脚本は映画数本分!?実写ではできないことをアニメでやりたくて――夏アニメ『GREAT PRETENDER』鏑木ひろ監督×脚本・シリーズ構成 古沢良太氏インタビュー
世界中で悪いヤツをだます詐欺師のチームの設定に。ロケ地を選んだ意外な理由とは?
――主人公の枝村たちは海外を飛び回るわけですが、舞台設定はどのように決められたのですか?
古沢:世界中いろいろな都市で、いろいろな悪いヤツをだますというところから始まって。映えるところを選んでいきました。
鏑木:だから観光地が多いです(笑)。
――では大掛かりなロケ班も?
鏑木:そこは予算もあるので(笑)。行けるところは行って写真を撮って、行けないところはグー●ルさんのお世話になりました(笑)。
――なるほど(笑)。昔だったらできない作品と言えるかもしれませんね。
鏑木:逆に言えば、昔はもっと簡単にでっち上げられたけど、今は調べられるのでウソがつきづらくなってますね。
――キャラクターはどのように構築されたのでしょうか?
古沢:詐欺師を描くのであれば、詐欺師のチームがあったほうがいいなと思って。そして各Caseごとにそれぞれのキャラが深堀されていくように、メインとなる4人の詐欺師をまず作ろうと。
その中には日本人もいたほうがいいかなって。詐欺師だけど愛嬌があって、どこか憎めず。そしてだまされやすいほうが愛されるだろうと思って、エダマメを作りました。
次は彼と対照的に何を考えているのかわからない、得体の知れないリーダー格の天才ローランで。
あとは女性2人で、1人はアニメのヒロイン的じゃないほうがいいと思って、中東系の影のある傷を背負った少女に、残りは単純にセクシーな大人の女性にしようと(笑)。
――ご自身以外のスタッフチームはどのように決まったのでしょうか?
鏑木:現場に関しては一緒にやりたい人の名前を挙げて、岡田(麻衣子)さん(WIT STUDIO)にお願いして、ほぼオーダーに近い形で皆さん引き受けてくれました。
メインキャラを演じるキャストが決まったポイントとは?
――メインキャラのキャスティングについて、それぞれ決め手になったポイントを教えてください。
鏑木:エダマメこと枝村役の小林(千晃)君は、オーディションの中で一番、体当たり感があって、エダマメっぽいなと思って選びました。ローラン役については高くて低い、中低音の声質で、ひとクセありそうな感じを求めて、オーディションの結果、諏訪部(順一)さんに決まりました。
アビーはボーイッシュで若く、少年もできそうな人がいいかなと思い、藤原(夏海)さんに。ポーラについては、かわいい芝居ときれいな芝居、どちらもできるということで園崎(未恵)さんがいいなと。またキャラを構築する際に「アン・ハサウェイみたいな感じで」と古沢さんが初期に言っていた気がするんですけど、園崎さんが吹き替えで担当されていたことを後に知りました(笑)。
――古沢さんはオーディションに立ち会われたのですか?
古沢:参加せず、すべてお任せしましたが、決まったキャストの皆さんはイメージ通りにハマっていました。収録も見学させていただきましたが、新鮮でしたね。結構、細かい指示があって、何度も録り直しているんだなと。またブースに全員で入っているのも。
鏑木:ブース内は圧が凄いですよね(笑)。
――監督からキャストの皆さんに説明はされたのでしょうか?
鏑木:最初の顔合わせの時まだシナリオしか上がっていない状態だったので、「どういうやり方がベストなんだろう? 知らないまま収録してもらうのか、全部知ってもらった上でやってもらったほうがいいのだろうか?」と悩みましたが、紆余曲折の末、収録の時に必要なことを説明すればいいんだという結論に落ち着きました。皆、知ってるフリをするのが上手かったし。