「AD-LIVE 2020」の制作裏側と鈴村健一総合プロデューサーの貪欲な姿勢をSCRAPきださおりさんが語る―手強いキャストは○○さんと△△さん!?|インタビュー
苦労したのは謎の難易度調整
――「AD-LIVE 2020」の枠組みは、どのように作っていったのですか?
きだ:まずは、どうすれば謎解きとAD-LIVE両方の要素が生きるかをブレストしていきました。
舞台を豪華客船にしたいという提案は鈴村さんがしてくださったんですが、私たちも過去に豪華客船を舞台にしたリアル脱出ゲームを作ったことがあったので、アイデアが浮かびやすかったんです。
「豪華客船を舞台にする場合は、こういうシーンが訪れると観ている人も出演している人も心が揺らぐのではないでしょうか?」「こういう仕掛けもありかもしれません」と、提案させていただき、謎が出現する理由までを作っていきました。
――いわゆる構成ですね。
きだ:あとは、ラストシーンへの流れですね。こういう流れでラストシーンに移ると、伝えたいメッセージが伝わるのではないか、役者さんたちも自分の設定を生かした演技ができるのではないかと想像しながら細かく練っていきました。
――ちなみに、ここまでの作業で一番苦労されたところはどこですか?
きだ:アドリブ劇なので、物語に登場する人物がどういう背景を背負っているのか伝えるドラマを見せる時間も大切なんです。
なので、大きく分けるとキャラクターを伝えるパートと謎を解いて脱出するパートが必要なのですが、最初に謎を作ってテストをしたとき舞台上で解くには難易度が高すぎたようで。人物の情報を伝えるまでに至らなかったんです。
――時間がかかりすぎないよう、難易度を調整しなければいけなかったんですね。そこに苦労されたと。
きだ:はい。ちょうどいい難易度にするためには、とにかくいろんな人に解いてもらうしかありません。数えてはいないんですけど、現在までに何度も検証リハーサルを重ねています。
――とはいえ、人やその日のひらめき度によっても解くスピードは変わりますよね?
きだ:そうですね。ただ、テストを重ねつつ謎解き経験や得意分野で平均値をとっていくので、“どんな人が解いてもこれくらいはかかるだろう”という目標を出すことはできるんですよね。
――これまでのリアル脱出ゲームの謎制作でもやっている方法なのですか?
きだ:やってはいますが、リアル脱出ゲームの場合は謎解きのテストだけでいいんです。でも、「AD-LIVE」の場合はそこにお芝居がプラスされているので、テストのベクトルが違いますね。
なおかつ、出演されるキャストさんのなかに謎解きを経験されている方もいるので、“決して簡単ではないけれど、ストーリーを構築しながらでも解ける”くらいの難易度にしました。
――テストなどを繰り返して、どのくらいの時間をかけて制作されたのですか?
きだ:春頃から作り始めて、現在(8月中旬)もチューニングしている最中なので、4か月はかかっていることになりますね。
――そうなんですね……!
きだ:でも、相手が役者さんなのできっと面白く料理してくれるだろうなというワクワク感があります。
まだ言えませんが、「AD-LIVE」だからこそ入れられた設定や謎がたくさんあるので、ぜひ楽しんで解いてもらいたいですね。