「神楽坂怪奇譚『棲』体感型配信怪奇譚」朴璐美×佐倉綾音×早見沙織インタビュー│失敗しようがなにをしようが、その瞬間に丸ごとを賭けることが“舞台”
お芝居って、すべて“悪意”でしかないと思っているんです。
ーー朴さんからご覧になって、佐倉さんと早見さんのお芝居はいかがですか?
朴:現場でこの二人を見ていて「なんてセンスが良いんだろう」とずっと思っていたのですが、私はこの二人のお芝居の中に“悪意”を感じたりもしていて(笑)。
早見:二人で“闇”をぶつけろと……(笑)。
佐倉:でも“闇”と“悪意”ではだいぶ意味合いが違いますよね(笑)。
朴:本当に“笑いながら互いを刺している”ような二人のお芝居がすごく好きで。「経験が乏しい」とか「舞台とかはあんまり……」と言っていたのが信じられないくらい、心の嗅覚に優れた子たちだなと。だからこそドキドキしながらも今回声をかけさせていただいて。
私にとって闇深い子は大好物ですし(笑)、お芝居って、すべて“悪意”でしかないと思っているんです。スルスルとやるものでなく、どのようにして相手や視聴者を困らせ、意地悪をしていくのか。この二人はその要素をすごく持っていて。
佐倉・早見:(笑)。
朴:だから私は彼女たちの中に“クリエイター”らしさを感じますし、そうした“悪意”を持てる人から感じる違和感と、その違和感の中からなにかを生み出せる力があると思っているんです。
今回この二人という組み合わせを考えた時にも色々と考えたんですよ。例えば、早見ちゃんだったら伊礼彼方くんと組んでもらおう、綾音ちゃんだったら山路和弘さんと組んでもらおうとか。でもやはりこの二人だなと決めました。
ーーそうしたところでは、同役を異なる役者が演じている点も本作の面白さや可能性を広げているポイントですよね。
朴:本当に組み合わせによって全然違うんですよ。今回一人二役を演じている関智一くんと山路和弘さんに来ていただいて演じてもらったんですけど、二人とも格段に上手く、それぞれ違うタイプのヤバさがあって困っています(笑)。
ほかにも男性×男性のペアで組んでもらっていたり、緒方恵美さんと相葉裕樹くんには男女逆転で組んでもらっていたりもしていますが、どんな組み合わせでも面白く見えて。
女役を演じる小野賢章くんや福山潤くんとかを見ていても、それぞれに女の要素を持っているというか、「こんな女が好きなんだな」とわかる感じがすごくあったり(笑)。泉鏡花役を演じる男性陣にもそれぞれの“闇”をすごく出してもらっています。
綾音ちゃんと早見ちゃんに関しては、似て非なるものというか。これまで女性で泉鏡花役を演じてもらったのは緒方恵美さんだけだったのですが、今までにない泉鏡花が綾音ちゃんから出てくると思っています。彼女が名探偵のように見える瞬間がたくさんあって、すごく面白いお芝居になるのではないかと。
早見ちゃんは本当に女役にぴったりだと思っていて、怪しく誘いながら刺していくような彼女のお芝居を見ていると「さおりん、今までなにがあったの!?」とお稽古中にききたくなるんです(笑)。
早見:自分の人生以上のなにかが……(笑)。
朴:例えば、釘宮理恵さんに演じてもらった女役は「可愛い女の子がおじいさんを刺していく」ようなすごくシュールな感じで面白かったんですけど、早見ちゃんの場合は“少女”と“女性”の両面をあわせ持った初めて見る女像になっていて。
あとは二人とも負けん気もプライドも絶対に高いタイプなので、そのキャットファイトを舞台で繰り広げてもらえたらと(笑)。期待大の楽しみにしているペアですね。