「だまし・だまされ」と「どんでん返し」の連続を最後までお楽しみください――夏アニメ『GREAT PRETENDER』小林千晃さん×諏訪部順一さんインタビュー
エダマメはその時々で起こる出来事に自然な感情で演じる。かわいさも意識
――エダマメを演じるにあたって収録前に準備したことと、収録の時に意識したことはありますか?
小林:準備したことはほとんどないと思います。オーディションの段階から素の状態で話して演じられる役だなと思ったので、あまり作り込むことなく、その時々に起こる感情で演じました。
例えば「自分なら嫌な時はこういうしゃべり方をするな」ということをただ当てはめるだけで成立しそうなキャラクターだなと思ったし、それを普通にアフレコの時にもやる感覚でした。あとは子犬のようにキャンキャンとうるさいシーンや、ローランやアビーたちの思惑や計画からはずれた行動をした時、視聴者の方に嫌われないように極力、かわいい方向に振れたらいいなと。
――なまりの部分はいかがでしたか?
小林:特定の場所やアクセントを決めてしまうと、「このなまりはうちのじゃない!」というクレームが来てしまうので。
諏訪部:あれはエダマメの英語の発音の悪さを、方言的なニュアンスで表現しているだけですからね。
小林:適当な方言であり、語尾がこっちのほうが気持ちいいかなと思ったところを変えたくらいで、特にディレクションもありませんでした。
小林さんが収録時に苦労したのはディレクションの世代格差と意外なシーン!?
――では順調に収録できたのでは?
小林:ただ第1話はディレクションの量が多くて。それはキャラクター性についてではなく、叫びや「こぉ~」と気合を貯めてのどを鳴らす部分など要所要所にこだわられて(笑)。楽しかったし、いい経験になりました。
特に1話の終盤でローランに対して、「おらは空手の黒帯だぁ」と言いながら型を構えるシーンは、「こぉ~」を10回以上やりました。「もっと関根勤さんっぽくだよ」というディレクションも最初、理解ができなくて、一緒にいた事務所の先輩から「エド・はるみみたいな感じだよ」と助け船を出してくれたけど、それも理解できなくて(笑)。
諏訪部:ジェネレーションギャップですね。監督が作中に散りばめたパロディやオマージュの元ネタを、若いキャストたちが理解できていなくて歯がゆかったです。「千葉真一の空手バカ一代」を知らないのかい!って(笑)。
小林:わからないです(笑)。
キャラ作りの部分では「ローランが『静』だとすれば、エダマメが『動』なので、普段のセリフでもワチャワチャしたり、動きが目立つ感じにしてほしい」と言われてくらいで、割と自由にやらせていただきました。
――ローランを演じる時に心がけたことは?
諏訪部:別段ありません。事前に台本を読んで、ローランという人物をしっかりと自分の中に落とし込んでおくくらいですね。
実写作品を数多く手掛けられていらっしゃる古沢さん脚本だからか、本作の台詞も現代的な話し言葉として自然なものが多く。なので、あまり誇張した感じにならないようアウトプットしていければと、生っぽい表現を多少意識して演じたところはあります。息遣いなども。
ローランはあくまでも普通の人間ですので。作品の中の世界に生きるひとりの「人間」として、彼の存在に説得力を持たせることができているといいのですが。
本作のキーになる女性キャラ2人の印象は?
――本作で活躍する2人の女性キャラ、アビーとポーラについても印象をお聞かせください。
諏訪部:アビーはローランの詐欺仲間。ポーラはクールなFBI捜査官。それ以上でもそれ以下でもありません(笑)。
小林:2人共、従来のアニメのヒロイン像の枠を超えた、人間っぽいキャラクターだなと思います。アビーはヒロインのポジションだけどヒロインらしくないところがあって。性格もどちらかと言えば男らしいし、人間というよりケモノみたいな(笑)。
ポーラはまさに「ザFBI」というイメージです。演じられている園崎(未恵)さんも「吹き替えでもFBIの女性ばかり演じているわ」とおっしゃっていましたが(笑)、とてもハマっていて、カッコいい女性だなと思います。でも追いかけられたくはないですけど(笑)。
野性的なアビーと理知的なポーラ、対照的な魅力を持つ女性キャラで、いろいろな表情を見せてくれると思うので、ご期待ください。