この記事をかいた人
- 石橋悠
- 1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。
――話は変わりますが、本作は災害時どう動くべきか、といった防災知識が学べる作品でもあります。上田さんは本作でなにか学んだことはありましたか?
上田:今まで思いつきもしなかったことだったのは、「魚を切るときは鳥のくちばしを使えばいい」というやつですね。
あれが衝撃的で。そして「確かに!」と思いました。サバイバルな極限状態のときは、海でああいうふうに行動すると、ああやってご飯が食べられるけど、あんなハプニングがあって……。と、いろいろ考えさせられました。やっぱり“海”のシーンがすごく印象に残っていますね。
歩はそれまで、お父さん、お母さんが助けてくれていた部分が大きかったですし、子どもだけどたくましく生きているのが見える印象的なシーンなのもあって、あの魚の食べ方、捕まえ方はすごくインパクトがありましたね。
――海で生きていくシーンは序盤と比べ、大きく成長したひとつの形を見せてくれる重要なシーンだと感じました。
上田:そうですね。なにもすることがない中、喋ってるのもすごく印象的で。
あんなに姉弟で会話することって、災害前はなかったはずなので、ああやって姉弟らしく喋っているっていうのが、胸にグッとくるものがあって好きですね。
――キャラクターの印象についても伺いたいのですが、本作で上田さんが共感したキャラクターはいらっしゃいましたか?
上田:あ~、やっぱり歩ですね。
女性側に共感できるポイントが多いですが、そんな中でも、お母さんや七海さんよりも歩が一番共感できるし、やっぱり私自身も通ってきた道だと思うんです。
感情の大きさ、コンプレックスの大きさは歩のほうが断然大きかったんですけど、でも、「お母さんコンプレックス」って私にもあったし、「お母さんがすごいから私もちょっと背伸びしたい」みたいな気持ちが、今思えばありましたね。
完パケを見てより強く思いました。画がより明確に付いて、色も動きも付いたことで、アフレコ時の線画の状態では分からなかった視線の動き方、「あ~なるほど、ここでお母さんを見ていたのか~」とか、いろいろ気づく部分が多かったので、より共感する部分を感じましたね。
あとは終盤で言っていた「ここにいるみんながいれば、私は幸せだ」というところのような、成長した歩の気持ちもすごくよく分かって。「お母さんがなんであんなに明るかったのか」っていうのも、歩と歩んできたことによって、「確かにこういう状況になったら剛に対してこういう明るい言葉使えるな」と分かってくるんです。歩がすごく示してくれたので、共感できましたね。
――観た後に優しくなれる作品だと強く思いました。
上田:そうですね。最初のインパクトからは想像がつかないような感情になりますね。
――最後に、上田さんが考える本作のおすすめポイントを教えてください。
上田:スケールが大きいようで、実は描いている部分は身近で、私たちが素直に共感できる部分がすごく多い作品だと思います。歩たちが少しずつ前へ向かっていく姿にも、ぜひ注目して頂きたいです。
本当にいろんな角度から観ることのできる作品なので、「こう観るのが絶対に良い」というのはなかなか言いづらいですが、個人的にはやっぱり家族の部分に触れたときに感じるものが大きかったので、そこをみなさんとも共有できたらすごく嬉しいなと思います。
[インタビュー/石橋悠]
1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。
配信日:Netflixにて、7月9日(木)全世界独占配信
作品ページ:netflix.com/日本沈没2020
エピソード:全10話
アニメーションプロデューサー:Eunyoung Choi
シリーズディレクター:許平康
キャラクターデザイン:和田直也
フラッシュ アニメーションチーフ:Abel Gongora
美術監督:赤井文尚 伊東広道
色彩設計:橋本賢
撮影監督:久野利和
編集:廣瀬清志
音響監督:木村絵理子
アニメーション制作:サイエンスSARU
ラップ監修:KEN THE 390
主題歌:「a life」大貫妙子 & 坂本龍一(作詞:大貫妙子/作曲:坂本龍一)
製作:“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners ©“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners