この記事をかいた人
- 塚越淳一
- アニメイトタイムズでいっぱい書いています。
毎日1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。毎週金曜日は懐かしのアニソン特集! 連載第47回は、TVアニメ『天空のエスカフローネ』より、坂本真綾さんの「約束はいらない」です。
筆者も塚越さんも坂本さんが好きすぎて早くも連載2回目の登場です。でも何度同じ方を紹介してもいいんです。だって、いい曲なんだもの。
長年アニメを応援しているみなさんならご存知の伝説的アニメ『天空のエスカフローネ』の主題歌だったこの曲。なかなかいいエピソードがあるそうなので、塚越さんが語ってくれていますよ!
昔の坂本さんを知らない方はぜひチェックを!
アニソン界の90年代はこの人の出現が大きかったし、声優アーティストという概念を変えたのではないかと思っている。
坂本真綾のデビュー曲「約束はいらない」(96年)。
僕は『マクロスプラス』(94年)で菅野よう子さんを知り、そこでもアニメ音楽に革命が起こったんじゃないかくらい衝撃を受けたのだが、その菅野さんが彼女のプロデューサーとなる。
ただ、最初はアニメ『天空のエスカフローネ』のオープニングを歌う人がなかなか決まらず、作品で主演をする予定だった坂本真綾が15歳の女子中学生だと聞きつけた菅野さんが、とりあえずデモテープを録ってみようよと持ちかけ、歌えるんだったら歌えばいいんじゃないっていう簡単なノリで決まったという話を『日刊 坂本真綾 01』(※15周年記念の日本武道館ライブの分厚いパンフレット)で読んだことがある。
そのままアーティストとしてデビューし、程なくして歌だけでなく作詞の才能もあることが周囲に知られ、そこから25年、アーティストとして歌い続けることになるのだが、そんなことは当時誰も予想していなかったのではないだろうか。
J-POPでもアニソンでも三拍子の名曲ってそれほど多くないと思うのだが、菅野よう子で言うと「時の記憶」や「WANNA BE AN ANGEL」という名曲をすでに生み出しているので、あまり関係ないことなのかもしれない。
自分もそんなことは気にして聴いておらず、ただただ純粋にメロディーが美しい曲だと思っていた。アレンジは作品の世界観もあってアレンジはちょっとエキセントリックだけど。
それと『天空のエスカフローネ』というアニメは、少女マンガと占いと異世界ファンタジーみたいな、もう組み合わせがぶっとんだ作品だったのだが、岩里祐穂さんの歌詞がまたとても良いのだ。乙女だし異世界ファンタジー感があるし、坂本真綾が演じた神崎ひとみの名前も入っているし、物語の結末を予言しているようでもある。
たぶんこの頃、作家のおふたりともまだ若かったと思うのだが(30代くらい?)、ちょうど能力的にも研ぎ澄まされたくらいの働き盛りの時期で、そういう人たちが自分のスキルやセンスをこれでどうだ! とばかりに盛り込んで創り上げた楽曲なのだと思う。
そういう曲を15~16歳の少女がなんのてらいもなく歌う。このバランスがこの曲をより名曲にしているのだ。
たぶん今はもっと深く歌詞を理解してライブなどで歌っていると思うのだが、このときにしか歌えないであろうピュアな歌が音源には収録されているので、聴いたことがないという人は、オリジナルを聴いてみてほしい。
すべての始まりである「約束はいらない」。普通長く活動をしているとファンの年齢層も一緒に上がっていくものなのだが、彼女は今なおアニメのタイアップ曲を多く歌っているし、最近では『Fate』シリーズ絡みの曲も増え、『Fate/Grand Order』第2部後期主題歌「躍動」、『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編 Wandering; Agateram』の主題歌「独白」を担当することも発表されている。
つまり若い世代へのアプローチもできているのだと思うと、ここに来てまだ新しい扉を開けるのかと、デビューからのファンとしてはゾクゾクしっぱなしである。
今、学生の人は、まだ生まれてない頃に彼女はデビューしていると思うので、サブスク時代、掘りがいは相当あると思いますよー。菅野よう子プロデュース時代、そこから巣立ち、そして自分の世界を切り開いていく過程など、かなりドラマがあるし音楽的にも楽しいと思うのでぜひ! 天晴。
それと、『25周年記念アルバム『シングルコレクション+ アチコチ』は7月15日にリリースです!
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ