この記事をかいた人
- 塚越淳一
- アニメイトタイムズでいっぱい書いています。
1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。現在、1年ずつ、1990年からアニソンの歴史を追っていく企画を展開中です。
この連載を追えば、アニソンの歴史はこうやって作られていった、と少しでもわかることでしょう。
連載第87回は、2013年にアニソンタイムトラベル。TVアニメ『進撃の巨人』より、Linked Horizonの「紅蓮の弓矢」です。
この曲は爆発的大ヒットとなり、街中で聞く機会が多かった印象です。耳にすればすぐさまテンションがブチ上がるとんでもない曲ですよね!
塚越さんはこのヒット曲をどう聞く!?
『進撃の巨人』の最初のオープニング主題歌「紅蓮の弓矢」。
Sound Horizonに関してディープなお話ができるわけではないのだが、この曲を聴いた時の素直な感想は「なんじゃこりゃ!」である。今まで聴いたことがないようなインパクトで、世の中にはこういう音楽があるんだと衝撃を受けた。
そもそも『進撃の巨人』という作品自体、主人公の母親が巨人に食われたり、トラウマになるくらいインパクトがあったのだが、その衝撃がそのまま曲になったようなイメージだろうか(別に巨人側の気持ちを歌ったわけではないので、あくまでインパクトという意味)。この作品のために全精力を懸けて立ち向かった結果生まれた主題歌なんだということは、すぐに分かった。
歌詞も作品をかなり深く読み解いて書かれたものなのだろう、『進撃の巨人』の世界観を見事に表現している。フルサイズで聴くと、また少し印象は異なるのだが、オープニングサイズは、アニメサイドとの連携もかなり取れていたのではないかと推測できる。それほどOPアニメーションと音楽が融合していた。
管楽器のけたたましい音とコーラスが気持ちを高揚させるシンフォニックなイントロがありつつ、その後の歌のメロディー部分は実にポップ。ここが本当にすごいところだ。このキャッチーさがありながら、サビ前の歌詞は《家畜の安寧 …虚偽の反映 …死せる餓狼の『自由』を!》と、人を“家畜”と例えたり、インパクトがある言葉を並べている。まさにこれは壁の外に向かう調査兵団のことを表していると思うのだが、アニメーションでもしっかり兵士たちの勇姿が写し出されている(※最初のOPなので絵は基本訓練兵団になるが、途中調査兵団のシンボルも映し出される)。
そしてサビはさらにキャッチーで疾走感のある展開になり、それに合わせて立体機動装置を駆使して飛び回る兵士たちの映像を見せる。主人公の名前である“イェーガー”が出てくるところなど、アニメーションと音楽のシンクロが本当に気持ちいい。そして再びシンフォニックに盛り上がっていくアウトロでは屋根の上に何人も人間が現れ、巨人に立ち向かっていく。あらためて、すべての才能が完璧な融合を見せた素晴らしいオープニングだったと思う。天晴!
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ