ブシロードの新プロジェクト・バーチャルタレント事務所『いろどり芸能郵便社』とは？ 仕掛け人にインタビュー「2年間プレゼンした結果ようやくたどり着いた」

人間はストーリーに共感する

――次は、そのオーディションを経て所属することになった方にどのようなマネジメントをしていくかを伺えたらと思います。ブシロードさんといえば“扇動者”といいますか、木谷オーナーによる仕掛け人としての哲学みたいなものが浸透している印象を受けます。

野呂：ええ。事務所の運営という点においても他がやっていないことをやるということは本当に大切なことですよね。ですので、今回のプロジェクトではバーチャルタレント事務所発の作品を制作していきたいと考えています。

“コンテンツ創出型のバーチャルタレント事務所”というのが、今思い描いているビジョンです。

そこで生み出された作品に対して、所属しているバーチャルタレントが声を当てたり、歌を歌ったり、といった形で関わっていくようなスタイルを目指しています。

――バーチャルタレント事務所自ら作品を生み出していき、それを所属タレントたちが担っていく。イメージとしては御社の声優事務所・響さんに近いところでもあると思いました。

野呂：そうですね。様々な分野のクリエイターさんとも合流して新たな作品を作っていければと構想しています。

――現在はどんなことに取り組んでいるのでしょう？

野呂：今取り組んでいるところで言うと、著名な作家さんと契約を進めながらキャラクター全体のストーリーやこの事務所がある仮想世界を中心とした物語を制作しています。

最初にバーチャルタレントとしてデビューして、その掛け合いを見たあと、ストーリーや映像を見ると「この人たちはこういうパーソナリティを持っているからこういう表現に至るんだな」というふうに気付いていただければ嬉しいですね。それがまさにVTuberが演者になる事の意味の一つです。

「いろどり芸能郵便社」は、独自のシステムで成り立っている仮想世界にあるタレント事務所になります。この仮想世界上に存在している会社に所属するキャラクターがいろんな作品に出演するという形になってます。

その世界に住む住人がバーチャルタレントとして活動している。その世界からライブ配信を行う、といった感覚ですね。

――なるほど。

野呂：実際に活動して見せてみないと、ユーザーさんが「あ、こういうものなんだ」と理解してくれるまでにちょっと時間はかかるかな、と正直思ってはいます。ただ、初めての取り組みなので、楽しんでいただけるかなと自信もあります。

――ありがとうございます。具体的に所属するバーチャルタレントがどんな活動に発展していくのでしょうか？業界全体としては、声のお仕事やアニメのEDテーマを歌うような方は少しずつ出てきているような印象です。

野呂：最近は、「VTuber」が作品の声優を務めるというケースも少しずつ出てきましたよね。そうした流れもある中で、僕が考えているビジョンは“VTuberが本格演技派”という、「バーチャルアクター」と呼ばれるジャンルをしっかり開拓していくことです。

リアルな声優さんができない領域をバーチャルアクターは担っていきたいなと思っていて。例えばの話ではありますが、「台詞リクエストに応えたボイス販売」などができれば面白いのではないかな、と。

やっぱり、リアルの声優さんの場合、ファン一人ひとりに向き合ったボイス販売はかなり難しい領域ですよね。「より身近なあなただけの声を届けてくれる存在」みたいなイメージになります。

――なるほど。リアルよりも更に身近さを狙っていくということですね。

野呂：ええ。ですので、バーチャルタレントのボイスレッスンも収録して発信していく予定です。最初から完成している存在ではなく、バーチャルアクターとして成長するストーリーをお見せしていく。これがブシロードらしさだったりするので。

その先になにか声のお仕事で表現ができたときに初めてバーチャルアクターとして初めて完成する、という構図ですね。

――今のユーザーの傾向として最初から完成品を見せられるよりも、みんなで盛り上がりを作っていきたいという意識の強さを感じます。そういった意味でも「いろどり芸能郵便社」は見せ方やユーザーへの位置の取り方など新しい仕掛けが満載ですね。

野呂：弊社の木谷はストーリーが大切だと語っています。最初から完成されたものじゃなく、そのプロセスにお客さんは共感するのだ、と。

時には歩幅を合わせながらファンと一緒に進んでいくからこそ、さらに大きく、そして新しいステージに行くことができる。ここにブシロードイズムを感じられると思います。なので、キラキラした所だけではなく、きちんとレッスンをしながら努力や成長の過程から見届けて頂くというのは、ひとつのコンセプトに置きたいな、と思ってますね。

――このプロジェクトでデビューするバーチャルタレントが決まって、そのお披露目の瞬間からまさに物語が動き出すんですね。ありがとうございました。では、最後にアニメイトタイムズの読者に向け、野呂さんからメッセージをいただければと思います。

野呂：バーチャルアクターどんな存在か、どこに住んでいて、どんな生い立ちなのか、そこにどんなストーリーがあるのか、といったVTuberの新たな形、キャラクターとしての魅力を今後楽しんでいただければと思います。よろしくお願いします！

野呂祐介 プロフィール

生年月日：1993年5月25日
年齢：27歳
職歴：
新卒としてブシロードへ入社
・響 - HiBiKi Radio Station　進行補佐
・ブシロードクリエイティブ　営業
・ブシロード　アートデザインチーム　イラスト進行管理
・ブシロードクリエイティブ　グッズ企画・開発
・ブシロードクリエイティブ　VTuberプロジェクト　代表
趣味：
DTM・ギター・映像制作・読書・映画鑑賞・麻雀・温泉旅行

◆いろどり芸能郵便社 公式Twitter