この記事をかいた人
- 塚越淳一
- アニメイトタイムズでいっぱい書いています。
1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。現在、1年ずつ、1990年からアニソンの歴史を追っていく企画を展開中です。
この連載を追えば、アニソンの歴史はこうやって作られていった、と少しでもわかることでしょう。
連載第80回は、2006年にアニソンタイムトラベル。映画『時をかける少女』より、奥華子さんの「変わらないもの」です。
この映画を見たときは衝撃的でした。映画館で見られなかったのが残念で残念で、これ以降の細田守監督作品は必ず映画館で見るようにしています。
『時をかける少女』を見ている瞬間は、筆者も高校生に戻ったような気持ちになれるのです。
思い出話が続きそうなので、塚越さんにバトンタッチ!
日本の劇場アニメ(※TVシリーズがあった上での劇場化ではないという意味)ってジブリ作品以外はヒットしないのかなぁと思っていたときに、テアトル新宿にふらっと見に行った『時をかける少女』。
原田知世が主演の実写映画を知っていたし、貞本義行さんの絵だから見てみようかな、くらいの感覚だったので、何の事前情報も入れずに見ていたら、号泣!
そのシーンで流れた曲が「変わらないもの」だったので、主題歌の「ガーネット」ではないほうを選んでしまいました……。でも、どちらも名曲。
内容は原作の20年後が舞台なので、わりとオリジナル要素が強かったのだけど、台詞のひとつひとつがズバズバ刺さってきたし、何より良いストーリーだった。
難しいと思われていた劇場アニメをヒットさせた細田守監督が本当に素晴らしい。この作品は結局6~7回テアトル新宿に見に行ったと思う。
奥華子は、何と言っても声が特徴的で、一度聴いたら忘れない程のインパクトがある。個人的にアーティストにとっていちばん大切なのは声だと思っているので、そういう意味では完璧な声の持ち主だと思う。
「変わらないもの」は、タイムリープのカウンターが00から01になっていることに気づいたヒロインの紺野真琴が、やたらと長い坂道を駆け下りて最後のタイムリープをするシーンで流れていたのだけど、そこでの街の夜景と、これまでの思い出のフラッシュバックして、時間がさかのぼるところが最高だった。
そこからいくつかやり取りがあって、功介に「真琴、前見て走れ」と言われ、千昭に会いに行く、という流れが最高なので、これを読んで思い出してしまった人は、この夏に見返してみてはいかがでしょう!
見ていない人には何のことだかよく分からなかったと思うので、ぜひ見てください。不要不急の外出を控えなければいけない期間に見るのにピッタリでしょう。
ちなみに、自由に作ってくださいという発注で、奥華子が映画のシナリオなどを読み込んで生み出したのが「変わらないもの」で、実際すごく良い曲だったのだが、千昭目線であったことから主題歌にはできないということになり、そこから何曲もの書き直しを経て、締め切りギリギリに「この映画は青空なんだ」というキーワードをもらい書き上げたのが主題歌の「ガーネット」となる。
なので、歌詞の視点の違いを感じながら、2曲とも聴いてみてほしい。天晴。
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ