ブシロードの新プロジェクト・バーチャルタレント事務所『いろどり芸能郵便社』とは? 仕掛け人にインタビュー「2年間プレゼンした結果ようやくたどり着いた」
2020年7月3日。「新時代のエンターテイメントを創出する」ことをミッションにおいているブシロードが一つのプレスリリースを出した。
そのタイトルは「ブシロードグループ発の新規バーチャルタレント事務所『いろどり芸能郵便社』より Virtual Actor 第1期生の採用オーディションを開催!」とある。
デジタル、ライブそれぞれの分野でIPを成熟、発展させてきたブシロードがいよいよバーチャルタレントの領域に乗り出す。
今回、アニメイトタイムズはバーチャルタレント事務所『いろどり芸能郵便社』のプロジェクトの企画プロデューサー野呂祐介さんに話を訊く機会を得た。
野呂さんはブシロードに新卒入社後、5年目で今回のプロジェクトを立ち上げるに至ったという。
取材はブシロードがバーチャルタレント領域に踏み込んだキッカケの話からはじまった。
夢を持つ人に向き合って力になりたい。VTuber特有の二面性。
――本日はよろしくお願いします。まず、バーチャルタレント事務所『いろどり芸能郵便社』はどういった経緯で動き出したものなのでしょうか?
野呂:プロジェクトを始めた一番最初のキッカケは、私が「VTuber」という不思議な存在に興味を持ち、まだそこには様々な可能性を秘めていると感じたためです。
「VTuber」という言葉が一世風靡したのが2018年あたりのことでしたよね?
――ええ。バーチャルYouTuber/ VTuberがネット流行語大賞2018の金賞を受賞しています。
野呂:従来、キャラクター的なビジュアルって、アニメやゲームの作品の中にしか存在しなかったものです。
――ニコニコ動画で創作されたキャラクターの画を使っている生主はいましたが、実際に動いてというのがメインストリームになったのは、このタイミングからだと理解してます。
野呂:そうですね。ただ、「VTuber」は、キャラクターとも人間とも言い切れない、少し不思議な、新たな存在概念であると感じています。
今まで私たちが見てきた「キャラクター」は、アニメやゲーム、漫画などの創作世界の中の存在であり、私たちから一方的に認識し、「キャラクター」から認識されることはありませんでした。
しかし「VTuber」という存在はそれを覆し、「キャラクター」としての性質と「人間」としての性質、それぞれを持ち合わせた新たな存在概念だと感じ、私はそこに大きな可能性と魅力を感じました。
今回のプロジェクトでは、タレント事務所が存在する仮想世界における物語と、その世界で活躍するバーチャルなタレントそれぞれの夢を叶えていく物語、の両者で展開したいと考えています。
「VTuber」という新たな存在概念は、唯一この両者を見せていけるものであると感じています。
これらをキッカケに、バーチャルタレント事務所「いろどり芸能郵便社」をスタートさせるに至りました。
――なるほど。では、かなり以前から温めていた企画ということですね。
野呂:ええ。私がブシロードの本社に異動してから本格的に動き出したという感じですね。実際、2年間くらい上司にプレゼンしてたんですよ(笑)。
――2年ですか!?
野呂:そうなんです。上司にもよくこれだけのフォルダを作ったな、と言われるくらいでした(笑)。
――日々のお仕事もある中で、2年間もプレゼンし続けるほど、野呂さんを突き動かさせたものがあったんですね。
野呂:「VTuber」はまだまだいろんな可能性を秘めているだろうなと思っていたんです。
近年では、歌手活動を中心にした「バーチャルシンガー」や、アニメのキャラクターがVTuberになったりなど、「キャラクター」「人間」といった既存の言葉では表せられない多様性が『VTuber』には含まれていると感じます。
私は「VTuber」が自分の特徴や個性、得意を活かせる場所として存在しているのは勿論のこと、この「VTuber」という少し曖昧で不思議な存在概念を活かした新たな可能性について追求したいと思っています。
7月にスタートした「Virtual Actor 第1期生の採用オーディション」については、“才能や、やりたいことを持っている人ひとりひとりに支援をしていく”という部分を一番に考えています。
私自身もやりたいことや夢があってこの業界に入っていますし、そういった人はこの世界にたくさんいると思うので。
そういった、成し遂げたいこと、夢を持つ人に向き合って力になりたい、というのが自分を突き動かした一番の動機ですね。