ったのは、2006年にリリースされた4thアルバム『RADWIMPS 4~おかずのごはん~』。聴いたときは、BUMP OF CHICKEN以来の衝撃キター!と気絶しかけたのを覚えている。ちなみにこのアルバムは全部名曲なので聴いてほしい。それから結構な時が経ち、2016年に新海監督の『君の名は。』が公開された。これが爆発的なヒットになったわけだが、その大きな要因のひとつにRADWIMPSの音楽があったと言ってしまっても、異を唱える人はそんなにいないだろう。その理由を考えるときっと長くなるので省くけれど、RADWIMPSが新海監督の作品に寄り添い、何度リテイクがあってもそれに対応し続けたことは確実に大きな経験になってるはずだ。「スパークル (movie ver.)」を聴くと、本当にうまいことシーンに合わせて作っている。
で、そんな経験を経ての『天気の子』。普通に考えて、結構なプレッシャーだったと思うが、RADWIMPSはモンスター級のバンドなので、良い曲をバンバン創れてしまうのだ。その主題歌が「愛にできることはまだあるかい」なのだが、この曲のすごいところはAメロをひたすら押し通しているところだ。展開が多い曲が増えた昨今、ひとつのメロディをずっと聴かせることができる、それだけ強いフレーズが生み出すことができるのはものすごい才能だと思う。この曲の(Movie edit)では、実に1分40秒間もAメロを繰り返していて、NHKの番組では、音楽に合わせて、映像のほうを作り変え、廃ビルを建て増ししたというエピソードを監督が話していた。それは2作品を監督とともに創り上げたという信頼関係が成せたことだと思うし、新海監督が音楽の力を信じているからこそ、できた決断だったのだと思う。
そしてもうひとつ、この曲でさらに驚いたのが、“愛にできることはまだあるかい”という言葉。これを聴いたとき、あぁ、この映画で伝えたかったことはそういうことだったのかと、ものすごく腑に落ちたことを覚えている。本当にすごい音楽家は、そういう魔法のような言葉をポンと生み出せてしまう人のことを言うのだろう。天晴。
ちなみにサントラもいいけど、曲としての完成度を求めたいのであれば『天気の子 complete version』をオススメしたい。三浦透子というスペシャルなボーカリストを堪能できるはずだ。
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ