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- 塚越淳一
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毎日1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。毎週金曜日は懐かしのアニソンをご紹介! 連載第33回は、TVアニメ『SLAM DUNK』より、WANDSの「世界が終るまでは…」です。
みなさん知っていますか? 一時期、CDは円盤が小さくて、ジャケットは縦長の細身だったんです。今どきの正方形に近い形ももちろんありましたが、シングルCDはもっぱら小さくて細かったんです。嘘じゃないですよ。WANDSの「世界が終るまでは…」で検索してみたり、近くの30代以上の大人に聞いてみてください。
ということで、WANDSの「世界が終るまでは…」も当時は細身のジャケットでした。『SLAM DUNK』は言わずもがないい作品で、筆者もこの作品をきっかけにバスケを始めたものです。
思い出がいっぱい詰まっている曲なので、長くなりそう。こんなところで塚越さんへ!
「おどるポンポコリン」で幕を開けた90年代。92年にはTVアニメ『幽☆遊☆白書』が、93年にはTVアニメ『SLAM DUNK』が放送された。この頃の『週刊少年ジャンプ』の勢いはものすごく、毎週販売部数が600万部超えをしていたりするので、本当に誰もが読んでいるという印象があった。続きが気になって、ちょっと早く売ってくれるお店の噂を聞いては、そこのインターホンを鳴らして買ったものである。ただ、高校生くらいで、早く読んでも、どうせ1週間待つんだからいつ買っても一緒じゃんと気づくわけだが。
当時はJ-POPも全盛で、ミリオンセラーを達成する曲があちこちにあった。Mr.Childrenやスピッツがメジャーデビューをしたのも90年代前半である。
80年代後半から、アニメ主題歌のJ-POPタイアップという流れが出来始めていたと思うのだが、90年代に関しては、これは本当にアニメのために作られたのかな? という曲が、今にして思えば多かったように思う。ただ、アニメを見ている側からすると、まだ子供だったので、そんなことほとんど気にしてなかった。
『SLAM DUNK』は、当時誰もが好きだった大ヒットバスケ漫画だったのだが、そのタイアップもまた強力だった。最初のエンディングテーマが大黒摩季の「あなただけ見つめてる」でミリオンセラーを達成している。そして、その次のエンディングテーマになったのが、WANDSの「世界が終るまでは…」だ。この曲はとにかくカッコ良かったし、何より上杉昇のボーカルがロックだった。
作曲は、織田哲郎さんで、この時すでにZARDの「負けないで」「揺れる想い」、中山美穂&WANDSの「世界中の誰よりきっと」といった90年代を代表するヒット曲の多く手掛けていた作曲家。冒頭に書いた「おどるポンポコリン」も織田哲郎さん作・編曲によるものだ。つまり、時代を作ったJ−POP界のレジェンドと言っていいだろう。まぁ、これに関してはもう少し書くべきことがあったりするのだが、少し複雑になってしまうので省略する。
織田さんと言えば、『Animelo Summer Live 2012』で、テーマソング「INFINITY~1000年の夢~」の作曲をしていて、その年にサプライズゲストとして登場したことを覚えている人も多いのではないだろうか。そして、そのとき上杉昇と共に披露したのが、まさしく「世界が終るまでは…」だった。これ、実はかなり歴史的な瞬間だったと思うので、当時生で見ててものすごく感動したのを覚えてる(しかもTETSU名義でリリースした『装甲騎兵ボトムズ』のオープニングテーマ「炎のさだめ」も歌唱してくれた!!)。
やはり織田さんの曲は、メロディーが良いし王道感がある。提供曲に関しては売れる曲というのも意識していたのかなと思う。やはりリスナーが好きなメロディーや展開が多かったし、それが今聴いても良い曲であり続けているのが素晴らしい。
ただ、本当に今にして思うのは、《大都会に 僕はもう一人で》って歌い出しから、まったく『SLAM DUNK』じゃない(笑)。そもそも舞台は神奈川の湘南のほうだし…。
このあたりの上杉昇の歌詞の尖りっぷりって、アニメに関係あるなしに関わらず実は好きで、WANDSは次のシングルで「Secret Night ~It's My Treat~」というめちゃめちゃ尖ったロック曲をリリースしたのだけど、それにすごくドキドキしたのを覚えている。
このへんで自分もグランジ&オルタナといった楽曲が好きになっていくので、アニソンからそのアーティストを好きになっていくと、音楽感も変わっていったりしますよね! という話でまとめます。天晴!
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ