Netflixオリジナルアニメシリーズ『ドラゴンズドグマ』須貝真也監督&小林裕幸プロデューサーインタビュー|ゲームとアニメ、似て異なる2つの業界の違いに迫る
ゲームをアニメ化することのメリットとは
――ゲームをアニメ化することのメリットは、主にどういった部分になるのでしょうか?
小林:やっぱりゲームってハードルが高いメディアだと僕は思っているんです。前提としてゲーム機やPCがないと遊べないですし。
Netflixさんの場合は契約も必要ですが、基本的にTVなどあれば見られますよね。あとはゲームだとストーリーやキャラクターを知ってもらうのに結構な時間が必要ですが、アニメだといろんなキャラクターを一気に見せられる。
僕の担当した中で言うと、『戦国BASARA』のアニメシリーズはとくにそれを意識した作りになっていました。
あとはアニメは監督が意図した形で演出できるので、戦闘シーンをとにかくカッコよく見せられるんです。ゲームはプレイヤーのカメラワークや操作次第になりますから、ちょっと変なアングルや動きになることもある(笑)。
ゲームと違って受け身なので、「俺ならこう戦うのに」という歯がゆさはあるかもしれませんが、すごくいい形でモンスターとの戦いを見せられるのがアニメの強みで、より幅広い人に作品の良さを知ってもらうのに適したエンタメだと思っています。
僕としては、これからもどんどんゲームをアニメ化していきたいですね。
――カプコンさんの中でも、小林さんはいろんな作品をアニメ化されているイメージだったのですが、そのお話を聞いて合点が行きました。
小林:単に僕自身がアニメ好きというのもあるんですが(笑)、『戦国BASARA』に『バイオハザード』、『デビルメイクライ』と、いろいろやってきましたね。
ゲームとアニメファンって重なっている部分も多いのですが、完全ではないんです。ゲームをまったくやらないアニメファンもいれば、アニメをまったく見ないゲームファンもいる。
「アニメが面白かったからゲームを買う」という方も実際にいますし、より作品を広い層に知ってもらうには両方の展開をやるのが理想的です。
今回の場合でいうと、アニメをきっかけに『ダークアリズン』をプレイしてもらえると嬉しいですよね。
――須貝監督としては、ゲーム原作のアニメ化についてはどう感じられていますか?
須貝:ゲーム原作の場合、設定がすでに出来上がっているので、世界観を把握しやすいというのは、制作側としてはありがたいです。
あと今回の場合は、ゲームと同じモンスターを出したいということだったので、カプコンさんからゲーム版のモデルデータも提供していただけたんです。
それを元にブラッシュアップしてアニメの中に落とし込むという手法をとることもできたので、ゲームからのアニメ化は制作側にとってはメリットが多いなと感じましたね。
――アニメ版のモンスターからも、ゲーム版に通じる雰囲気を感じていたのですが、元のモデルが同じだったんですね。
小林:ただ、モーションに関しては監督を中心にアニメスタッフの方々に新しく作っていただいていますから。個人的にはグリフィンがお気に入りで、空中戦を仕掛けてくるグリフィンに対するイーサンの戦い方とかは、すごくゲームの戦闘に近いイメージで映像化していただけたので嬉しかったですね。
須貝:アニメだとゲームでは表現しにくいケレン味やメリハリもつけやすくなるので、一種のいいところ取りのようなことができるのも、ゲームのアニメ化の良いところなのかなと思います。
小林:今回、モンスター戦にはとくに力を入れていますからね。
――戦闘中、ゲームをプレイしていた時のBGMが脳内で流れたりしていました(笑)。
小林:実はアニメ版の音楽も、ゲーム版と同じ元カプコンの牧野(忠義さん)が担当しているんです。そのあたりゲームに近い雰囲気を感じられる要因になっているのかなと。