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TVアニメ『キラッとプリ☆チャン』シーズン3までの軌跡をプロデューサーが振り返る|インタビュー

TVアニメ『キラッとプリ☆チャン』シーズン2振り返り:大庭晋一郎(タカラトミーアーツ)×依田健(タツノコプロ)インタビュー|声優陣によるオススメエピソードにも注目!

だいあ、まりあ、すずの誕生秘話とは?

――シーズン1が無事に終わり、昨年からシーズン2が始まりましたが、最初は新キャラクターから考えていくのですか?

大庭:そうですね。当時からバーチャルアイドル、バーチャルYouTuber(以下:Vチューバー)といったものが出てきていたので、そことはどこかで突き当たるんだろうなと思っていたんです。

でも、それを1年目にやろうとは思わなかったんです。やるのならば2年目で、新しいテーマになってからだろうと。その中で、バーチャルプリ☆チャンアイドルだいあの設定ができたんです。

ゲーム的に、こういう新キャラクターが出てきて、こういう世界観で、ジュエルアイドルを目指すという設定なんだよ、というところまで決めて、それをタツノコさんに持っていきました。

――だいあは1年通して、すごくドラマになりましたよね?

大庭:だいあに関しては、博史池畠監督とシリーズ構成の兵頭一歩さんが、すごくこだわっていましたね。僕らの中では、女の子のミステリアスなキャラクターへの憧れみたいなキャラのイメージだったんですけど、それに「深み」を付け足してくれたのは、監督と兵頭さんの思い入れのおかげです。

依田:そうですね。バーチャルアイドルという設定を頂いたときに、いわゆるアバターとして、自分の個性をあえて隠すためのものなのか、それとも全く別の人格、つまりAIなのかというところを最初に議論したんです。そこから別人格にしようと決まった時点で、だいあの物語がだいたいできた感じでした。

大庭:最初は一緒だったんですよね。バーチャルアイドルとは言いつつも、本当は虹ノ咲だいあの仮の姿で、虹ノ咲さんが演じていたという設定だったんです。でもそれを2つに分けて、時のキーワードでもあった、AIという要素を入れてキャラクターを作ったことで、物語としてはすごく盛り上がりました。

依田:ただ、作る側としては、あれはAIであり別人格なんですけど、大きく考えると、虹ノ咲さん自身でもあるんですよね。自分で作り出したイマジナリーフレンドというか。

すごく狭く閉じた世界にいたところから、みんなと触れ合って外の世界に出ていこうという話なので、そこは、この設定がうまく使えたところだと思います。しかも、だいあの肝になる話は、だいたい兵頭さんが自分で脚本を書かれていたので、兵頭さんの思いがすごく入っていたと思います。

――そのメッセージも伝えられた気がしますね。最終的に、外の世界に踏み出していくところまで描けましたし。

依田:この言い方は自分自身あまり好きではないのですが、いわゆる陽キャ陰キャという区分けをすると、自分たちは陰キャじゃんっていう意識が制作側にあって、そこからいかに自分を開放できるかというお話として、兵頭さん自身の思いをだいあに託していた感じはありますね。

――大人が見れば当然理解できますけど、子どもたちにもそれが伝わるように描くことも大変ですよね?

依田:そこはいつもすごく考えています。ともすると深夜アニメ的な「自分との向き合い」のようなところに行きがちなんですけど、あくまでも女の子が共感できる範疇でやりましょう、ということは毎回意識しています。

大庭:『プリティーシリーズ』で言うと、ターゲット年齢の幅がわりと広くて、4歳~6歳/7歳~9歳の子が見ているんです。

そのくらいの子ってマインドが少し違っていて、4~6歳の子は自分の未来に可能性を持っていて、自分を主人公だと思えるから、みらいちゃん目線で見ることができるけど、7~9歳くらいになると、私はこういうタイプだっていう「自分のパーソナリティー」が出てくるんですよ。

だから、人によっては(萌黄)えもちゃんを中心に見るかもしれない、(青葉)りんかちゃんを中心に見るかもしれない。その中で虹ノ咲さんって、シーズン1のみらいちゃんたちをずっと見ていたという設定なんですよね。

だから、7~9歳たちの子たちがシーズン2を見ると、「私は虹ノ咲さんかもしれない」と思うかもしれないんです。だから、一歩踏み出せない女の子が、みらいちゃんたちと関わることで一歩踏み出すことができるっていうのは、2年目として、すごく良いテーマを描けたのかなと思っています。

――そういう理由もあったんですね。

大庭:そうなんです。だいたい新番組が始まると年齢層が下がり、4歳~6歳の子供たちが増えるんですけど、シリーズは数年続けるつもりで作っていますので、2年目になって、見ている年齢幅が広がったときに、ちょうど虹ノ咲さんのようなキャラクターが出てくることで、いろんな歯車がガツンとハマったんですよね。

依田:あとは佐々木李子さんの演技も良かったですよね。

大庭:そうですね。あの歌と演技があったことは大きかったです。佐々木さんがオーディションで良かったのは歌唱力もそうだけど、ちゃんと演技ができるところだったので。普通な感じ、自信のないところがすごく良かったです。

――見ている人が、そのキャラクターに感情移入ができますよね。終盤では黒いだいあになって、語尾に「だよ~ん」と付けていたときの芝居も面白かったですが……。

大庭:語尾の「だもん」とか「だよん」も、シナリオ会議で、大の大人が雁首揃えて、「だもん」に代わるのは何がいいんだ? 「だよん」はさすがにないだろうとか話し合っていましたからね(笑)。結局一周回って「だよん」になりましたけど。

――それを佐々木さんが言うと、絶妙にギャルっぽくてかわいいんですよね。

依田:アナザーだいあになったときの口調は、いろいろ工夫してやってくれた感じでしたね。

大庭:でも、このシリーズは、毎回ああいう対になる存在がお約束的に出てくるんですよ。ただ、毎回コンセプトに悩むんですよね(笑)。今回は監督が、黒タイプの存在をギャルっぽくしたいとアイディアを出して来れたので、それに決まりましたけど。

依田:そうでしたね。アナザーだいあ自体、だいあの設定をもらった時点で、監督がやりたいとおっしゃっていたので。ラスボスになるかは分からないけど、そういう立ち位置にしたいよねと……。

最初はブラックだいあと言っていたんですけど、黒川すずちゃんがブラックだったから被ると思って、アナザーだいあという呼び方にしました。

――新キャラでいうと、リングマリィのふたりはどうでしたか?

大庭:もともと、かっこいい系とラブリー系の正反対の子たちを出そう考えていたんですけど、一番の発明は、金森まりあでしたね……。

依田:そうですね(笑)。

大庭:最初は、あざとかわいい感じで行こうという話だったんですけど、もうひとつパンチが欲しくて、一度「かわいいで世界を救う」というキーワードを考えてみたんです。それをライターさんに持っていったら、脚本の福田裕子さんがすごく広げてくれたんですよ。

依田:2年目の2話に当たる第53話(「まりあちゃんがやって来た! かわいい向上委員会だもん!」)のまりあ登場回を福田さんが担当してくれたので、福田さんの功績大ですね(笑)。

大庭:まりあで一番良かったのは、あの肯定感ですよね。そこに裏表がない。

世界がかわいくなったら平和になるって、すごく正しいと思うんですよ。

他人のことをかわいいと思えたら、争わないですから。それを哲学にまで持っていけたことが、まりあのすごいところで、かわいいキャラクターっていっぱいいるけど、それとは一線を画したキャラクターになったと思います。

あれが生き方になっているところが、まりあの発明でした。

依田:茜屋日海夏さんが声を当ててくれたことも大きくて、あの声でかわいいと言われると、本当にかわいいと思えてしまう、説得力があるんですよね。声の力もかなりありました。

大庭:まりあちゃんは4~6歳の女の子にすごく人気があったんですよ。ああいうお姉さんがいてくれたらいいなと思えますし、ああいうお姉さんからかわいいと言われたい、言ってくれたら私はかわいいんだと思える! みたいな。

依田:普通のかわいいキャラクターって、「自分がかわいい」になるから、すごく自覚して演じるかわいさになるんだけど、まりあの場合は、自分というより世界中みんながかわいいというキャラクターだから、ベクトルが違うんですよね。

大庭:そうそう。他人がかわいいんですよ。それが他のキャラクターと全然違うところでした。

――4~6歳だと、かっこいいすずも人気があったのかなと思うのですが?

大庭:すずも人気はありましたけど、すずは生き方というか、自分のパーソナリティーみたいな要素になってくるので、逆に7~9歳の子たちから人気があったんです。ちょっと自分の生き方に置き換えられるんですよね。私もこういうふうにしていこう! みたいな。

依田:もう少し「こじらせ系のクールキャラ」になるのかと思っていたんですけど、まりあと絡んだからか、かっこいいけど、かわいい感じになって、それはそれで、すごく良かったです。

大庭:あと、年下にしたのも良かったんですよね。

依田:それも池畠監督が、年下にしたいと言っていた気がするなぁ。

大庭:それと、まりあのほうが背が高いというのも良かったです。

依田:背が高いのも、茜屋さんっぽい(笑)。

――新キャラの3人が、本当に活躍したシーズン2だったと思います。

依田:それも、まりあとすずが仲良くなる過程、つまりはグループ結成までの過程を1クールくらいかけてやれたことが良かったんだと思います。

大庭:虹ノ咲だいあちゃんをメインにしてしまうと、問題がすぐに解決してしまったかもしれないけど、そこを一旦脇に置いておいて、そこでじっくりコトコト煮込んでおいて、まりあとすずの話が一段落したときに、だいあのことを描けたのが良かったんじゃないかと思います。

依田:この作品は、アーツさんのゲーム筐体に紐付いたアニメなので、プレイアブルキャラクターが順に出てくるということにおいては、均等にキャラクターを描かなければいけないという制約もあるんですけど、そこを逆手に取って、できるだけお話としてまとめていくということを毎回やっているので、それがうまくいったと思います。

大庭:シーズン2の1クール中は、メルティックスターを外国に修行に行かせたりしながらね(笑)。

(C) T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京 / PCH2製作委員会
(C)T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京 / PCH3製作委員会
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