イラストレーターで選ぶライト文芸おすすめ10選|焦茶さん、望月けいさん、loundrawさん、toi8さん、キナコさんなど有名イラストレーターが物語を彩る珠玉のミステリ作品を紹介!
一般文芸よりも読みやすく、若年層から支持を集めている小説ジャンル「ライト文芸」。書籍の表紙には、焦茶さん、望月けいさん、loundrawさんといったネットシーンを代表するような有名イラストレーターが数多く起用されています。
そこで今回は、表紙だけで思わず手に取ってしまうような小説を、ミステリ作品を中心に紹介! キャラクターや世界観を一枚で雄弁に語ったイラストと、一気読み間違いなしな謎と物語が織りなすエンターテインメントをぜひ体感してみてください!
ライト文芸とは?
10~30代をメインターゲットとした小説の1ジャンル。明確な定義は難しく、一般文芸とライトノベルの中間的なイメージというのが一番分かりやすいかもしれません。
一般的な文芸書よりも会話文が多く読みやすい、登場人物が個性的でややキャラクター然としている、ライトノベル的な架空の世界観よりも現実的でリアリティのある物語が重視される、といった特徴が挙げられます。また、ミステリや恋愛、感動系の作品が多い傾向にあります。
代表的な作品として頻繁に名前が挙がるのは『君の膵臓をたべたい』(著:住野よる)や『ビブリア古書堂の事件手帖』(著:三上延)、『いなくなれ、群青』(著:河野裕)など。
代表的なレーベルはメディアワークス文庫、新潮文庫nex、講談社タイガ、集英社オレンジ文庫、富士見L文庫、LINE文庫など。
朝比奈うさぎの謎解き錬愛術
行く先々で殺人事件に遭遇し、さらに犯人疑惑を“持たれる”「もたれ体質」な探偵・望月迅人(もちづきはやと)と、彼を偏愛するストーカー美少女・朝比奈うさぎが事件を解決していくラブコメミステリ。
表紙イラストを担当しているのは、バーチャルタレント・樋口楓さんのイベントビジュアル、一部衣装デザインや、ボーカロイド楽曲「幽霊東京」MVイラストなどで注目を集めるイラストレーター・焦茶さん。
ポッキー&プリッツの日を記念して書影公開!! ストーカー美少女が愛の“ついで”に謎を解く!? メフィスト賞史上最大の問題作を放った新鋭による新感覚ラブコメ本格ミステリ『朝比奈うさぎの謎解き錬愛術』(新潮文庫nex 11月28日刊 著:柾木政宗 装画:焦茶 @BARD713 デザイン:川谷康久) 乞うご期待!! pic.twitter.com/ieDetqjUv9
— 新潮文庫nex (@shinchobunkonex) November 11, 2018
超絶美少女だけど盗聴&不法侵入常習犯なうさぎが持つヤバさを見事に表現した、本能的な危機感を煽る赤色が随所随所に光る存在感抜群なイラストとなっています。
「迅人さんはうさぎが好き」という一点を証明するときのみ驚異的な推理力を発揮し、結果的に事件の犯人が明らかになるという斬新な推理パート、すべての物事をポジティブに捉え勘違い発言を連発するうさぎと、嫌々ツッコミながらもときどき彼女にドキドキしてしまう迅人のコミカルな会話がクセになる作品です。
こんな人にオススメ!
・ラブコメもミステリも一緒に楽しみたい欲張りなあなたに
・超絶美少女ストーカーになら追い回されてみたいと思っているあなたに
イラストレータープロフィール
焦茶(COGECHA)
1995年生まれ。持ち運び可能な液タブを使い、日本各地を取材、移動しながら絵を描くスタイルを持つ。2016年よりイラストの仕事を受注しながら、自主制作作品も積極的に発信。これまでの仕事にバーチャルタレント樋口楓のイベントビジュアル、『Fate/Grand Order 電撃コミックアンソロジー11』表紙イラスト、小説装画として『火曜新聞クラブ―泉杜毬見台の探偵―』、『重力アルケミック』など。
著者プロフィール
柾木政宗(まさき まさむね)
1981(昭和56)年、埼玉県生れ。ワセダミステリクラブ出身。2017(平成29)年、『NO推理、NO探偵?』でメフィスト賞を受賞し、デビュー。他の著書に『朝比奈うさぎの謎解き錬愛術』『ネタバレ厳禁症候群~So signs can't be missed!~』がある。
閻魔堂沙羅の推理奇譚
自分の命を奪った殺人犯を推理することができれば生き返り、分からなければ地獄行きという推理ゲームを死んだ人間に持ちかける閻魔大王の娘・沙羅と、種々さまざまな殺人事件の被害者のやりとりを描いた一話完結型のミステリです。
初音ミクやボーカロイド関連のイベントビジュアルなどで知られる望月けいさんが表紙イラストを担当。情け容赦なく人間を地獄に突き落とす冷徹さを表したツンとした表情、まるで10代の少女のような現代的なファッション、それとは不釣り合いな真紅色の仰々しいマント……といった沙羅が持つ浮世離れした存在感がキャッチーに表現されています。
【3月22日発売】第55回メフィスト賞受賞作、講談社タイガから発行される『閻魔堂沙羅の推理奇譚』(木元哉多 著)のカバーイラストを担当させていただきました!初の書籍表紙のお仕事です ぜひチェキよろです??!
— 望月けい (@key_999) February 26, 2018
https://t.co/Nl0LU8tBXl pic.twitter.com/YlvdzZBRSb
女子高生にサラリーマン、はたまた老婆といった具合に毎回主人公が変わり、各々のさまざまな境遇や未練から、生き返りを賭け推理ゲームに挑む様子が描かれます。死ぬ前に自分が見た情報だけで犯人が特定できる、制限時間は10分、といった設定がもたらすスピード感と、短いながらもしっかりと作りこまれた謎の数々が解き明かされていくのが気持ちいい作品です。
こんな人にオススメ!
・短い時間でいろいろなストーリーを楽しみたいあなたに
・TV番組『世にも奇妙な物語』のようにちょっと不思議な体験をするお話が好きなあなたに
イラストレータープロフィール
望月けい
大阪府出身のイラストレーター。エッジの効いたデザインで人気を集める若手イラストレーター。全ての作業をPC一体型の液晶タブレットで行う。書籍やゲームのキャラクターデザインなど幅広く活躍。代表的な仕事にフィギュア「【ワンダちゃんNEXT DOORプロジェクト】FILE:06版」、小説『閻魔堂沙羅の推理奇譚』シリーズイラスト、ゲーム『クリミナルガールズX』メインビジュアルなど。
望月けいツイッターアカウント
望月けい公式ポートフォリオサイト
著者プロフィール
木元哉多(きもと かなた)
埼玉県生まれ。『閻魔堂沙羅の推理奇譚』で第55回メフィスト賞を受賞しデビュー。新人離れした筆運びと巧みなストーリーテリングが武器。
僕は君を殺せない
2015年度ノベル大賞・準大賞受賞作を改題、改稿した長谷川夕先生のデビュー作。巧みな叙述トリックが光るミステリ作品です。
『君の膵臓をたべたい』、『恋のゴンドラ』といった小説の装画をはじめ、アニメの自主製作や、アニメスタジオ「FLAT STUDIO」の設立、劇場版『名探偵コナン 群青の拳』イメージボードなど若くして絶大な人気を誇るイラストレーター・loundrawさんが表紙イラストを担当。一面の雪景色のなか横たわる「誰か」と、その手元から覗く血痕のようにも、花びらようにも見える赤い「何か」に目を奪われるイラストとなっています。
本日発売です!長谷川夕さんの「僕は君を殺せない」の表紙を担当させていただきました。
— loundraw / FLAT STUDIO (@loundraw) December 17, 2015
衝撃のラストに乞うご期待!よろしくお願いします。https://t.co/Hn7C0dsA4q pic.twitter.com/C9PvOHaPpk
ミステリーツアーに参加し猟奇殺人を目撃してしまった「おれ」と、周囲で葬式が相次ぎながらも彼女と穏やかに暮らす「僕」、それぞれのモノローグと会話のみで構成される物語には、得も言われぬ不穏さと不気味さが漂い不思議な緊張感がつきまといます。関係ないと思われたふたつの物語が次第に交わっていき導き出される答えは衝撃的で、最後まで読んだ瞬間タイトルとイラストの本当の意味に気付かされるはずです。
こんな人にオススメ!
・不気味さが徐々に忍び寄ってくるようなホラーテイストな作品が好きなあなたに
・ラストで物語が大きくひっくり返るような、しびれる体験がしたいあなたに
イラストレータープロフィール
loundraw(らうんどろー)
イラストレーターとして10代にして商業デビューを果たす。以降、住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉社)、佐野徹夜『君は月夜に光り輝く』(AMW)、東野圭吾『恋のゴンドラ』(実業之日本社)など、様々な小説作品の装画を担当。透明感、空気感のある色彩と、被写界深度を用いた緻密な空間設計を魅力とし、担当装画の書籍累計販売数は200万部を超える。
また、声優・下野紘、雨宮天らが参加した卒業制作オリジナルアニメーション『夢が覚めるまで』では、監督・脚本・演出・レイアウト・原画・動画と制作のすべてを手がけたほか、漫画家として『あおぞらとくもりぞら』の執筆、アーティスト集団・CHRONICLEでの音楽活動など多岐にわたる。2017年9月に自身初の個展『夜明けより前の君へ』を開催。
loundrawツイッターアカウント
loundraw pixivアカウント
著者プロフィール
長谷川夕(はせがわ ゆう)
『亡霊』で2015年度ノベル大賞、準大賞受賞。受賞作を改題、改稿した『僕は君を殺せない』でデビュー。
美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星
『〈物語〉』シリーズ、『戯言』シリーズなどでアニメファンからも広く知られる作家・西尾維新先生による青春ミステリ。私立指輪(ゆびわ)学園内のトラブルを解決する非公式組織「美少年探偵団」に属する個性豊かな5人の少年と、彼らに振り回され、ツッコミ続ける依頼人・瞳島眉美(どうじままゆみ)のテンポのいい会話が楽しい作品です。
イラストを担当しているのは二次創作出身、アニメ『ガッチャマン クラウズ』キャラクター原案を経て本格的に商業デビューしたイラストレーター・キナコさん。可愛さと耽美さを兼ね備えた美少年5人を色彩豊かに描いています。
『美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星』(10月20日発売・講談社タイガ)のカバーデザインが完成しました!イラストはキナコさん、デザインはVeiaさんです。愚かで眩しい五人の美少年――あなたは誰がお好みですか? pic.twitter.com/lqo6MYc0bj
— 西尾維新公式情報 (@NISIOISIN_info) October 1, 2015
「10年前に一度だけ見た星を探してほしい」という眉美の依頼は、意外な方向に進んでいき気づけば警察や犯罪組織まで関わる大事になっていきます。そんなスケールの大きさにもまったく動じない5人の少年たちが、美脚、美食、美術、美声そして美学……それぞれが持つ圧倒的な才能を駆使し鮮やかに事件を解決するさまに、きっと病み付きになることでしょう。
こんな人にオススメ!
・推しのキャラクターを見つけてとにかく愛でたいあなたに
・スピード感とダイナミックなストーリー展開が好きなあなたに
イラストレータープロフィール
キナコ
イラストレーター。おもな仕事に、TVアニメ『ガッチャマン クラウズ』のキャラクター原案、ブラウザゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』岩融、巴形薙刀のキャラクターデザイン、西尾維新の学園推理小説『美少年』シリーズの装画、乙女ゲーム『鏡界の白雪』キャラクターデザインなど。
著者プロフィール
西尾維新(にしお いしん)
1981年生まれ。天才が集められた孤島で起きた密室殺人を描くミステリー『クビキリサイクル』(講談社)で、第23回メフィスト賞を受賞、デビュー。同作に始まる『戯言』シリーズ、『〈物語〉』シリーズ、『忘却探偵』シリーズなど、著作多数。
[映]アムリタ 新装版
TVアニメ『正解するカド』、劇場アニメ『HELLO WORLD』で脚本を務め、アニメ業界からも注目を集める作家・野崎まど先生のデビュー作。芸大の映画サークルに所属する凡百な青年・二見遭一(ふたみあいいち)が、天才新入生・最原最早(さいはらもはや)の作る“特別な”映画に参加することから始まる数奇な運命を描いた青春ミステリです。
『Fate』シリーズの派生作品『Fate/strange Fake』にてイラストとコミカライズを担当する漫画家・イラストレーターの森井しづきさんが表紙イラストを担当しています。
2019年9月25日発売の #メディアワークス文庫 表紙とあらすじを公開!
— メディアワークス文庫 (@mwbunko) September 19, 2019
『[映]アムリタ 新装版』(著/ #野崎まど )
『バビロン』『HELLO WORLD』の鬼才・野崎まどデビュー作再臨!https://t.co/Iff5QWZJ5I pic.twitter.com/IKmmavGPUI
天才映画監督・最原最早こそがこの物語のすべてということを象徴するように、真っ白の背景に彼女がひとりたたずむだけという印象的な表紙。芸大生なのにまるで10代前半かのような年齢不詳感、なにを考えているのかまったく読み取れない表情といった特徴を見事に掴んでおり、美しいけれどもどこか不気味な存在感を放っています。
無表情でくだらない冗談と小ボケを挟み続ける最原、それをひたすらさばき続ける二見が繰り広げる漫才のような会話と、彼女が作る映画が持つ異常な“力”が徐々に明かされていくさまに、ページをめくる手が止まらなくなるはずです。
こんな人にオススメ!
・映画『HELLO WORLD』、アニメ『バビロン』で「野崎まど」という作家を知ったあなたに
・『〈物語〉』シリーズのような、キレのあるボケとツッコミの応酬を楽しみたいあなたに
作品関連URL
探偵AIのリアル・ディープラーニング
人工知能研究者の父を持つ高校生・輔(たすく)が「探偵」のAI・相以(あい)とともに、父を殺した犯人とその裏で暗躍するテロ集団が持つ「犯人」のAI・以相(いあ)の謎に迫る、新感覚推理バトル作品。
『〈物語〉』シリーズの装画で知られる台湾のイラストレーター・VOFANさんが表紙イラストを担当しています。銅像や鉢植え、クラゲの絵画など独特なモチーフが配置された部屋のなか、淡い光をたたえながら微笑を浮かべる相以が描かれており、落ち着いた色合いながらも目を惹かれてしまう魅力を備えています。
スマホの中から表情豊かに語りかけてくる相以と、なし崩し的に出会うことになった輔が徐々に心を通わせていくさまや、以相が仕掛ける巧妙な犯罪のトリックを見破っていく推理パートなど、会話劇としても本格ミステリとしても見どころが満載。
近年注目を集めるAIの基本的な知識から、「フレーム問題」、「シンボルグラウンディング問題」といった現在のAIの課題などをうまく物語上に盛り込んでおり、楽しみながら知識が身に付くのも嬉しいポイントです。
こんな人にオススメ!
・探偵と犯人が己の知能を尽くした熾烈なバトルを繰り広げる作品が好きなあなたに
・AIについて知りたいけど、難解な専門書は読みたくないワガママなあなたに
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VOFANpixivアカウント
著者プロフィール
早坂吝(はやさか やぶさか)
1988(昭和63)年、大阪府生れ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。2014(平成26)年に『○○○○○○○○殺人事件』でメフィスト賞を受賞し、デビュー。同作で「ミステリが読みたい!」新人賞を受賞。他の著書に、『探偵AIのリアル・ディープラーニング』『虹の歯ブラシ』『誰も僕を裁けない』『双蛇密室』『殺人犯 対 殺人鬼』などがある。
今夜、君に殺されたとしても
連続猟奇殺人の犯人として逃走中の双子の妹・乙黒アザミを匿う高校生・橘終(たちばなおわり)が事件の真相、そして異常犯罪者の心理に迫っていくクライムサスペンス。
表紙イラストは、上海やジャカルタなど日本のみならずアジア各地で個展を開催するほどの人気を誇るデジタルアーティスト・watabokuさんが担当。美しく透明感がありながらも、瞳の奥に闇が覗くアザミを大きく描いたインパクト抜群の表紙となっています。
もはや担当がなにか言う必要もない感じになっていますが、来月発売の瀬川コウさん『今夜、君に殺されたとしても』、書影がこちらです。イラストはwatabokuさん(@wataboku_)。正直、天才だと思います。https://t.co/zGTmLkucBd pic.twitter.com/FL2DSDBS3c
— 講談社タイガ (@kodansha_taiga) December 22, 2017
両親を亡くし、たったひとりの肉親であるアザミを深く愛しながらも、常識とは違う異常性を持つ彼女をどうしても信じきることができない終。深く苦悩するうちに事件が次々と発生し、謎は混迷を極めていきます。次第に語られていく兄妹の過去と、連続猟奇殺人の真相が交錯するラストは必見です。
こんな人にオススメ!
・猟奇的な事件が登場する、緊張感漂う物語が好きなあなたに
・アニメ『ハッピーシュガーライフ』のように、一般的ではない価値観と共生する物語が好きなあなたに
イラストレータープロフィール
wataboku
日本人デジタルアーティスト。架空のキャラクターSAIを使った作品をソーシャルメディアで展開し国内外から反響を得ている。2016年末に初の個展を表参道ROCKETにて開催し、国内各地での展示に加え、上海・ジャカルタでも個展を開催した。2017年から翌年にかけてアジアツアーを敢行。日本国大使館JCCをはじめアジア4都市で個展を開催し数千人の来場者数を記録。イラスト・アートディレクション・キャラクターデザイン・コンセプトアート等多岐に渡って活動している。アートブック「感0」がポニーキャニオンより発売中。
watabokuツイッターアカウント
wataboku公式サイト
著者プロフィール
瀬川コウ(せがわ こう)
1992年、山梨県生まれ。2014年、『完全彼女とステルス潜航する僕等』でデビュー。E★エブリスタ投稿の「謎好き乙女と奪われた青春」でスマホ小説大賞新潮文庫賞を受賞し、同作からはじまる「謎好き乙女」シリーズ(すべて新潮文庫nex)で一躍注目を集める。
君が電話をかけていた場所/僕が電話をかけていた場所
WEB小説投稿時代の名義「げんふうけい」としても知られる三秋縋先生が上下巻で発表した作品。『三日間の幸福』や『恋する寄生虫』など青春時代の心模様や恋愛感情を巧みに描いた作品を得意とする筆者らしさが詰まった、ある少年が体験するひと夏の不思議な出来事が描いた青春ミステリです。
大人気ショートショートシリーズ『5分後に意外な結末』シリーズの装画などで知られるイラストレーター・usiさんが表紙イラストを担当。反転させたような構図と、真ん中の一本の木がつながることで上下巻のイラストに統一感を持たせている美しいイラストとなっています。昼と夜の時間帯、公衆電話に人魚像、望遠鏡に車いすと各巻が持つ印象やモチーフの違いにも注目です。
【電子書籍配信!】メディアワークス文庫『君が電話をかけていた場所』(三秋 縋) 暗闇に鳴り響く公衆電話のベル。受話器を取ってしまったその瞬間、不思議な夏が始まる。 http://t.co/ert7x9e3YQ pic.twitter.com/D0UT3hsqW4
— メディアワークス文庫 (@mwbunko) September 24, 2015
本日発売!! 『僕が電話をかけていた場所』(著/三秋 縋) もう一度、あの恋に賭けてみようと思った。二ヶ月連続、上下巻構成で贈る三秋縋の完全新作。 http://t.co/qyWKJITJkI pic.twitter.com/G47RET3p7u
— メディアワークス文庫 (@mwbunko) September 24, 2015
生まれつき顔に大きな痣を持つ少年・深町陽介にかかってきた奇妙な電話。「顔の痣を消すので、50日以内に初恋の相手を射止めてみせよ」という賭けを受けたことで始まった濃密な夏の物語が展開していきます。
コンプレックスがなくなったことで変わっていく陽介の価値観、次第に親しくなっていくクラスメイトの美少女・荻上千草の存在、3年ぶりに再開した初恋の人の顔に浮かぶ醜い痣、そして電話をかけてきた女の正体……。目まぐるしく展開していく謎と物語、迫るタイムリミットがもたらす緊迫感が次のページ、次のページと意識を掻き立てる一気読み必至の作品です。
こんな人にオススメ!
・高校生の少年少女が抱える等身大の苦悩と、夏の香りを感じたいあなたに
・アニメ映画『時をかける少女』のような青春SF作品が好きなあなたに
著者プロフィール
三秋縋(みあき すがる)
1990年、岩手生まれ。「げんふうけい」名義でウェブ上に小説を発表して人気を博し、2013年に『スターティング・オーヴァー』で作家デビュー。主な著作に『三日間の幸福』『いたいのいたいの、とんでゆけ』『恋する寄生虫』(いずれもメディアワークス文庫)など。
三秋縋ツイッターアカウント
『君が電話をかけていた場所』作品紹介ページ
人ノ町
文明が衰退し、崩れ行く世界を放浪するひとりの旅人。彼女が訪れた6つの町で起こる不可思議な事件から見えてくる世界の真実と“禁忌”を描いた一風変わったミステリ作品です。
アニメ化も果たした漫画『少女終末旅行』で知られる漫画家・つくみずさんが表紙イラストを担当。細部まで描きこまれた灰色の都市群が画面いっぱいに広がる、一目で世界観が分かるようなイラストになっています。ほぼ白、黒、灰色の画面だからこそ赤字のタイトルと旅人の姿が一層際立ちます。
新刊書影公開!『人ノ町』 (著:詠坂雄二 装画: つくみず @tkmiz デザイン:川谷康久 7月26日発売)注目の鬼才による異形のミステリーが書き下ろし新章追加で文庫化!! 『少女終末旅行』のつくみずさんの魅力的な装画が目印です。ご予約お待ちしております。 pic.twitter.com/ECGsjYWylh
— 新潮文庫nex (@shinchobunkonex) July 13, 2019
風が吹き続け、風車によって恩恵を得てきた街、獣の神の伝説が伝わる、人々が犬と共生する街など、風土や建築様式、思想や信仰もさまざまな6つの街での出来事が描かれていきます。一見SFチックで、みなさんが頭に思い浮かべるミステリとはやや違うかもしれませんが、さまざまな事柄が少しずつ繋がっていき、ひとつの真実が解き明かされていくさまはまさしくミステリの快感。巧妙に練られたストーリー運びに脱帽すること間違いなしです。
こんな人にオススメ!
・荒廃した未来を舞台にしたSF作品が好きなあなたに
・断片的な情報から、時系列や謎を考察していくのが好きなあなたに
イラストレーター関連URL
著者プロフィール
詠坂雄二(よみさか ゆうじ)
1979(昭和54)年生れ。2007(平成19)年、『リロ・グラ・シスタ』が綾辻行人に激賞され、デビュー。独特な作風が常にミステリファンの期待を集めている。他の著書に『T島事件~絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか~』『ナウ・ローディング』『インサート・コイン(ズ)』『ドゥルシネーアの休日』『君待秋ラは透きとおる』などがある。
メトロポリス探偵社 空想東京百景<令>
講談社BOXより刊行していた『空想東京百景』シリーズがレーベルを変え再始動。過去作からのつながりこそあるものの、作中時間が大きく進み、主人公たちも一新、世界観の説明も丁寧なので今作から読んでもまったく問題ありません。
昭和20年に落とされた「3発目の新型爆弾」によって壊滅した平行世界の〈東京〉を舞台にしたシリーズですが、今作では長い年月が過ぎ元号が「令和」となった時代が舞台に。新型爆弾の影響で、ミュータントやら、異能やら、怪現象が日常的になってしまったカオスな街で起こる事件を〈メトロポリス探偵社〉の若き社長代行・矢ノ浦光鶴(やのうらみつる)と、見た目は可憐な14歳、中身は謎多き「魔女狩りの魔女」九葉祀(くようまつり)が解き明かしていくオカルトパンク伝奇探偵活劇です。
イラストを担当しているのは、『Fate/Grand Order』にてサーヴァント・虞美人のイラストなどを手掛けるイラストレーター・toi8さん。祀が纏う真っ赤な制服が目を惹き、後ろにひしめく異界の〈東京〉の建物に圧倒される、密度の高いイラストとなっています。
メトロポリス探偵社 空想東京百景〈令〉 【LINE文庫】/ゆずはらとしゆき toi8/イラスト 本・コミック : オンライン書店e-honhttps://t.co/AiraPwgnGP
— ゆずはらとしゆき (@yuz4) October 18, 2019
文庫版、12月6日発売決定しました! LINEノベル版に加筆修正&描き下ろしイラストが加わってますー。 pic.twitter.com/5R9fo7Hpd5
アニメにラノベにドラマにサブカル……我々が生きている現代と限りなく近い文化変遷をしてきた〈東京〉には、どこかで聞いたような作品名が大量に出てきます。ウィットに富んだ会話に挟まれる、細かすぎるネタの数々がいちいち面白く、読者を飽きさせません。
異能と怪異が乱れ咲くダイナミックなバトルシーンをはじめ、冒険活劇的な面が強いですが、謎の真相に迫っていく推理を披露する探偵らしい推理パートもしっかり存在するのでどうかご安心を。
こんな人にオススメ!
・アクション、ミステリ、ラブコメ、オカルト、SF……雑多なジャンルを煮込んだ闇鍋みたいな作品が好きなあなたに
・アニメ『血界戦線』のように、荒唐無稽な怪事件や、破天荒な大立ち回りを描いた活劇が好きなあなたに
イラストレータープロフィール
toi8(といはち)
イラストレーター/アニメーター。2002年「カラフルピュアガール」誌に掲載された『空想東京百景』(ゆずはらとしゆき共著/講談社BOX)でイラストレーターとしてデビュー。『嘘つきは妹にしておく』(清水マリコ/MF文庫J)をはじめ、ライトノベルのイラストも数多く手がけている。
2009年には自身初の画集となる『幻想少女 toi8アートワークス 』(メディアファクトリー)を発表したほか、『季刊 GELATIN』(ワニマガジン社)で本格的なマンガ形式の作品にも挑戦している。独特の筆致で描き出されるイラストの世界観が多くのファンに支持され、『地球のまん中 わたしの島』(杉本りえ/ポプラ社)では児童向け文学の装画を担当、荒川弘原作の人気アニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』では「路地デザイン」としてクレジットされるなど、活躍の幅を広げている。
著者プロフィール
ゆずはらとしゆき
漫画原作者やゲームシナリオライターの傍ら、2000年に小説デビュー。寡作ながらも、イラストレーター・toi8とのコンビによる『空想東京百景』シリーズは2002年から複数の出版社で書き継がれ、代表作にしてライフワークとなっている。
作家活動以外にも〈パノラマ観光公社〉名義で企画した『平安残酷物語』『のばらセックス』――〈日日日×千葉サドル〉シリーズなど、企画者/編集者としても活動中。
ゆずはらとしゆきツイッターアカウント
『メトロポリス探偵社 空想東京百景〈令〉』作品紹介ページ
[文/篭法]