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- 塚越淳一
- アニメイトタイムズでいっぱい書いています。
1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。現在、1年ずつ、1990年からアニソンの歴史を追っていく企画を展開中です。
この連載を追えば、アニソンの歴史はこうやって作られていった、と少しでもわかることでしょう。
連載第85回は、2011年にアニソンタイムトラベル。TVアニメ『花咲くいろは』より、nano.RIPEの「ハナノイロ」です。
『花咲くいろは』といえば、作中で描かれたお祭り「ぼんぼり祭り」。なんとアニメきっかけで実際に湯涌温泉がお祭りが開催されるようになったほどの人気でした。
ちなみに、2010年以降は名作が多く、塚越さんも選曲に迷った模様です!
2010年以降は、その年を代表する曲を選ぶのが難しくなってきている。というかほぼ不可能だ。2000年代に入り動画系サイトが流行り始め、そこで数多くの才能に表現をする場所が提供され、そしてその才能たちが世に放たれ始めたのが2010年以降という感覚が個人的にある。
単純にアニメの本数が多くなり過ぎているということもあるが、いろいろな優れたクリエイターが活躍し始めた時代になってきたとも言えるだろう。
さて、2011年はすでに紹介した『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『魔法少女まどか☆マギカ』など、アニメも豊作だった。
当然『THE IDOLM@STER』の「READY!!」765PRO ALLSTARSという選択肢もあるのだろうが、神前暁さんの曲が続いてしまうということもあるので、『花咲くいろは』というのはどうだろうか。
『花咲くいろは』はP.A.WORKS制作、安藤真裕監督で、シリーズ構成を岡田麿里さんが務めた作品。個人的にも大好きなお仕事アニメだ。(P.A.WORKSの「お仕事シリーズ」第一弾とされ、その後『SHIROBAKO』『サクラクエスト』と続いていく)
主人公の松前緒花が、東京を離れて、祖母の四十万スイが経営する石川県の温泉旅館「喜翆荘」で仲居として働くことになるというお話だったが、青春感がすごくあるし、ストーリーも面白いし、出てくるキャラクターがすべて愛おしかった。
そしてその青春感を曲として表現したのがnano.RIPEが歌うオープニングテーマ「ハナノイロ」だ。今では、『のんのんびより』や『食戟のソーマ』でもお馴染みのロックバンドだが、nano.RIPEといえば、『花咲くいろは』だ!という思いがまだまだ強くある。
ちなみにこの曲は、ボーカル&ギターの きみコが作詞・作曲をしている。
きみコのアカペラから入るサビのフレーズで曲が始まるのだが、そこに切なさが凝縮されていて、東京から離れた緒花の不安みたいなものも感じられる。ただそこからは疾走感たっぷりで、オープニングアニメーションでは緒花が走ったり働いたり、しっかりと生きている、もしくは生き生きしているシーンが描かれていく。
その中で、《バイバイ あの愛しき日々は 戻りはしないから》のところだけ、緒花が幼馴染で東京にいる種村孝一とバスに乗っているカットが入ってくるのもまたちょっと切ない! そこからサビに入り、さらに加速していき、最後は少し切なく、でも前に進むような感じで冒頭のフレーズ《涙の雨が頬をたたくたびに美しく》が登場して終わる。フルコーラスでも、やはりこの言葉で締めくくるので、本当にドラマチックな名曲だ。
久々に、『花咲くいろは』が見たくなってきた。来年は10周年なので何かやってくれたらいいなぁ……天晴!
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ