【今一度考えてみよう】“オタク”がいなくなった世界に考える、1000日後のエンターテインメント
近年大ヒットした作品と1000日後の予想
少女漫画のエッセンスをベースに週刊少年ジャンプの王道要素を詰め込んだ大ヒット漫画『鬼滅の刃』。アニメ媒体ではないメディアもこぞって取り上げるなど、令和時代のモンスターコンテンツとなった。
アニメが放送スタートした2019年4月から現在に至るまで、アニメイト通販の売上ランキング上位を独占。
アニメ放送直後から数カ月に渡って通販ランキングトップに『鬼滅の刃』の単行本が並んでいた状況は空前のブームと言っても過言ではなかった。
いや、『鬼滅の刃』は一時のブームではなく、令和の時代に売れるべくして売れた作品なのである。
『鬼滅の刃』に関してもテーマとして「人とのつながり」や「続けていくこと」が色濃く表現されている。
ヒットの要素を設定として散りばめているものの、本質的には鬼になってしまった人の後悔を色濃く描写していることから作者のメッセージは痛いほどに伝わってくる。
鬼たちは死ぬ時にとにかく愚痴る。変わらないこと、永遠を願って人を捨て、鬼になったにも関わらず、なぜ死ぬ間際に不満ばかりを述べるのか。
その意味を紐解くと、鬼になった時点で取り返しのつかない後悔をしているからではないかと、僕は解釈している。そのため、その後どんなに欲を満たしたとしても心の乾きが満たさえることがないのだ。だから、死ぬ間際になって愚痴る。
一方で、人間はどうだろう。ネタバレになるので伏せるが、思い浮かんだ方も多いと思う。(※未読の方はぜひ『鬼滅の刃』をチェックしていただきたい。36歳の僕が読んでも十分にドハマりするほど素敵な作品である。)
後悔のないよう誠実にまっすぐ生きるべし。生殺与奪の権を他人に握らせるな!
優しくも儚く切ない台詞回し。共感性の高いキャラクターたち。時代にマッチしたメッセージ性。『鬼滅の刃』が大ヒットしたのは偶然ではなかったのかもしれない。また、絶頂のタイミングで完結したという点も大きい。僕たちの世代の『SLAM DUNK』がそうであったように、文化として語り継がれていく作品になることは間違いないだろう。
一方で、“アフター鬼滅の刃”の作家がこれから登場するのが楽しみでもある。
未来の作家たちはつながりたいけど、つながれない世界を経験して表舞台へと躍り出てくるのだ。これは今までの価値観を覆す作品が登場してきたとしても不思議ではない。
日常系から異世界転生へと移り変わったこの時代で、次のトレンドは日常を取り戻す作品になってくるような作品になってくるのかもしれない。