【連載第7回・王の話をするとしよう(マーリン)】『FGO』がもっと楽しくなる!?『Fate』シリーズに関連した様々な用語・ネタを解説!
王の話をするとしよう とは?
「王の話をするとしよう」とは、マーリンの宝具発動時のカード選択時に流れる台詞。宝具は「永久に閉ざされた理想郷」(ガーデン・オブ・アヴァロン)。
宝具展開時に出現する塔は、湖の妖精・ヴィヴィアンの魔術によってマーリン自身が幽閉されたとされる塔で、その周囲の空間は、彼の存在が許される牢獄でもある理想郷(アヴァロン)となっています。
ここでいう「王」とはアルトリア・ペンドラゴンをはじめとする、彼が見守ってきた歴代の王たちだと思われ、実際にドラマCD化もされた奈須きのこ氏による小説「Garden of Avalon」は、王だった頃のアルトリアの過去が、マーリンの口から語られるという形になっています。
この台詞がネタとして定着することになった理由は、なんといっても「味方全体にHP回復・NP及びスター獲得状態を5ターン付与」という凄まじい効果と、宝具の回転率の高さからでしょう。
アーツ3枚のカード構成とNP効率、宝具のNP獲得効果にスター獲得によるクリティカルの出やすさなどが相まって、宝具の効果をほぼ途切れさせることなく戦闘を継続することができます。
とくにフレンドのマーリンを編成した「Wマーリン」時の回転率は圧巻で、「王の話をするとしよう」の台詞を毎ターンのように耳にすることになります。
それほどに強力無比なマーリンの宝具ですが、実はメインストーリー1部7章でのゲスト時には、上記に加えて「発動時に味方全体のHPを回復」する効果もあり、そのチートっぷりに拍車が掛かっていました。
第7章のラスト付近での、マーリンの宝具とエレシュキガルの「冥界の護り」の効果が重なった「絶対に負ける気がしないバフ」が掛かった戦闘が強く印象に残った方も多いのではないでしょうか。もしあのままの強さで実装されていたと思うと、どうなっていたか想像すると恐ろしい……。
なおカルデアのマスコット的存在で、マーリンの使い魔であるフォウくんが、マーリンを敵視していることは有名ですが、実はその理由は直接明言されていません。
似たもの同士だからこその嫌悪であるとか、人間を避けて暮らしていた孤島から追い出された恨みであるとか、いろいろな考察がファンの間で行われているのですが、個人的に好きなのが、「塔から落とした」からだというもの。
これは『Garden of Avalon』のラストシーンで、マーリンがフォウを塔から外界へと解放した際、フォウが塔の頂上から落とされることになった……という解釈が元ネタとなっています。(本来はとても美しいシーンなのですが……)
なお天敵(?)であるフォウとは対照的に、マーリンを様づけして信奉しているのがブラダマンテ。これはシャルルマーニュ十二勇士らの活躍を描いた叙事詩にもマーリンが登場するものがあり、そこでマーリンは巫女を通してブラダマンテに助言を送っていたとされるため。
実は実際のアーサー王伝説におけるマーリンの生死ははっきりしていないのですが、その後も生きたまま人類を見守り続け、十二勇士らを助けていたという逸話もあり、『Fate』シリーズにおけるマーリンも、そちらを踏襲したものになっている(マーリンは一度も死んでいないので、本来ならサーヴァントとして召喚できない)からだと考えられます。
『FGO』でのイメージが強いマーリンですが、実は『Fate/stay night』においても、アルトリアが岩からカリバーンを抜く、選定のシーンの回想で少しだけ登場しています。
該当シーンのマーリンはフードで顔を覆っているため、その顔つきまでは分からないのですが、『FGO』におけるマーリンよりも大分年齢が上だと感じられる描き方がされています。
これは、アーサー王伝説をモチーフとした作品において、マーリンは年老いた男性として描かれていたことが影響していると思われますが、このシーンはアルトリアを通して士郎が見ていた夢でもあるため、士郎が知るアーサー王伝説におけるイメージが影響していた可能性も。(後に『Fate/Apocrypha』のTVアニメ版でも、モードレッドの回想という形で同じシーンが描かれますが、そちらは現在のマーリン像と一致するものになっていました)
なおこの頃は櫻井孝宏さんではなく、2006年のTVアニメ版では小林勝也さん、PS2・及びVita版の『Réalta Nua』では諏訪部順一さんが声を担当しており、現在の飄々としたマーリンとは違った雰囲気の人物になっています。再プレイや視聴の際には、今と違うマーリンに注目して見るのも面白いかもしれません。
あまりの回転率の高さにより、プレイヤーの耳から離れなくなったことで生まれた「王の話をするとしよう」。
「永久に閉ざされた理想郷」は、『絶対魔獣戦線バビロニア』のTVアニメ版においても発動シーンが描かれており、「花の魔術師」と呼ばれるマーリンの宝具に相応しい、美しい描写がなされていますので、そちらも必見です。
今後も本連載では、Fateシリーズにまつわる、様々なネタの解説を行っていきますのでお楽しみに。
[文/米澤崇史]
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『Fate』シリーズ用語・ネタ解説
◆第01回・ランサーが死んだ◆第02回・ええー? ほんとにござるかぁ?
◆第03回・何度も出てきて恥ずかしくないんですか
◆第04回・おっと心は硝子だぞ
◆第05回・スカディシステム
◆第06回・すまない……(すまないさん)
◆第07回・王の話をするとしよう(マーリン)
◆第08回・いろんなガチャ宗教
◆第09回・他のサーヴァントに遅れを取ることもなかった
◆第10回・サクラファイブ
◆第11回・ガチャは悪い文明
◆第12回・沖田さん大勝利
◆第13回・おい、その先は地獄だぞ
◆第14回・フィーッシュ!!
◆第15回・俺のサーヴァントは最強なんだ!
◆第16回・ドスケベ公
◆第17回:ボクはキミの剣
◆第18回:溶岩水泳部
◆第19回:私は悲しい……(ポロロン)
◆[HF]第三章公開記念番外編・『Fate』シリーズには桜がいっぱい!?
『Fate/Grand Order』概要
タイトル名:Fate/Grand Order(フェイト/グランドオーダー)
ジャンル:FateRPG(フェイトRPG)
iOS/Android にて好評配信中
企画・開発・運営:DELiGHTWORKS Inc.(ディライトワークス株式会社)
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