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【今日のおすすめアニソン】太田貴子「デリケートに好きして」【塚越淳一のアニソントラベラーvol.12】

太田貴子「デリケートに好きして」【毎日1曲おすすめのアニソンをあなたに 塚越淳一のアニソントラベラーvol.12】

毎日1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。金曜日は懐メロ回! 連載第12回は、懐かしの魔法少女アニメ『魔法の天使クリィミーマミ』より、太田貴子の「デリケートに好きして」です。

僕らの世代からすると小さいころに再放送で見ていたという人もいるかもしれません。昔の魔法少女アニメって、当時の女の子の夢が詰まっていて、子供心ながら「女の子はこんなのが好きなのか〜」と思っていたものです。

さて、塚越さん。懐メロ回は饒舌になるので、今回もたっぷりと語ってくれているみたいです!

 

ぼくらの魔法を見せるわ 本当よ

先週、『マクロス』シリーズについて長々と書いたが、80年代はアイドル全盛だったので、その波がアニメにも押し寄せていくのは当然のことで、僕らはそのころアニメを見る側の子供だったので、当然芸能界に憧れを抱くようになるための洗脳が施されていたわけである(笑)。そのファーストインパクトと言ったら、やはりTVアニメ『魔法の天使クリィミーマミ』(以下:クリィミーマミ)だろう。

今思えばなのだが、子供の頃から高田明美さんのキャラクターデザインが好きだったらしく、『うる星やつら』『めぞん一刻』『きまぐれオレンジ☆ロード』が好きで見ていた覚えがある(再放送で、とかもあるが)。しかも高校生くらいになると、それらの歌を集めるのに夢中になり、結果今でもかなり聴いていたりするので、絵だけでなく音楽も好きだったから見ていたのだろう。ただ、アイドルアニメとして僕が一番最初に認識したのはマクロスではなく実は『魔法の天使クリィミーマミ』だ。

ちなみに『クリィミーマミ』はスタジオぴえろの魔法少女シリーズの第1作目でオリジナル作品だ。これはそれまでの東映魔法少女シリーズがあって生まれたムーブメントで、『クリィミーマミ』は変身モノにアイドルをかけ合わせたという意味で画期的であった。

その『クリィミーマミ』は、挿入歌含めて素晴らしい曲ばかりで、「LOVEさりげなく」のイントロなんて最高にクールで、ギターもすごくカッコいい。織田哲郎さん作曲の「美衝撃(ビューティフル・ショック)」もギターがいい味を出している。「BIN・KANルージュ」は、今やアニソン好きで知らない人はいないであろう岩里祐穂さんが作詞をしている。

そんな名曲だらけの楽曲の中でも、アニソン史に燦然と輝く曲といえば、最初のオープニングテーマ「デリケートに好きして」だろう。これを聴いて世の男たちは女の子のことを勉強したほうがいいと思うくらいなのだが、そもそもタイトルの“デリケートに好きして”って何なんだよ?と思うだろう。もちろん、歌詞を読んでいけば何となく意味はわかるのだけど、タイトルだけ見たら文法的にあきらかにおかしい。でも、「デリケートに好きして」という語感やフレーズとしての強さがそれに勝っている。この言葉を生み出した人は紛れもない天才だ。

インパクトはそこだけでなく、Aメロからもうヤバさが炸裂している。いきなり女の子は、好きと嫌いだけで普通がないと言い切っているのだ。ここで、マジか!と。よく「興味がない」は「嫌い」より脈がないとか言われるけど、真理だったのだなと思ったところで、本当に怖いのは2番のAメロだ。

《興味ない人と一秒も 一緒にいられない私達》………やばい、生きていけそうにない。この歌詞を見たとき、女の子は俺になんて当然興味がないから一秒も一緒にいたくないんだろうなと思ったとか思わなかったとか。そして、最後はそんな女の子のハートだから、デリケートに“好き”しなさいよと連呼されるという。もうめちゃくちゃだけど、このぐっさりえぐられる感じが最高なのだ。作詞家は男性なんだけどね…。

ただ、そんな『クリィミーマミ』の名曲の数々は、太田貴子さんのボーカルがあったからこそ成立しているのは間違いない。声がそもそも素晴らしいし、この独特の歌い方、鼻にかかった感じというのだろうか、そして声の抜き方がとにかく優しい。飯島真理さんと同じく太田貴子さんも声優としては初心者でアニメの世界に入ってきているんだけど、歌が選考の大部分を占めていたのだから、歌が今もずっと残っているのは納得できるし、当時の選択は間違えていなかったんだろうなと思える。ちなみに、僕はおふたりの演技もたまらなく好きなので、そこはくれぐれも強調しておきたい。天晴。

 

塚越淳一プロフィール

『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。

塚越淳一のアニソントラベラー|バックナンバー

vol.1:RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」
vol.2:LiSA「紅蓮華」
vol.3:オーイシマサヨシ「君じゃなきゃダメみたい」
vol.4:亜咲花「SHINY DAYS」
vol.5:飯島真理「愛・おぼえていますか」
vol.6:UNISON SQUARE GARDEN「シュガーソングとビターステップ」
vol.7:紗倉ひびき&街雄鳴造「お願いマッスル」

vol.8:鈴木雅之「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」
vol.9:水瀬いのり「ココロソマリ」
vol.10:ChamJam「Clover wish」
vol.11:フランシュシュ「徒花ネクロマンシー」
vol.12:太田貴子「デリケートに好きして」
vol.13:Rhodanthe*「Jumping!!」
vol.14:MADKID「RISE」

vol.15:早見沙織「夢の果てまで」
vol.16:坂本真綾「クローバー」
vol.17:Run Girls, Run!「Share the light」
vol.18:shami momo「町かどタンジェント」
vol.19:TM NETWORK「Get Wild」
vol.20:the pillows「Happy Go Ducky!」
vol.21:supercell「君の知らない物語」

vol.22:μ’s「Snow halation」
vol.23:レン(楠木ともり)「To see the future」
vol.24:ワルキューレ「一度だけの恋なら」
vol.25:22/7(ナナブンノニジュウニ)「ムズイ」
vol.26:うしろゆびさされ組「うしろゆびさされ組」
vol.27:SEATBELTS「TANK!
vol.28:小倉唯「ハピネス*センセーション」

vol.29:畠中祐「not GAME」
vol.30:i☆Ris「アルティメット☆MAGIC」
vol.31:よりもい「ここから、ここから」
vol.32:Galileo Galilei「青い栞」
vol.33:WANDS「世界が終るまでは…」
vol.34:後ろから這いより隊G「太陽曰く燃えよカオス」
vol.35:伊藤美来「守りたいもののために」

vol.36:宮野真守「光射す方へ」
vol.37:鬼頭明里「Tiny Light」
vol.38:和氣あず未「Hurry Love」
vol.39:ペコリーヌ、コッコロ、キャル「Lost Princess」
vol.40:森口博子「水の星へ愛をこめて」
vol.41:中島愛「髪飾りの天使」
vol.42:新越谷高校女子野球部「プラスマイナスゼロの法則」

vol.43:ORESAMA「Trip Trip Trip」
vol.44:あいみょん「空の青さを知る人よ」
vol.45:中野家の五つ子「五等分の気持ち」
vol.46:Official髭男dism「FIRE GROUND」
vol.47:坂本真綾「約束はいらない」
vol.48:麻倉もも「ユメシンデレラ」
vol.49:Mrs. GREEN APPLE「インフェルノ」

vol.50:堀江由衣「バニラソルト」
vol.51:チーム "ハナヤマタ”「花ハ踊レヤいろはにほ」
vol.52:大槻ケンヂと絶望少女達「あれから(絶望少女達2020)」
vol.53:鈴木みのり「FEELING AROUND」
vol.54:放課後ティータイム「U&I」
vol.55:ClariS「コネクト」
vol.56:OxT「UNION」

vol.57:千石撫子「恋愛サーキュレーション」
vol.58:田村ゆかり「おしえて A to Z」
vol.59:GRANRODEO「Can Do」
vol.60:内田真礼「ギミー!レボリューション」
vol.61:FLOW「DAYS」
vol.62:雪ノ下雪乃&由比ヶ浜結衣「Hello Alone」
vol.63:May'n/中島愛「ライオン」

vol.64:森川美穂「ブルーウォーター」
vol.65:森口博子「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」
vol.66:加藤登紀子「時には昔の話を」
vol.67:川添智久「STAND UP TO THE VICTORY ~トゥ・ザ・ヴィクトリー~」
vol.68:Fire Bomber「SEVENTH MOON」
vol.69:高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」

 

アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ

この記事をかいた人

塚越淳一
アニメイトタイムズでいっぱい書いています。

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